512 / 1,260
第5章
512話 コウタvsアルヴィン 後編
しおりを挟む
アルヴィンがネリスに向けて毒霧を噴射した。
これは毒魔法だ。
MSCでも見たことがあるし、もちろん知っている。
なかなか厄介な魔法だ。
さっき生成したような岩壁では防ぎきれないだろう。
小さな隙間からでも毒霧は侵入してくるからだ。
「ふん。無駄だよ。――【ファイアーウォール】」
俺は毒霧からネリスたちを守るように、炎の壁を生成する。
これなら、毒霧がすり抜けてくることはない。
「な、なんだと!?」
「お前……自分の二つ名ぐらい知らんのか? 『毒霧』とか言われている奴と戦うんだから、もちろん対応策ぐらい考えているさ」
「くそぉ! てめぇ! いったいいくつの魔法を……。ただの『好色』じゃなかったのか!?」
「ん? 好色だと?」
俺の女好きっぷりが広まっているのだろうか?
まぁ、別に構わないが。
「こうなりゃ最後の手を――」
アルヴィンが懐に右手を入れる。
追い詰められた悪役が行う、お決まりのパターンだな。
力を得て異形の姿になる強化薬とか、町ごと何らかの危険に晒す巨大魔法陣の起動ボタンとか、あるいは自爆スイッチとかでも持っているのだろうか?
気になるが、愛する女たちがいるこの場で悠長に眺めている必要性はない。
「させんと言っているだろう。――【アイシクルスピア】」
「ぎゃあああぁっ!!」
俺の放った氷の槍が、アルヴィンの右腕を貫く。
そのまま体まで貫通し、彼に大ダメージを与えた。
「がはっ! あ、腕が、血が……。ちくしょう……」
「これでお前も終わりだな。そしてこれが最後の通告だ。大人しく降参するなら、この場で殺すのはやめておいてやる」
「ぐぅ……」
俺の言葉を聞いたアルヴィンは、悔しそうに歯噛みをする。
だが、彼の答えは――
「……誰がてめえなんぞに屈するかよ!」
「では仕方ないな。――【エアリアル・ウィンド】」
「ぐわっ!? き、急に体が浮いて……。う、動けん!!」
俺は風の魔法でアルヴィンを宙に浮かせた。
周囲に密度の高い空気の塊を配置しているイメージだ。
これでもう逃げられないし、抵抗もできない。
超能力好きの人が見れば、サイコキネシスで浮かせているように見えるかもな。
「ネリス、こっちに来てくれ」
「承知しました。エウロス様」
彼女は素直に従い、こちらに来る。
俺は彼女を優しく抱き留める。
改めて見てもいい女だ。
シルヴィやユヅキよりも年上だが、これはこれで色香がある。
俺は彼女を抱きしめたまま、チラリとアルヴィンに視線を向ける。
「ネ、ネリスぅ……! 殺せ! そ、そいつを殺せぇ!!!」
彼は俺の風魔法で宙に拘束されたまま、血走った目でそう叫んだのだった。
これは毒魔法だ。
MSCでも見たことがあるし、もちろん知っている。
なかなか厄介な魔法だ。
さっき生成したような岩壁では防ぎきれないだろう。
小さな隙間からでも毒霧は侵入してくるからだ。
「ふん。無駄だよ。――【ファイアーウォール】」
俺は毒霧からネリスたちを守るように、炎の壁を生成する。
これなら、毒霧がすり抜けてくることはない。
「な、なんだと!?」
「お前……自分の二つ名ぐらい知らんのか? 『毒霧』とか言われている奴と戦うんだから、もちろん対応策ぐらい考えているさ」
「くそぉ! てめぇ! いったいいくつの魔法を……。ただの『好色』じゃなかったのか!?」
「ん? 好色だと?」
俺の女好きっぷりが広まっているのだろうか?
まぁ、別に構わないが。
「こうなりゃ最後の手を――」
アルヴィンが懐に右手を入れる。
追い詰められた悪役が行う、お決まりのパターンだな。
力を得て異形の姿になる強化薬とか、町ごと何らかの危険に晒す巨大魔法陣の起動ボタンとか、あるいは自爆スイッチとかでも持っているのだろうか?
気になるが、愛する女たちがいるこの場で悠長に眺めている必要性はない。
「させんと言っているだろう。――【アイシクルスピア】」
「ぎゃあああぁっ!!」
俺の放った氷の槍が、アルヴィンの右腕を貫く。
そのまま体まで貫通し、彼に大ダメージを与えた。
「がはっ! あ、腕が、血が……。ちくしょう……」
「これでお前も終わりだな。そしてこれが最後の通告だ。大人しく降参するなら、この場で殺すのはやめておいてやる」
「ぐぅ……」
俺の言葉を聞いたアルヴィンは、悔しそうに歯噛みをする。
だが、彼の答えは――
「……誰がてめえなんぞに屈するかよ!」
「では仕方ないな。――【エアリアル・ウィンド】」
「ぐわっ!? き、急に体が浮いて……。う、動けん!!」
俺は風の魔法でアルヴィンを宙に浮かせた。
周囲に密度の高い空気の塊を配置しているイメージだ。
これでもう逃げられないし、抵抗もできない。
超能力好きの人が見れば、サイコキネシスで浮かせているように見えるかもな。
「ネリス、こっちに来てくれ」
「承知しました。エウロス様」
彼女は素直に従い、こちらに来る。
俺は彼女を優しく抱き留める。
改めて見てもいい女だ。
シルヴィやユヅキよりも年上だが、これはこれで色香がある。
俺は彼女を抱きしめたまま、チラリとアルヴィンに視線を向ける。
「ネ、ネリスぅ……! 殺せ! そ、そいつを殺せぇ!!!」
彼は俺の風魔法で宙に拘束されたまま、血走った目でそう叫んだのだった。
16
お気に入りに追加
1,089
あなたにおすすめの小説
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。
2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
孤高のミグラトリー 〜正体不明の謎スキル《リーディング》で高レベルスキルを手に入れた狩人の少年は、意思を持つ変形武器と共に世界を巡る〜
びゃくし
ファンタジー
そこは神が実在するとされる世界。人類が危機に陥るたび神からの助けがあった。
神から人類に授けられた石版には魔物と戦う術が記され、瘴気獣と言う名の大敵が現れた時、天成器《意思持つ変形武器》が共に戦う力となった。
狩人の息子クライは禁忌の森の人類未踏域に迷い込む。灰色に染まった天成器を見つけ、その手を触れた瞬間……。
この物語は狩人クライが世界を旅して未知なるなにかに出会う物語。
使い手によって異なる複数の形態を有する『天成器』
必殺の威力をもつ切り札『闘技』
魔法に特定の軌道、特殊な特性を加え改良する『魔法因子』
そして、ステータスに表示される謎のスキル『リーディング』。
果たしてクライは変わりゆく世界にどう順応するのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる