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第5章
525話 ナディアとのお話
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俺たち『悠久の風』と女騎士ナディアは、冒険者ギルドの応接室で向かい合っている。
15人対1人。
雰囲気的には完全にこちらが優勢。
実戦力も当然こちらが上だし、身分の面でも男爵位を持つ俺がいるこちら側が上だ。
「さて……、俺は怒っている。理由は分かるな? お前がシルヴィを貶めたからだ」
「わ、我はそんなつもりは……」
「うるさい!! お前がそんなつもりじゃなくても、俺にとってはそうだったんだ!!」
「ひっ!?」
俺が怒鳴ると、ナディアはビクッとして肩を震わせる。
「いいか! 俺にとって、シルヴィは天使みたいな女の子だ! そのシルヴィを辱めるような奴は、例えどんな理由があったとしても絶対に許さない! シルヴィを泣かせる奴も、シルヴィを虐げる奴も、シルヴィに酷いことをする奴らも、俺の敵だ!!」
「ご主人様……」
シルヴィが感動に目を潤ませている。
「わ、我はウルゴ陛下の命を受け、『毒蛇団』の掃討作戦の進捗を確認しに来ただけだ……。貴殿と対立するつもりはない。どうか、矛を収めてはくれないだろうか?」
ナディアが恐る恐るという感じで口を開く。
強気な堅物騎士といった雰囲気の彼女だが、さすがに1対15ではアウェー過ぎるか。
ずいぶんと大人しい態度になったものだ。
少しでも反抗的な態度を見せてくれば、15人で罵詈雑言の嵐を浴びせて心を折り、全裸土下座で謝罪させるつもりだったが……。
良くも悪くも、アテが外れてしまった。
まぁいい。
それならそれで、理知的に話を進めていくだけだ。
「ふん。先ほども言ったが、条件次第だな」
「貴殿が求めるのは何だ? 金、地位、名誉……。此度の任務達成を受け、元よりウルゴ陛下から貴殿には恩賞が与えられるだろう。我の裁量権の範囲内で、出来得る限りそれらを上乗せするよう取り計らうことはできるが……」
「そうだなぁ。その中では、名誉が一番欲しいところだ」
金は大切だ。
これから西部地域を開拓してエウロス男爵領として発展させていく上で、元手は多い方がいい。
だが、高ランク冒険者である俺たちなら他にいくらでも稼ぐ機会はある。
今回の件で元々貰える予定であった金やエルカ迷宮で得た金銀財宝もあるし、女騎士ナディアの裁量権内で上乗せできる程度の金を得たところで大した価値はない。
地位はどうか?
現状の男爵位でも十分だが、さらにその上の子爵や伯爵になることができれば大きい。
社会的身分が上がることにより、一般民衆から俺への憧れや忠誠心なども増すだろう。
そうなれば、そこらの一般民衆たちに対して気軽に『パーティメンバー設定』のスキルを発動することすら可能になる日が来るかもしれない。
とはいえ、『毒蛇団』の掃討に成功した程度でさらなる陞爵は厳しいだろう。
たとえナディアの後押しがあったとしても、誤差の範囲内だ。
そもそも現状の男爵位だって、将来への期待値込みでやや例外的な叙爵だったしな。
というわけで、欲しいのは名誉となる。
「わ、分かった。王都に帰還したら、貴殿の活躍ぶりを必ず陛下に報告しよう」
ナディアはそう答えたのだった。
15人対1人。
雰囲気的には完全にこちらが優勢。
実戦力も当然こちらが上だし、身分の面でも男爵位を持つ俺がいるこちら側が上だ。
「さて……、俺は怒っている。理由は分かるな? お前がシルヴィを貶めたからだ」
「わ、我はそんなつもりは……」
「うるさい!! お前がそんなつもりじゃなくても、俺にとってはそうだったんだ!!」
「ひっ!?」
俺が怒鳴ると、ナディアはビクッとして肩を震わせる。
「いいか! 俺にとって、シルヴィは天使みたいな女の子だ! そのシルヴィを辱めるような奴は、例えどんな理由があったとしても絶対に許さない! シルヴィを泣かせる奴も、シルヴィを虐げる奴も、シルヴィに酷いことをする奴らも、俺の敵だ!!」
「ご主人様……」
シルヴィが感動に目を潤ませている。
「わ、我はウルゴ陛下の命を受け、『毒蛇団』の掃討作戦の進捗を確認しに来ただけだ……。貴殿と対立するつもりはない。どうか、矛を収めてはくれないだろうか?」
ナディアが恐る恐るという感じで口を開く。
強気な堅物騎士といった雰囲気の彼女だが、さすがに1対15ではアウェー過ぎるか。
ずいぶんと大人しい態度になったものだ。
少しでも反抗的な態度を見せてくれば、15人で罵詈雑言の嵐を浴びせて心を折り、全裸土下座で謝罪させるつもりだったが……。
良くも悪くも、アテが外れてしまった。
まぁいい。
それならそれで、理知的に話を進めていくだけだ。
「ふん。先ほども言ったが、条件次第だな」
「貴殿が求めるのは何だ? 金、地位、名誉……。此度の任務達成を受け、元よりウルゴ陛下から貴殿には恩賞が与えられるだろう。我の裁量権の範囲内で、出来得る限りそれらを上乗せするよう取り計らうことはできるが……」
「そうだなぁ。その中では、名誉が一番欲しいところだ」
金は大切だ。
これから西部地域を開拓してエウロス男爵領として発展させていく上で、元手は多い方がいい。
だが、高ランク冒険者である俺たちなら他にいくらでも稼ぐ機会はある。
今回の件で元々貰える予定であった金やエルカ迷宮で得た金銀財宝もあるし、女騎士ナディアの裁量権内で上乗せできる程度の金を得たところで大した価値はない。
地位はどうか?
現状の男爵位でも十分だが、さらにその上の子爵や伯爵になることができれば大きい。
社会的身分が上がることにより、一般民衆から俺への憧れや忠誠心なども増すだろう。
そうなれば、そこらの一般民衆たちに対して気軽に『パーティメンバー設定』のスキルを発動することすら可能になる日が来るかもしれない。
とはいえ、『毒蛇団』の掃討に成功した程度でさらなる陞爵は厳しいだろう。
たとえナディアの後押しがあったとしても、誤差の範囲内だ。
そもそも現状の男爵位だって、将来への期待値込みでやや例外的な叙爵だったしな。
というわけで、欲しいのは名誉となる。
「わ、分かった。王都に帰還したら、貴殿の活躍ぶりを必ず陛下に報告しよう」
ナディアはそう答えたのだった。
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