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第5章

484話 襲撃者の末路

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「くっ……」

 ドンガラガッシャーン!
 俺の背後で瓦礫が完全に崩れる音が聞こえた。

「ご主人様!」

「コウタ!」

 シルヴィやユヅキが俺の姿を見て安堵の表情を浮かべている。

「大丈夫なのです!?」

「怪我はねぇか? コウタっち」

「かなりギリギリだったが……。問題ない。セリアもケガはないか?」

「大きなケガはありませんにゃ。瓦礫に挟まれた足が痛むぐらいですにゃぁ」

「わかった。すぐに治療しよう。ローズ、頼む」

「承知しましたわ。――【ヒール】!」

 淡い光がセリアの足を包む。
 ローズのおかげで、彼女の足の痛みはすぐに引いたようだ。

「ありがとうございますにゃ。ローズさん」

「いいのですのよ。それよりも、コウタ殿。周囲の状況を……」

「ん?」

 俺はローズに言われて、改めて周囲を見渡す。
 俺たちがいる場所は、『毒蛇団』のアジトと目されていた場所の1階だ。
 どうやら、地下だけでなく1階や2階もまとめて崩落していたらしい。

「なんだこれは? 爆破でもされたのか?」

「おそらくそうだぜ。爆裂魔石の匂いがしやがる」

 グレイスがそう指摘する。
 爆裂魔石か。
 要するに、魔力で起動する爆弾のようなものだな。
 今回ほどの威力を出す爆裂魔石は相当に高価なはずだ。

「……ん……」

 ティータが指差す先には、複数の男たちが倒れていた。

「こいつらは?」

「詳しいことは分かりません。地上でご主人様を待つわたしたちに対して、突然襲いかかってきたのです。もちろん返り討ちですが……」

「うん。まぁ今の僕たちの敵ではないよね」

「軽く撃破したのです」

「へへっ。あたいも活躍したぜ」

 シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンがそう言う。
 俺が一時的に不在だろうと、彼女たちがいればそこらの不法者に後れを取ることはない。
 彼女たちは、『悠久の風』の中でも俺に次いでチートの恩恵を多大に受けているからな。
 四天王みたいなものだ。

 男たちは、シルヴィの氷魔法で氷漬けにされ、ユヅキの土魔法で生き埋めになり、ミナの火魔法で黒焦げになり、リンの雷魔法で感電させられたようだ。
 見るも無惨な姿に成り果てている。

「……でも、問題もある……」

「何人かだけでもわたくしの治療魔法で生き長らえさせて尋問しようと思ったのですが……」

「こいつら、突然苦しみだして死んじまったんだよ」

「……えっと。盗賊なんて死んで当然ですが、情報を聞き出す前に死なれたのは残念でした」

 ティータ、ローズ、グレイス、エメラダがそう言う。
 彼女たちは、四天王に比べるとやや戦闘能力が落ちる。
 加入時期がやや遅いし、ジョブもサポート系が中心だからな。
 しかし、それでもそこらの賊なんかよりは遥かに強い。
 その上、それぞれの専門分野では非常に頼りになる。
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