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第5章

506話 悠久の風vs毒蛇団

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 俺たち『悠久の風』と『毒蛇団』の戦いが始まろうとしている。
 まずは、下っ端たちが襲いかかってくるが――

「100万ボルト……【ジャムブウル】!!」

 迎え撃つのは、リンの雷魔法だ。
 彼女のジョブもかなり育っており、その魔法の威力は高い。

「ぎゃあっ!?」

「うわああっ!?」

「痺れるぅぅぅぅぅっ!!!」

 彼女の雷魔法によって、何人もの盗賊が黒焦げになり倒れた。

「な、なんだ、あの女は……」

「あんな魔法を使うなんて……」

「ひ、怯むな! 次はこっちのチビだ!」

 残りの下っ端は”チビ”に狙いを定めたようだ。
 この場にいるメンバーで背が低いのは、もしかしてチセか?
 彼女は非戦闘員だし、狙われたらひとたまりもない。
 弱いところから崩すのが定石とはいえ、あまりにも卑劣すぎるだろう。

「チセっ! 俺の後ろに――ん?」

「死ねやぁああっ!」

「くたばれぇっ!!」

 奴らが狙ったのはチセではなかったようだ。
 彼らはミナの方に駆け寄っていく。
 確かに、ドワーフのミナの身長もかなり低い。

「…………」

「ひゃははぁっ! ビビって声も出ねぇようだな!」

「まずは1人だ!!」

 グサリ。
 棒立ちになっているミナに、盗賊たちの剣が突き刺さる。

「……誰がチビなのです?」

「へ? ど、どうして生きているんだ! 確かに剣を突き刺して――」

「ぎゃああぁっ! 熱いっ! それに痛ぇ! なんだこの力は!!」

 ミナは静かながらも激しい怒気を発している。
 彼女は左右の手で盗賊の手を掴んだかと思うと、斜め上の方向に投げ飛ばした。
 そして、拳をグッと握りしめ――

「【火拳】! なのです!!」

「「ぎゃああぁっ!!」」

 空中を飛ぶ盗賊たちを、ミナの火魔法が襲う。
 彼らは大火力により一瞬で燃え尽きた。

「これで下っ端たちは全滅だな」

「おうおう! 好き勝手やってくれんじゃねぇか!」

「数合わせの下っ端どもを蹴散らしたからって、いい気になるなよ!」

 中堅の盗賊たちが武器を構えながら近づいてくる。
 奴らはそこそこ強いし、油断はできない。

「……【リーフブレード】……」

「【ダブルアローショット】ですわ!」

「【クイックラッシュ】だぜ!」

「……えっと。【ダークネスブラスト】です」

「【ウォーターアロー】にゃ!」

 だが、そんな心配は無用だった。
 ティータ、ローズ、グレイス、エメラダ、セリアの活躍により、中堅盗賊たちも次々と倒されていく。

「ぐっ……。せめて1人だけでも……」

「このままじゃ、頭領に殺されちまう……」

「こうなりゃ破れかぶれだ! 全員で1人を狙うぞ!!」

「狙いはコイツだ! くらえぇっ!」

 残された少ない中堅盗賊たちが戦法を変える。
 1対1では『悠久の風』の面々には勝てない。
 数人がかりで1人を狙うのは有効な手段だろう。
 そんな彼らが狙う相手は――
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