509 / 1,331
第5章
509話 仕留め損ない?
しおりを挟む
「くくく……。厄介な『悠久の風』も、リーダーが倒れれば形無しだな」
アルヴィンが腰に差していた剣を抜きながら近寄ってくる。
完全に油断しきっているようだ。
「コウタっち!」
「コウタくん!」
「ご主人様……こんな、こんな……!」
「…………ッ!」
「いや……いやああぁあ!!」
「コウタ親分ーー!!」
リン、ミナ、シルヴィ、ティータ、ローズ、グレイス。
みんなが動転して、俺を囲んでいる。
もはや戦闘どころではないな。
アルヴィンの指摘通り、リーダーの俺が倒れるとこんなに脆いとは。
それだけみんなから慕われているという事実に嬉しく思う気持ちもあるが……。
『今後』の改善は必須だ。
「そ、それ以上近づかないでください!」
「コウタさんは私たちが守りますにゃ!」
かろうじて戦意を喪失していないのは、エメラダとセリアか。
彼女たちは『悠久の風』に加入してやや日が浅いので、俺への想いが薄い。
――いや、こんな考え方は彼女たちに失礼だな。
俺が倒れた今、必死に『悠久の風』の戦線を維持しようとしてくれているのだ。
これはこれで、とても素晴らしいことだと考えるべきだ。
「まずはお前ら2人からだ。死ね、雑魚が!!」
アルヴィンが剣を振り上げる。
そのとき――。
「――ぐはぁっ!?」
アルヴィンの身体に衝撃が走った。
彼が宙を舞う。
「えっ?」
「何が起きたのですにゃ!?」
エメラダとセリアが困惑の声を上げる。
「ぐっ……」
アルヴィンは、苦悶の声を漏らしながら地面に落下する。
「ふん……。『毒霧』のアルヴィンとやらも、この程度か」
彼を攻撃したのは、俺だ。
英雄のスキル『アクセル』を使用すれば、倒れた状態からでも一瞬で起き上がりこうして攻撃することが可能である。
「へ? ご主人様?」
「き、傷は大丈夫なの?」
「問題ない」
シルヴィとユヅキに、俺は無事をアピールする。
別に無理して動いているわけではない。
本当に何の問題もないのだ。
「ちっ……。ネリスの奴、仕留め損ないやがって……。傷が浅かったようだな」
アルヴィンが立ち上がる。
弾き飛ばしたぐらいでは致命傷には至らないか。
もちろん、『アクセル』によって加速した状態から全力で攻撃すれば一撃で葬ることも可能だった。
敢えてそうしなかったのは、コイツに報復するためだ。
ミルキーとルンを誘拐した罪は、楽に死なせるだけでは済ませることができない。
「アルヴィンとやら、お前は楽には殺さん」
俺は彼を睨みながら、そう宣言したのだった。
アルヴィンが腰に差していた剣を抜きながら近寄ってくる。
完全に油断しきっているようだ。
「コウタっち!」
「コウタくん!」
「ご主人様……こんな、こんな……!」
「…………ッ!」
「いや……いやああぁあ!!」
「コウタ親分ーー!!」
リン、ミナ、シルヴィ、ティータ、ローズ、グレイス。
みんなが動転して、俺を囲んでいる。
もはや戦闘どころではないな。
アルヴィンの指摘通り、リーダーの俺が倒れるとこんなに脆いとは。
それだけみんなから慕われているという事実に嬉しく思う気持ちもあるが……。
『今後』の改善は必須だ。
「そ、それ以上近づかないでください!」
「コウタさんは私たちが守りますにゃ!」
かろうじて戦意を喪失していないのは、エメラダとセリアか。
彼女たちは『悠久の風』に加入してやや日が浅いので、俺への想いが薄い。
――いや、こんな考え方は彼女たちに失礼だな。
俺が倒れた今、必死に『悠久の風』の戦線を維持しようとしてくれているのだ。
これはこれで、とても素晴らしいことだと考えるべきだ。
「まずはお前ら2人からだ。死ね、雑魚が!!」
アルヴィンが剣を振り上げる。
そのとき――。
「――ぐはぁっ!?」
アルヴィンの身体に衝撃が走った。
彼が宙を舞う。
「えっ?」
「何が起きたのですにゃ!?」
エメラダとセリアが困惑の声を上げる。
「ぐっ……」
アルヴィンは、苦悶の声を漏らしながら地面に落下する。
「ふん……。『毒霧』のアルヴィンとやらも、この程度か」
彼を攻撃したのは、俺だ。
英雄のスキル『アクセル』を使用すれば、倒れた状態からでも一瞬で起き上がりこうして攻撃することが可能である。
「へ? ご主人様?」
「き、傷は大丈夫なの?」
「問題ない」
シルヴィとユヅキに、俺は無事をアピールする。
別に無理して動いているわけではない。
本当に何の問題もないのだ。
「ちっ……。ネリスの奴、仕留め損ないやがって……。傷が浅かったようだな」
アルヴィンが立ち上がる。
弾き飛ばしたぐらいでは致命傷には至らないか。
もちろん、『アクセル』によって加速した状態から全力で攻撃すれば一撃で葬ることも可能だった。
敢えてそうしなかったのは、コイツに報復するためだ。
ミルキーとルンを誘拐した罪は、楽に死なせるだけでは済ませることができない。
「アルヴィンとやら、お前は楽には殺さん」
俺は彼を睨みながら、そう宣言したのだった。
17
お気に入りに追加
1,096
あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる