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第5章
489話 スパイは誰だ!?
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『毒蛇団』は俺たち『悠久の風』を罠にはめ、岩盤と建物の崩落で始末しようとしてきた。
何とか無事に脱出した俺たちを待っていたのは、襲撃者たちだった。
それらすら撃破した俺たちは男を尋問しようとするものの、『毒霧』のアルヴィンの毒針によって口封じに始末されてしまった。
捜査は振り出しに戻ることになる。
また聞き込みなどから始めてもいいのだが、それ以上に大切なことがある。
「非常に残念なことだ。俺たちの中に、『毒蛇団』のスパイがいるようだな」
俺はそう指摘する。
今回、この場所を立ち入り捜査することは、誰にも言っていなかったことだ。
宿屋の2階を丸ごと貸し切り、重要な打ち合わせの際にはティータの結界魔法により防音処理を施していた。
『闇蛇団』のメンバーが外で張り込んでいたり、宿屋の1階にいた女将が金で情報を売るために聞き耳を立てていたりしたとしても、俺たちの声が聞こえるはずがない。
「わ、わたしは無実です! ご主人様を裏切るくらいなら、死にます!!」
「ああ。俺もシルヴィのことは疑っていない」
俺のチートスキル『パーティメンバー設定』を使用するためには、俺と一定以上に親しくなる必要がある。
今の『悠久の風』のメンバーは、全員が条件を満たしている。
そんな中でもシルヴィは一番の古株だ。
しかも、最初の出会いにおける関係性は『主人と奴隷』であり、名目上は今もその関係が続いている。
そして、彼女としては、俺のことを恋人として慕い仲間として大切にする以上に、主人である俺に対して絶対的な忠誠を誓ってくれている様子だ。
だから、俺はシルヴィがスパイであるとは思わない。
もし彼女がスパイなら、俺はこの世界の全てが信じられなくなる。
「い、言っておくけど僕も違うよ?」
「ボクもなのです。コウタくんとは一蓮托生なのです」
「へへっ。コウタっちに付いていけば美味い料理に出会う機会も多いし、裏切るメリットはねぇよな」
ユヅキ、ミナ、リンが順に否定する。
「……ん。ティータも違う。ティータとコウタちゃんは人族とエルフの架け橋になり得る存在。そんなことをするはずがない……」
「わたくしもですわ。自力で爵位を得るほど有望な男性と関係を持てたことを、誇りに思っています」
ティータとローズが俺への好意を示す。
「もちろんだとも。みんなのことを疑うわけがない」
みんなそれぞれ、俺とは深く長い付き合いだ。
信頼しているし、大切な仲間だと思っている。
だからこそ、彼女たちに疑惑の目を向けるなんて不誠実な真似はできない。
「じゃあ誰が……?」
ユヅキがそう言ったとき、シルヴィがハッとした表情になる。
その視線はグレイスに向けられていた。
俺もつられて彼女に視線を向けたのだった。
何とか無事に脱出した俺たちを待っていたのは、襲撃者たちだった。
それらすら撃破した俺たちは男を尋問しようとするものの、『毒霧』のアルヴィンの毒針によって口封じに始末されてしまった。
捜査は振り出しに戻ることになる。
また聞き込みなどから始めてもいいのだが、それ以上に大切なことがある。
「非常に残念なことだ。俺たちの中に、『毒蛇団』のスパイがいるようだな」
俺はそう指摘する。
今回、この場所を立ち入り捜査することは、誰にも言っていなかったことだ。
宿屋の2階を丸ごと貸し切り、重要な打ち合わせの際にはティータの結界魔法により防音処理を施していた。
『闇蛇団』のメンバーが外で張り込んでいたり、宿屋の1階にいた女将が金で情報を売るために聞き耳を立てていたりしたとしても、俺たちの声が聞こえるはずがない。
「わ、わたしは無実です! ご主人様を裏切るくらいなら、死にます!!」
「ああ。俺もシルヴィのことは疑っていない」
俺のチートスキル『パーティメンバー設定』を使用するためには、俺と一定以上に親しくなる必要がある。
今の『悠久の風』のメンバーは、全員が条件を満たしている。
そんな中でもシルヴィは一番の古株だ。
しかも、最初の出会いにおける関係性は『主人と奴隷』であり、名目上は今もその関係が続いている。
そして、彼女としては、俺のことを恋人として慕い仲間として大切にする以上に、主人である俺に対して絶対的な忠誠を誓ってくれている様子だ。
だから、俺はシルヴィがスパイであるとは思わない。
もし彼女がスパイなら、俺はこの世界の全てが信じられなくなる。
「い、言っておくけど僕も違うよ?」
「ボクもなのです。コウタくんとは一蓮托生なのです」
「へへっ。コウタっちに付いていけば美味い料理に出会う機会も多いし、裏切るメリットはねぇよな」
ユヅキ、ミナ、リンが順に否定する。
「……ん。ティータも違う。ティータとコウタちゃんは人族とエルフの架け橋になり得る存在。そんなことをするはずがない……」
「わたくしもですわ。自力で爵位を得るほど有望な男性と関係を持てたことを、誇りに思っています」
ティータとローズが俺への好意を示す。
「もちろんだとも。みんなのことを疑うわけがない」
みんなそれぞれ、俺とは深く長い付き合いだ。
信頼しているし、大切な仲間だと思っている。
だからこそ、彼女たちに疑惑の目を向けるなんて不誠実な真似はできない。
「じゃあ誰が……?」
ユヅキがそう言ったとき、シルヴィがハッとした表情になる。
その視線はグレイスに向けられていた。
俺もつられて彼女に視線を向けたのだった。
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