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第5章

536話 閉ざされた村

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 俺たち『悠久の風』一行は、王都への道中で山村に立ち寄った。
 小さめの村だが、周囲は柵で覆われている。

 この世界では、魔力が地脈を流れている。
 その関係で、地域によって魔物の出現率や農作物の栽培難度が変化する。
 基本的に山岳部は住むに適した場所ではないのだが、こうして小さめの村であれば作ることも可能だ。

 周囲を柵で覆って防衛しつつ、本当に住むことができるかを見極める感じだな。
 あと何年かすれば、少しずつ柵を外方向に移動させて村を拡大したり、近隣の町との本格的な交易が始まったりもするだろう。
 今はその前段階といったところのようだ。

「……なにか様子が変だね……」

「はい。何かあったんでしょうか?」

 ティータとシルヴィがそう指摘する。
 村の入口は、ガッチリと閉じられていたのだ。
 いや、それだけならいい。
 魔物や盗賊の侵入を防ぐために当然の措置だ。
 妙なのは、見張りや門番が不在であることである。

「コウタ親分、どうするんだ?」

「もちろん、確認をするさ」

「まぁそうだよな……」

「何人か付いてきてくれ」

 俺の言葉に従い、ユヅキ、ミナ、リン、ローズ、グレイス、エメラダ、チセ、ナディアが同行することになった。

「じゃあ行ってくる。もし危険そうならすぐに戻るから、みんなは馬車で待っていてくれ」

「はい! ご主人様!」

「……気をつけてね……」

「コウタさんなら大丈夫ですにゃ」

「お帰りをお待ちしておりますわ」

 シルヴィ、ティータ、セリア、ネリスがそう言って送り出してくれた。

「本当に気をつけてくれよな。――うぅっ……」

「ミルキーさんは心配性なのですぅ」

 本当に、ルンの言う通りだよ。
 馬車を村の前に止めて、内部の異変を探るために馬車を下りただけなのだが……。
 男勝りでパワフルな職人気質といった感じのミルキーだが、こういうところは結構乙女だよな。

「ありがとう。無理はしないから安心してくれ」

「本当だからな!? 約束しろよ!!」

「ああ、分かった」

「……ったく」

 ミルキーは苦笑しながら、見送ってくれるのだった。
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