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第5章
503話 地下への隠し扉
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「どうした? チセ」
「実は……この家に怪しいところがあります。おそらく、地下だと思います」
「ふむ……。なぜわかる?」
「ええと。私が『過剰魔力症』で眠っている間にも、少しばかりの意識があることはご存知ですよね?」
「そうだな。通常の睡眠とは質が異なることは知識として知っているぞ。傍目には、違いが分からないがな」
俺はそう答える。
MSCにも同じ病があったからな。
それぐらいは上級者の常識だ。
「深夜に時おり、私の部屋に出入りしている人の気配があったのです。てっきり両親かと思っていたのですが、今思えば気配の数が多かったような気がします」
「ふむ……」
睡眠状態なので、もちろん彼女の目は閉じられていたはずだ。
気配を感じるとすれば、聴覚や嗅覚。
あるいは人が歩く時の微細な振動を触覚で感じ取るか。
この世界ならではの要素として、闘気や魔力なんてものもあるな。
『気配を感じる』なんて地球では眉唾もののオカルトチックな側面があるが、この世界においては一考の余地は十分にある。
「なるほど、チセの部屋か。調べてみよう」
俺たちはチセの部屋に移動し、調べ始める。
「む?」
「ど、どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもない」
一瞬、違和感を感じたのだが、すぐに消えてしまった。
なんだろう?
ギィ……ギィ……。
建付けが悪いのか、歩く度に床が軋む音がする。
まぁスラムにあるような家だから、ある程度は仕方ないよな。
俺はそう思ってスルー仕掛けたのだが――。
「へへっ。コウタっち、これは当たりかもしれねえぜ」
「くんくん……。確かにそうだね。人の匂いがするよ」
「……それに、風の流れを少し感じる……」
リン、ユヅキ、ティータが口々に言う。
金兎族の聴覚、茶犬族の嗅覚、そして大自然の中で生きてきたエルフ。
彼女たちの意見は参考になる。
「こちらに地下への隠し扉があるようですわね」
「なるほどな」
目を凝らしてみると、たしかに床の一部が不自然に盛り上がっているように見えた。
しかし、よく気づいたものだ。
「さすがだな、みんな。それにチセからの情報も助かった」
「あ、ありがとうございます」
照れたように頬を赤らめる。
うーん、可愛い。
俺の妹になってくれないかな?
いや、むしろハーレムメンバーか。
やや幼いが、それなりに成長はしている。
それに、『過剰魔力症』の治療の際に彼女の恥ずかしいところは全て見ているし、弱いところは全て把握しているんだ。
ここは俺の女になってもらうのが良いだろう。
まぁ、ミルキーとルンを無事に救出してからの話だが。
「この僅かなスキマに手を掛けて……。ふぬっ!」
俺は地下への扉を開けようとする。
だが、上手くいかない。
何かに引っ掛かっている感じだ。
「コウタ親分、ここは俺の出番だぜ」
困る俺に対して、グレイスが近づいてきたのだった。
「実は……この家に怪しいところがあります。おそらく、地下だと思います」
「ふむ……。なぜわかる?」
「ええと。私が『過剰魔力症』で眠っている間にも、少しばかりの意識があることはご存知ですよね?」
「そうだな。通常の睡眠とは質が異なることは知識として知っているぞ。傍目には、違いが分からないがな」
俺はそう答える。
MSCにも同じ病があったからな。
それぐらいは上級者の常識だ。
「深夜に時おり、私の部屋に出入りしている人の気配があったのです。てっきり両親かと思っていたのですが、今思えば気配の数が多かったような気がします」
「ふむ……」
睡眠状態なので、もちろん彼女の目は閉じられていたはずだ。
気配を感じるとすれば、聴覚や嗅覚。
あるいは人が歩く時の微細な振動を触覚で感じ取るか。
この世界ならではの要素として、闘気や魔力なんてものもあるな。
『気配を感じる』なんて地球では眉唾もののオカルトチックな側面があるが、この世界においては一考の余地は十分にある。
「なるほど、チセの部屋か。調べてみよう」
俺たちはチセの部屋に移動し、調べ始める。
「む?」
「ど、どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもない」
一瞬、違和感を感じたのだが、すぐに消えてしまった。
なんだろう?
ギィ……ギィ……。
建付けが悪いのか、歩く度に床が軋む音がする。
まぁスラムにあるような家だから、ある程度は仕方ないよな。
俺はそう思ってスルー仕掛けたのだが――。
「へへっ。コウタっち、これは当たりかもしれねえぜ」
「くんくん……。確かにそうだね。人の匂いがするよ」
「……それに、風の流れを少し感じる……」
リン、ユヅキ、ティータが口々に言う。
金兎族の聴覚、茶犬族の嗅覚、そして大自然の中で生きてきたエルフ。
彼女たちの意見は参考になる。
「こちらに地下への隠し扉があるようですわね」
「なるほどな」
目を凝らしてみると、たしかに床の一部が不自然に盛り上がっているように見えた。
しかし、よく気づいたものだ。
「さすがだな、みんな。それにチセからの情報も助かった」
「あ、ありがとうございます」
照れたように頬を赤らめる。
うーん、可愛い。
俺の妹になってくれないかな?
いや、むしろハーレムメンバーか。
やや幼いが、それなりに成長はしている。
それに、『過剰魔力症』の治療の際に彼女の恥ずかしいところは全て見ているし、弱いところは全て把握しているんだ。
ここは俺の女になってもらうのが良いだろう。
まぁ、ミルキーとルンを無事に救出してからの話だが。
「この僅かなスキマに手を掛けて……。ふぬっ!」
俺は地下への扉を開けようとする。
だが、上手くいかない。
何かに引っ掛かっている感じだ。
「コウタ親分、ここは俺の出番だぜ」
困る俺に対して、グレイスが近づいてきたのだった。
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