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第5章

555話 4つの道

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「道は4つに分かれているのか……」

 コウタは呟く。
 正面には大きめの通路が伸びている。
 そして、左に1本、右には2本の道が伸びている。

「コウタ親分、たぶんだけど正面が本命だぜ」

「やはりそうなのか」

「ああ。奥から人の気配がする。魔物とはまた違った雰囲気だ」

 グレイスがそう言った。
 彼女のジョブは『兇賊』だ。
 感覚が研ぎ澄まされている。

「よし。ならば4手に別れるか」

 コウタがそう提案した。

「わたしはご主人様といっしょがいいです!」

「最も厄介なのは、やっぱり人間だろうしね。僕もいくよ」

 シルヴィとユヅキが同行を希望した。
 エルカ迷宮の深層部には、そこらの盗賊よりも強い魔物がウジャウジャいた。
 しかし、このようなダンジョンの卵、それも浅層においては、初級の魔物しか出ない。
 それと比べれば、さすがに盗賊の方が厄介である。

「なら、ボクもいっしょに行くのです」

「へへっ。あたいも行くぜ! この5人で動くのは久しぶりだな!!」

 ミナとリンが名乗り出た。
 2人も『悠久の風』の古参メンバーだ。
 初期の頃は、確かにこの5人で活動していた時期もあった。

「……じゃあ、ティータはこっちに行こうかな……?」

「わたくしもご一緒いたしますわ」

 ティータとローズは左の道を選んだ。
 彼女たちは共に高貴な生まれだ。
 エルフの里の有力者の娘であるティータに、バルドゥール王国のアイゼンシュタイン子爵家の娘であるローズ。
 2人共が品行方正な性格をしている。
 普段から行動を共にすることが多い。
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