社畜だけど転移先の異世界で【ジョブ設定スキル】を駆使して世界滅亡の危機に立ち向かう ～【最強ハーレム】を築くまで、俺は止まらねぇからよぉ！～

第５章

４５９話 治療手段

「そうだな。だから、もう一つ忘れていることを教えてやる」

「な、なんだ？」

「この俺がコウタ・エウロス男爵だということだ。取り調べに協力してもらったことだし、多少の融通は利かせてやろう」

　俺が資金を提供すれば、この一家がスラムから一般街に引っ越すぐらいは可能だろう。
　今後の『毒蛇団』の掃討作戦を気兼ねなく実行するためにも、無力な一般人はスラムから退去させておきたい。
　男の独り身なら適当に逃げろと突き放せば良いだけなのだが、娘を抱えているとなるとそういうわけにもいかないからな。

「そ、それはありがたいことだが……」

「もちろん、それだけじゃない。さっきも言ったが、俺は過剰魔力症の治療手段を知っている。チセに施してやれる」

「……それは、本当に本当なのか？」

「ああ。だが、治療には少し特殊な行為をする必要があるのだが……」

「構わない！　早く治せるのならば！」

　男は即答した。
　娘の難病が治り、一般街に引っ越すことが叶えば、彼らの生活は一気に安定するだろう。

「わかった。では、早速治療を開始する。何があっても口出ししないように」

「あ、ああ。分かった」

　俺の真剣な口調に、男は気圧された様子で首肯する。

「チセ。今から君に、俺の魔力を流し込む。そうすることで、君の魔門を強引にこじ開けるんだ」

　俺は眠っている少女に語りかける。
　眠っているので聞こえるはずもないが、雰囲気的なものだ。
　俺自身に、そして夫妻に治療内容を伝える意図もある。

「なにっ？　今以上に魔力を流し込むっていうのか！？」

　男が疑問の声を上げる。
　過剰魔力症は、人体に入ってくる魔素の方が出ていく魔素よりも多いことで発症する病だ。
　そこへさらに人為的に魔力を流し込むのは、確かに道理に合わない。

「口出しするなと言ったはずだが？　お前、自分の娘が治療されなくなっても構わないのか？」

「うっ……」

　俺の威圧を受け、男が怯む。
　俺はＭＳＣで培った知識と経験があるんだ。
　一挙一動に対して、素人から口出しされてはたまったものではない。

「だがまぁ、その疑問はもっともだ。特別に答えてやろう」

「あ、ああ……」

「外部から魔力を注入することで、チセの魔門を広げるのさ。うまくいけば、自然に排出される魔素の量が格段に上がる」

　俺はそう説明する。
　例えるなら、便秘に悩んでいる奴の肛門を外部から無理やり広げるようなものだろうか。