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第5章
516話 赤狐族の少女
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ミルキーとルンの無事を確認した。
俺は次に、もう1人の少女に視線を向ける。
「君の名前はなんていうんだい?」
「…………」
俺が問いかけるが、反応はない。
グレイスにより、鎖の拘束からは解放されている。
先ほどローズがしっかり治療魔法も掛けてくれていたし、体調にも問題はないはずだが……。
「う、うぐっ……。ひっく……」
「え!? ど、どうした!?」
急に嗚咽し始めた彼女に、俺は慌てて駆け寄る。
「うわぁぁん! 怖かったよぉ!」
「お、おい。泣くなって。もう大丈夫だから……」
「だって……だってぇ!」
「お、落ち着け。ほら、深呼吸しろ」
俺は彼女を抱き寄せると、背中をさすった。
「ヒッヒッフーだ。いい子だ。ゆっくり息をするんだ」
「ヒッヒッ……ふー……。すぅ……はぁ……。すぅ……はぁ……」
「よしよし、落ち着いたか?」
「うん……。ありがとう……。あなた、優しい人なんだね……」
少し落ち着いてきた少女が、俺の顔を見上げてきた。
俺はニコッと笑いかける。
「君はどうして捕まっていたんだい?」
「村が……盗賊に襲われたの……。お父さんやお母さんも、みんな殺されて……」
「……それは大変だったな。でも、なんでこんな場所に……」
「人族は……獣人を差別するから……。特にぼくたち『赤狐族』は珍しいらしくて……」
「なるほど……」
人種差別、そして奴隷狩り。
MSCでもあったことだ。
獣人と言えば、『茶犬族』のユヅキ、『金兎族』のリン、『海猫族』のセリアあたりも獣人ではある。
だが、彼女たちの種族は比較的メジャーであり、人族との交わり始めてからの歴史もそれなりに長く、人族の文化に溶け込んでいる。
一方、人族と交流を持たない種族もある。
例えばシルヴィの『白狼族』はやや珍しい少数種族であり、人族ともあまり交わっていない。
ただ、戦闘系の部族である『白狼族』なら奴隷狩りにも武力で抵抗できるし、そもそもこの国において奴隷狩りは違法である。
それなのにシルヴィが奴隷堕ちしたのは、確か村で諍いがあったのだったか。
そう言えば、そのあたりの詳細はまだ聞き出せていないな。
ま、今は置いておこう。
「大変だったんだな。これからはもう大丈夫だ。俺が守ってやるからな」
「本当……? 助けてくれるの……?」
「ああ。俺たちに任せろ。見ての通り、君を捕らえていた盗賊は俺たちが全員ぶち殺した。そしてこれからも、俺たちに敵対する者には容赦しない。君が心配することなど、もう何もない」
俺は彼女の瞳を真っ直ぐ見つめる。
すると、少女の目に涙が浮かんだ。
「うっ……。うぅ……。ありがと……。本当にありがとう……。うわぁぁぁん!」
彼女は再び俺の胸に顔を埋め、泣き始めたのだった。
俺は次に、もう1人の少女に視線を向ける。
「君の名前はなんていうんだい?」
「…………」
俺が問いかけるが、反応はない。
グレイスにより、鎖の拘束からは解放されている。
先ほどローズがしっかり治療魔法も掛けてくれていたし、体調にも問題はないはずだが……。
「う、うぐっ……。ひっく……」
「え!? ど、どうした!?」
急に嗚咽し始めた彼女に、俺は慌てて駆け寄る。
「うわぁぁん! 怖かったよぉ!」
「お、おい。泣くなって。もう大丈夫だから……」
「だって……だってぇ!」
「お、落ち着け。ほら、深呼吸しろ」
俺は彼女を抱き寄せると、背中をさすった。
「ヒッヒッフーだ。いい子だ。ゆっくり息をするんだ」
「ヒッヒッ……ふー……。すぅ……はぁ……。すぅ……はぁ……」
「よしよし、落ち着いたか?」
「うん……。ありがとう……。あなた、優しい人なんだね……」
少し落ち着いてきた少女が、俺の顔を見上げてきた。
俺はニコッと笑いかける。
「君はどうして捕まっていたんだい?」
「村が……盗賊に襲われたの……。お父さんやお母さんも、みんな殺されて……」
「……それは大変だったな。でも、なんでこんな場所に……」
「人族は……獣人を差別するから……。特にぼくたち『赤狐族』は珍しいらしくて……」
「なるほど……」
人種差別、そして奴隷狩り。
MSCでもあったことだ。
獣人と言えば、『茶犬族』のユヅキ、『金兎族』のリン、『海猫族』のセリアあたりも獣人ではある。
だが、彼女たちの種族は比較的メジャーであり、人族との交わり始めてからの歴史もそれなりに長く、人族の文化に溶け込んでいる。
一方、人族と交流を持たない種族もある。
例えばシルヴィの『白狼族』はやや珍しい少数種族であり、人族ともあまり交わっていない。
ただ、戦闘系の部族である『白狼族』なら奴隷狩りにも武力で抵抗できるし、そもそもこの国において奴隷狩りは違法である。
それなのにシルヴィが奴隷堕ちしたのは、確か村で諍いがあったのだったか。
そう言えば、そのあたりの詳細はまだ聞き出せていないな。
ま、今は置いておこう。
「大変だったんだな。これからはもう大丈夫だ。俺が守ってやるからな」
「本当……? 助けてくれるの……?」
「ああ。俺たちに任せろ。見ての通り、君を捕らえていた盗賊は俺たちが全員ぶち殺した。そしてこれからも、俺たちに敵対する者には容赦しない。君が心配することなど、もう何もない」
俺は彼女の瞳を真っ直ぐ見つめる。
すると、少女の目に涙が浮かんだ。
「うっ……。うぅ……。ありがと……。本当にありがとう……。うわぁぁぁん!」
彼女は再び俺の胸に顔を埋め、泣き始めたのだった。
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