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第5章

551話 盗賊団のアジトへ

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「ふーむ。ここが盗賊団のアジトか。意外と小さいな……」

 俺は洞窟の入り口に立ち、内部を覗き見る。
 洞窟の中はかなり薄暗いが、ジョブ補正のおかげで視界は良好だ。

「油断はできないよ、コウタ」

「そうですにゃ。見たところ、ここはダンジョンの卵になってますにゃ」

「分かってるさ。確かに、気は抜けないな。低級の魔物がうろついてやがる」

 この世界のダンジョンの発生手順は、MSCと似たような感じになっている。
 最も多いのは、山岳地帯や森の奥などにある洞窟が入り口になるパターンだ。
 地脈を流れる魔素がそこに溜まり、小さなダンジョンコアの元が生成される。
 近くに住む野生の魔物がそのダンジョンに入り込み、ダンジョンコアが放出する魔素を目当てに定住し繁殖する。
 俺たちの目の前にある洞窟は、ちょうどそれぐらいの段階だ。

 ちなみに、俺たちが以前攻略したエルカ迷宮はもっと成長したダンジョンである。
 あれぐらいの規模になると、野生の魔物はほとんど生息しなくなる。
 ダンジョンコアが魔物を取り込んで解析し、魔素から擬似的な魔物を産み出すようになるからだ。

「俺がざっくりと探った感じじゃあ、中でいくつかの道に分かれているみたいだぜ」

「……えっと。あたしが毒薬でも投げ込みましょうか? これなら一網打尽にできるはずです」

 エメラダがそんなことを言い出す。
 洞窟に毒薬を投げ込む……か。
 確かにそれなら、最小の労力で最大の成果を出すことができるだろう。
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