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第5章

511話 コウタvsアルヴィン 前編

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 ネリスが俺に突き立てたナイフはギミックナイフだったということをタネ明かしした。

「ご、ご主人様ぁ! 心配しました!!」

「まったくもう……! ぼ、僕だってコウタがいなくなったら……」

「コウタくんが死んじゃったら、ボクは生きていけないのです!」

「へへっ。心配させやがってよぉ……。コウタっち!」

 シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンカが口々に言う。

「ごめんな。みんなを悲しませるつもりはなかった。だが、敵を騙すにはまず味方からだって言うだろ?」

「……理屈は分かる。でも、本当に死んだかと思った……」

「おかしいと思ってはいたのです。わたくしの治療魔法が効きませんでしたから」

「コウタ親分は演技力も凄ぇんだな。盗賊になっても、だまし討ちでひと稼ぎできると思うぜ。俺も、思わず涙ぐんじまったよ……」

 ティータ、ローズ、グレイスも俺の無事を確認して安堵している。
 彼女たちにも心配をかけてしまったようだ。
 後で埋め合わせをしないとな。
 しかし、それはそれとして――

「くっ……。これで優位に立ったつもりか!? ネリスから電流スイッチを取り返せばまた戦況は元通りになる!!」

 アルヴィンが吠える。
 確かにその通りではある。
 電流スイッチを再びアルヴィンが手にすれば、いつでもミルキーやルンを害することができる状態になる。
 その状況になってしまうと、俺は思うように動けない。
 英雄のスキル『アクセル』で超速で動いても、うっかり電流スイッチを誤作動させてしまう可能性があるからな。

「させると思うのか? ――【ロックウォール】」

 俺は土魔法を発動させる。
 壁のように隆起した岩の壁が、アルヴィンの前に出現した。

「なっ!?」

「アルヴィン、貴様には色々と聞きたいことがある。大人しくしてもらおうか」

「くっ……!! ふざけんな!! 誰がてめぇなんかに捕まるかよ!!」

 彼は岩壁を殴って破壊する。
 なかなかの打撃力だな。
 冒険者ランクで言えばAランク相当というのは、間違いではないらしい。
 岩壁を突破した彼は、ネリスに向かって走る。

「ならこっちだ。――【パラライズ】」

 俺は雷魔法を放つ。
 麻痺性の電撃が、アルヴィンに直撃した。

「ぐあっ!? か、体が痺れて……。くっ!!」

 彼は膝をついたが、倒れ込みはしなかった。
 本当にやるじゃないか。
 俺は感心した。
 そこらのチンピラレベルだったら、瞬時に体の自由がなくなり倒れ込んでもおかしくはなかったのに。

「だが、そうなってはもう終わりだろ? 観念するんだな」

「ちぃっ! せめて裏切り者の始末だけでも――【ポイズン・ミスト】!!!」

 アルヴィンの手から毒霧が吹き出す。
 狙いはネリスか。
 近くにいるミルキーやルンも、このままでは無事では済まない。
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