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第5章

538話 ローズとミナの案

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「では――ミナ殿?」

「行くのです! 【ファイアーボール】!!」

 ボウッ!
 ミナの手のひら上に、炎の玉が生成される。

「ふふっ。その炎をわたくしの矢に纏わせまして……。くらいなさい! 【炎・五月雨撃――」

「待て待て待て!!」

 俺は慌てて止める。
 ローズはキョトンとした顔だ。

「なんですの? コウタ殿」

「なんですの? じゃないだろ……。お前、今なにをしようとした?」

「えっと。ですから、わたくしとミナ殿で協力して……村に火矢を放とうとしましたの」

「おい……」

「村が火事にでもなれば、住民も出てくるでしょう。わたくしが堂々と門から入ることも可能になるはずですわ!」

「目的と手段のバランスを考えてくれ……。そもそも村が燃えたら、俺たちが夜営するところもなくなって困るだろ?」

「あっ……」

 ローズはハッとする。

「そ、そうでしたわ。わたくしったら、つい……」

「まぁいいけどさ。次からは気をつけような」

「はい……」

 ローズはしょんぼりと肩を落とす。
 なんだろう?
 彼女は結構しっかり者だと思っていたが。
 貴族令嬢として生まれ育っただけあって、意外なところで常識が欠けているのだろうか?

 まぁいい。
 次だ次。

「へへっ。みんな物騒だなぁ。あたいなら……」

「……えっと。物を壊すのは良くないと思います。もっと他にいい方法が……」

「わ、私も何かお役に立てないか、考えてみます!」

「ふむ……。騎士である我を村に入れぬとは、村長は叱責してやらねばな。そのためにも、入る方法は一考せねばならないが……」

 リン、エメラダ、チセ、ナディアが思案顔になる。
 彼女たちの知恵と力を借りつつ、この村に入る手段を考えてみることにしよう。
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