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第5章
562話 毒
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「ポチッとな」
「え?」
エメラダが、何の躊躇もなく床を踏み抜いた。
当然、罠を発動させてしまう。
直径1メートルぐらいの落とし穴が作動するが、その位置をあらかじめ把握していたエメラダやグレイスが落ちることはない。
エメラダは、穴の縁から下を覗き込む。
「へぇ……。確かに、魔物がたくさんいますねぇ。低級ばかりではありますが、数は多いです」
「おいおい。どうしてわざわざ作動させたんだよ? コウタ親分や四天王たちならまだしも、俺やエメラダではリスクがあるぞ?」
コウタ、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リン。
この五人は、それぞれ風・氷・土・火・雷の魔導師ジョブを持っている。
その上、近接系の上級ジョブも併せ持っている。
閉じられた場所で魔物の群れを相手取っても、彼らならば撃破することが可能だ。
しかし、グレイスとエメラダのコンビならばそう簡単にはいかない。
グレイスの近接戦闘能力はそれなりに高いが、遠距離での範囲攻撃はできない。
エメラダは『闇魔導師』のジョブこそ持っているが、逆に近接系ジョブは心もとない。
このコンビが閉じられた場所で魔物の群れを相手取るならば、慎重な連携が必要になる。
リスクなしとはいかない。
「……えっと。大丈夫です。問題ありません」
「いや、あるだろうが!」
「まあまあ、落ち着いてください。ちゃんと考えがあってのことなので」
エメラダはそう言って、懐から瓶を取り出した。
そして、それを落とし穴へ放り投げた。
瓶は落下して割れると、中に入っていた液体を周囲にまき散らす。
「ギャアァッ!?」
「ギィイッ!!」
すると、悲鳴のような鳴き声とともに、次々と低級の魔物たちが苦しみ始めた。
「なんだ? 一体、何をしたんだ?」
「毒を撒きました。これなら、楽に討伐できるでしょう? ジョブレベルも上がるはずです」
「お、おう……」
「ほら、見て下さい。あっちのゴブリンなんて、もう死にかかってますよ」
エメラダの言う通り、地面に倒れ伏している個体がいる。
苦しそうな表情を浮かべているが、もうすぐ息絶えるのだろう。
「これは……、凄いな」
「ですよね? これこそが、あたしのとっておきです! さぁ! どんどん追加の毒を投入していきますよ! えいえいおーっ!」
エメラダのテンションが爆上がりする。
それとは対称的に、グレイスの表情はどこか引きつっていたのだった。
「え?」
エメラダが、何の躊躇もなく床を踏み抜いた。
当然、罠を発動させてしまう。
直径1メートルぐらいの落とし穴が作動するが、その位置をあらかじめ把握していたエメラダやグレイスが落ちることはない。
エメラダは、穴の縁から下を覗き込む。
「へぇ……。確かに、魔物がたくさんいますねぇ。低級ばかりではありますが、数は多いです」
「おいおい。どうしてわざわざ作動させたんだよ? コウタ親分や四天王たちならまだしも、俺やエメラダではリスクがあるぞ?」
コウタ、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リン。
この五人は、それぞれ風・氷・土・火・雷の魔導師ジョブを持っている。
その上、近接系の上級ジョブも併せ持っている。
閉じられた場所で魔物の群れを相手取っても、彼らならば撃破することが可能だ。
しかし、グレイスとエメラダのコンビならばそう簡単にはいかない。
グレイスの近接戦闘能力はそれなりに高いが、遠距離での範囲攻撃はできない。
エメラダは『闇魔導師』のジョブこそ持っているが、逆に近接系ジョブは心もとない。
このコンビが閉じられた場所で魔物の群れを相手取るならば、慎重な連携が必要になる。
リスクなしとはいかない。
「……えっと。大丈夫です。問題ありません」
「いや、あるだろうが!」
「まあまあ、落ち着いてください。ちゃんと考えがあってのことなので」
エメラダはそう言って、懐から瓶を取り出した。
そして、それを落とし穴へ放り投げた。
瓶は落下して割れると、中に入っていた液体を周囲にまき散らす。
「ギャアァッ!?」
「ギィイッ!!」
すると、悲鳴のような鳴き声とともに、次々と低級の魔物たちが苦しみ始めた。
「なんだ? 一体、何をしたんだ?」
「毒を撒きました。これなら、楽に討伐できるでしょう? ジョブレベルも上がるはずです」
「お、おう……」
「ほら、見て下さい。あっちのゴブリンなんて、もう死にかかってますよ」
エメラダの言う通り、地面に倒れ伏している個体がいる。
苦しそうな表情を浮かべているが、もうすぐ息絶えるのだろう。
「これは……、凄いな」
「ですよね? これこそが、あたしのとっておきです! さぁ! どんどん追加の毒を投入していきますよ! えいえいおーっ!」
エメラダのテンションが爆上がりする。
それとは対称的に、グレイスの表情はどこか引きつっていたのだった。
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