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第5章
523話 無礼討ち
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女騎士ナディアとシルヴィが口論をした。
シルヴィが劣勢に立たされてしまったので、俺は仲裁に入ることにした。
まずはアルヴィンの首を取り出し、『毒蛇団』の掃討作戦が無事に終わったことを改めて主張する。
「俺たち『悠久の風』にとっては、大したことのない敵だったぞ? 隠れてコソコソするのだけは上手かったがな。お前がバカにしたシルヴィも、それはそれは大活躍してくれた」
「むふーっ!」
シルヴィが鼻息荒く胸を張る。
「そ、そんな……エウロス男爵殿が……『悠久の風』がこれほどの強さだとは……」
「まぁ、そういうわけだ」
「うぅ……。我は、とんでもない思い違いをしていたようだ……」
「わかってくれれば良いさ。じゃあ、この話はこれで終わりだな。お互い忘れようぜ?」
俺はそう声を掛ける。
ナディアはホッと胸を撫で下ろした様子だ。
まぁ、半ば舐めていた相手が、想定以上の功績を見せつけたのだ。
焦るのはよく分かる。
俺は、慕ってくる女を虐める趣味を持っていない。
多少の無礼など、いつもならあまり気に留めないところだが……。
「――なんて言うと思ったか?」
「…………は? ……え?」
「ナディア。お前は俺の可愛いシルヴィを辱めた。これは万死に値する罪だ」
「いや、ちょ、ちょっと待て! あれは、その、言葉の綾というか……!」
「問答無用!!」
俺は右手に剣を構える。
「ひぃっ!?」
「シルヴィは、貴族である俺の奴隷だ。そんな彼女を貶めるのは、つまりは俺を敵に回すということだぞ? 無礼討ちされても文句は言えんと、理解しているのか?」
「わ、我は、貴殿を侮ったつもりは……!」
「うるさい!! シルヴィを虐げたお前に人権はないッ!!!」
「い、いやあああああああっ!?」
俺はナディアへ斬りかかる。
が、直前でシルヴィが俺の腕にしがみついてくる。
「ご主人様! 落ち着いてください~!」
「邪魔をするな! こいつには、俺の可愛いシルヴィを虐めた報いを受けさせなければならないんだ!」
「ダメです! お気持ちは嬉しいですが、そんなことをすればウルゴ陛下の心象を悪くするかもしれません!」
「ぐぬっ……。だが、シルヴィへの愛の前では、陛下ごとき……」
俺がそこまで言い掛けたところで、今度はローズやティータまでもが俺を止めに入ってきた。
「シルヴィ殿の言う通りですわ。ここでナディア殿を斬ってしまえば、わたくしたちは国家反逆罪に問われることになるかもしれません」
「……その通り。コウタちゃんは強いけど、さすがに国家そのものを敵に回すのは得策じゃない……」
「……わかったよ」
確かに、国に逆らうのは良くないな。
俺の愛するハーレムメンバーたちをも危険に晒すことに繋がる。
シルヴィを苛められた腹いせにナディアを斬って、それに対する報復でシルヴィを含めたみんなを危険に晒すのであれば、本末転倒だ。
俺は渋々ながらも、剣を収めることにするのだった。
シルヴィが劣勢に立たされてしまったので、俺は仲裁に入ることにした。
まずはアルヴィンの首を取り出し、『毒蛇団』の掃討作戦が無事に終わったことを改めて主張する。
「俺たち『悠久の風』にとっては、大したことのない敵だったぞ? 隠れてコソコソするのだけは上手かったがな。お前がバカにしたシルヴィも、それはそれは大活躍してくれた」
「むふーっ!」
シルヴィが鼻息荒く胸を張る。
「そ、そんな……エウロス男爵殿が……『悠久の風』がこれほどの強さだとは……」
「まぁ、そういうわけだ」
「うぅ……。我は、とんでもない思い違いをしていたようだ……」
「わかってくれれば良いさ。じゃあ、この話はこれで終わりだな。お互い忘れようぜ?」
俺はそう声を掛ける。
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まぁ、半ば舐めていた相手が、想定以上の功績を見せつけたのだ。
焦るのはよく分かる。
俺は、慕ってくる女を虐める趣味を持っていない。
多少の無礼など、いつもならあまり気に留めないところだが……。
「――なんて言うと思ったか?」
「…………は? ……え?」
「ナディア。お前は俺の可愛いシルヴィを辱めた。これは万死に値する罪だ」
「いや、ちょ、ちょっと待て! あれは、その、言葉の綾というか……!」
「問答無用!!」
俺は右手に剣を構える。
「ひぃっ!?」
「シルヴィは、貴族である俺の奴隷だ。そんな彼女を貶めるのは、つまりは俺を敵に回すということだぞ? 無礼討ちされても文句は言えんと、理解しているのか?」
「わ、我は、貴殿を侮ったつもりは……!」
「うるさい!! シルヴィを虐げたお前に人権はないッ!!!」
「い、いやあああああああっ!?」
俺はナディアへ斬りかかる。
が、直前でシルヴィが俺の腕にしがみついてくる。
「ご主人様! 落ち着いてください~!」
「邪魔をするな! こいつには、俺の可愛いシルヴィを虐めた報いを受けさせなければならないんだ!」
「ダメです! お気持ちは嬉しいですが、そんなことをすればウルゴ陛下の心象を悪くするかもしれません!」
「ぐぬっ……。だが、シルヴィへの愛の前では、陛下ごとき……」
俺がそこまで言い掛けたところで、今度はローズやティータまでもが俺を止めに入ってきた。
「シルヴィ殿の言う通りですわ。ここでナディア殿を斬ってしまえば、わたくしたちは国家反逆罪に問われることになるかもしれません」
「……その通り。コウタちゃんは強いけど、さすがに国家そのものを敵に回すのは得策じゃない……」
「……わかったよ」
確かに、国に逆らうのは良くないな。
俺の愛するハーレムメンバーたちをも危険に晒すことに繋がる。
シルヴィを苛められた腹いせにナディアを斬って、それに対する報復でシルヴィを含めたみんなを危険に晒すのであれば、本末転倒だ。
俺は渋々ながらも、剣を収めることにするのだった。
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