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第5章
456話 過剰魔力症
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夫妻の疑いは晴れたが、まだ見ていない部屋が残っている。
俺はその部屋の扉を開けた。
「すやすや……」
そこには、ベッドの上で眠る少女の姿があった。
ピンク髪の可愛らしい子だ。
13歳くらいだろうか。
「ち、違うんだ! こいつは何も関係ない! 見逃してくれ!」
「ふぅん。こんなに可愛い子が部屋にいるとはな。誘拐でもしてきたか?」
「誘拐? ち、違う! こいつは俺の子どものチセだ!」
「お前の子どもだとぉ!?」
「ああ! 妻に生ませた子だ!」
「ふむ……。なぜこんな時間に寝ているんだ?」
俺は朝一からスラムに立ち入って捜査をしてきた。
外を歩くチンピラを撃破し、この怪しい家の存在を聞き出し、夫妻やリビングの取り調べを行った。
今は昼前といったところか。
睡眠がたくさん必要な赤子であればまだしも、13歳前後の少女が寝ているのは違和感がある。
「そ、それは……」
「言えない理由でもあるのか? ……まさか!?」
「違う! 後ろめたいことはしていない!」
「本当だな?」
「……あ、ああ。信じてくれ」
「ふん。まあいい。それで、どうしてお前の子どもはこんな時間からぐうすか寝ているんだ?」
「……過剰魔力症なんだ」
「なんだと!?」
過剰魔力症――。
MSCでの設定上、発症者は数万人に1人と言われる難病だ。
放置すると一日あたりの睡眠時間が増していき、やがて寝たきりになり、いずれは死に至る。
人は、空気中を漂う魔素を常に吸収している。
それをMPに変換して貯蓄し、MPを消費して魔法を放っているわけだ。
魔法を使わない、あるいは使えない者であれば、MPが減ることはない。
魔素は吸収しっ放しになるわけだが、それで人体がパンクするようなことは、通常は起きない。
消費しなかった古いMPは適宜放出されていくからだ。
しかし稀に、その放出機能がうまく働かない者もいる。
そういった者でも、日常的にMPを消費する職に就いていたり、漂う魔素が少ない地域に住んでいれば問題は起きない。
過剰魔力症は、『MPの放出機能に欠陥がある者』が『魔素が多い地域に住んでおり』、しかも『魔法を使わない、あるいは使えない』場合に発症する病である。
「なるほどな。それならば、合点がいったよ」
俺はそう言ったのだった。
俺はその部屋の扉を開けた。
「すやすや……」
そこには、ベッドの上で眠る少女の姿があった。
ピンク髪の可愛らしい子だ。
13歳くらいだろうか。
「ち、違うんだ! こいつは何も関係ない! 見逃してくれ!」
「ふぅん。こんなに可愛い子が部屋にいるとはな。誘拐でもしてきたか?」
「誘拐? ち、違う! こいつは俺の子どものチセだ!」
「お前の子どもだとぉ!?」
「ああ! 妻に生ませた子だ!」
「ふむ……。なぜこんな時間に寝ているんだ?」
俺は朝一からスラムに立ち入って捜査をしてきた。
外を歩くチンピラを撃破し、この怪しい家の存在を聞き出し、夫妻やリビングの取り調べを行った。
今は昼前といったところか。
睡眠がたくさん必要な赤子であればまだしも、13歳前後の少女が寝ているのは違和感がある。
「そ、それは……」
「言えない理由でもあるのか? ……まさか!?」
「違う! 後ろめたいことはしていない!」
「本当だな?」
「……あ、ああ。信じてくれ」
「ふん。まあいい。それで、どうしてお前の子どもはこんな時間からぐうすか寝ているんだ?」
「……過剰魔力症なんだ」
「なんだと!?」
過剰魔力症――。
MSCでの設定上、発症者は数万人に1人と言われる難病だ。
放置すると一日あたりの睡眠時間が増していき、やがて寝たきりになり、いずれは死に至る。
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魔法を使わない、あるいは使えない者であれば、MPが減ることはない。
魔素は吸収しっ放しになるわけだが、それで人体がパンクするようなことは、通常は起きない。
消費しなかった古いMPは適宜放出されていくからだ。
しかし稀に、その放出機能がうまく働かない者もいる。
そういった者でも、日常的にMPを消費する職に就いていたり、漂う魔素が少ない地域に住んでいれば問題は起きない。
過剰魔力症は、『MPの放出機能に欠陥がある者』が『魔素が多い地域に住んでおり』、しかも『魔法を使わない、あるいは使えない』場合に発症する病である。
「なるほどな。それならば、合点がいったよ」
俺はそう言ったのだった。
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