535 / 1,260
第5章
535話 王都へのルート
しおりを挟む
「――で、彼女たちが馬車の速度に影響しているって?」
「ああ。ゴブリンと遭遇しても、今のようにあっさりと倒しているだろう? 中級以上の魔物が出ても、他の者たちが出れば問題なく対処できている。馬車の速度が遅くなることはない。普通、魔物と遭遇すれば多くの人手を集めて対処するものだ。その間、馬車は停まることになる」
「ふむ……」
確かに理屈は通っている。
馬車の進行方向に魔物が出た場合に、瞬殺できるかどうか。
それは町から町への移動時間に大きな差を生む。
「しかし、それにしても早い気がするが……」
「貴殿らの戦闘能力が高いことは、出発前から分かっていたことだ。当然、それを前提にしたルートを進んでいるとも」
「ああ、そういうことか……」
たくさんの魔物が生息するこの世界を、人族がなぜ生き延びることができているのか?
それは、ジョブを活かして魔物を戦い、ジョブを活かして生産行動をできるからである。
ならばなぜ、ジョブを活かして魔物を駆逐し、人族がまとまって巨大な都市を作らないのか?
その理由はいくつかあるが、最も大きいのは地脈を流れる魔力の関係だ。
魔力の濃淡やその種類により、魔物の発生頻度や凶暴性は大きく変化する。
また、栽培が可能な農作物にも影響が出る。
現時点で町や村がある場所は、人族にとって魔力の濃度や種類がちょうどいい地点なのだ。
人族が開拓できていない土地はまだ大量に残っている。
ちなみに、俺が開拓を指示されているエルカから西方の地域は、『現時点では開拓されていないが、次に開拓するならここ』というぐらいの開拓難易度である。
「安全を過度に重視せず、最短に近いルートで王都に向かっているわけだな」
魔物の出現頻度が少ない場所を通るようにすれば、安全度は高まる。
普通の隊商ならばそうするだろう。
だが、最終的な目的地が決まっている場合、それは遠回りをしていることになる。
俺たち自身が強大な戦闘能力を持っている以上、安全を重視するあまり時間を浪費するのは悪手だ。
「そういうことだ。まぁ、夜営のための村ぐらいは目星を付けているがな。――ほら、見えてきたぞ」
ナディアの声を受け、俺は視線を前に向ける。
そこには、小さめの山村があったのだった。
「ああ。ゴブリンと遭遇しても、今のようにあっさりと倒しているだろう? 中級以上の魔物が出ても、他の者たちが出れば問題なく対処できている。馬車の速度が遅くなることはない。普通、魔物と遭遇すれば多くの人手を集めて対処するものだ。その間、馬車は停まることになる」
「ふむ……」
確かに理屈は通っている。
馬車の進行方向に魔物が出た場合に、瞬殺できるかどうか。
それは町から町への移動時間に大きな差を生む。
「しかし、それにしても早い気がするが……」
「貴殿らの戦闘能力が高いことは、出発前から分かっていたことだ。当然、それを前提にしたルートを進んでいるとも」
「ああ、そういうことか……」
たくさんの魔物が生息するこの世界を、人族がなぜ生き延びることができているのか?
それは、ジョブを活かして魔物を戦い、ジョブを活かして生産行動をできるからである。
ならばなぜ、ジョブを活かして魔物を駆逐し、人族がまとまって巨大な都市を作らないのか?
その理由はいくつかあるが、最も大きいのは地脈を流れる魔力の関係だ。
魔力の濃淡やその種類により、魔物の発生頻度や凶暴性は大きく変化する。
また、栽培が可能な農作物にも影響が出る。
現時点で町や村がある場所は、人族にとって魔力の濃度や種類がちょうどいい地点なのだ。
人族が開拓できていない土地はまだ大量に残っている。
ちなみに、俺が開拓を指示されているエルカから西方の地域は、『現時点では開拓されていないが、次に開拓するならここ』というぐらいの開拓難易度である。
「安全を過度に重視せず、最短に近いルートで王都に向かっているわけだな」
魔物の出現頻度が少ない場所を通るようにすれば、安全度は高まる。
普通の隊商ならばそうするだろう。
だが、最終的な目的地が決まっている場合、それは遠回りをしていることになる。
俺たち自身が強大な戦闘能力を持っている以上、安全を重視するあまり時間を浪費するのは悪手だ。
「そういうことだ。まぁ、夜営のための村ぐらいは目星を付けているがな。――ほら、見えてきたぞ」
ナディアの声を受け、俺は視線を前に向ける。
そこには、小さめの山村があったのだった。
16
お気に入りに追加
1,089
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる