社畜だけど転移先の異世界で【ジョブ設定スキル】を駆使して世界滅亡の危機に立ち向かう ～【最強ハーレム】を築くまで、俺は止まらねぇからよぉ！～

第５章

５３４話 チセ＆ヒナタ

「貴殿ら『悠久の風』の戦闘能力が高いことも関係しているぞ。我が単独でエルカに向かった際には、もっと多くの時間を要した」

「ん？　戦闘能力が移動時間に影響するのか？」

　俺が魔力や闘気を解放して走れば、一般人よりも遥かに早く移動できる。
　特殊ジョブ『英雄』のスキル『アクセル』を使えば、馬ですら追いつけないだろう。
　しかし、それはあくまでも俺が力を解放している間、俺だけが早く移動するという話だ。
　みんなと共に馬車で移動している今のような状況では、個別の戦闘能力は関係ないように思えるが。

「もちろん関係ある。例えば……ほら、今がまさにそうだ」

「今？　ああ、あれか」

　俺は馬車の前方に視線を向ける。
　そこでは、馬車から下りて戦闘をしている少女たちの姿があった。
　相手は数匹のゴブリンだ。

「――【ララバイ】です！」

　『眠魔法使い』のチセが放った魔法で、ゴブリンがまどろみ始める。
　状態異常系の魔法は、術者自身の魔法出力、そして相手の魔法抵抗力の高低によって効き具合が変動する。
　ゴブリン程度の相手なら、戦闘中であっても即座に眠らせることも可能だ。
　それに、たとえ深い睡眠には至らなくとも、眠気を感じさせて集中力を阻害するだけでも効果は大きい。

「狐火――【鳳仙花】！！」

　『火妖術使い』のヒナタの攻撃で、炎の球がいくつも放たれた。
　その攻撃は、眠りの魔法の影響下にあるゴブリンたちに直撃する。

「「ギャアアッ！！」」

　炎を受けたゴブリンたちは絶命し、地面へと崩れ落ちた。
　戦闘を終えた彼女たちは、すぐ傍で見守っていたユヅキと共に馬車へと戻って来る。

「お疲れ様。さすがだな」

「えへへっ！　ありがとうございます！」

「はうぅ……。ご主人しゃまに褒められちゃいましたぁ……」

　チセとヒナタは嬉しそうに笑った。
　『悠久の風』の中でも新人の彼女たちには、優先的にレベリングをしてもらっている。
　馬車を狙ってくる雑魚の狩りは彼女たちの役目だ。
　保険として誰か一人は傍で待機するようにしているし、大きな問題が発生することはない。