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第5章

453話 匂い

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「ほ、本当なのか……?」

「はい……。私も恥ずかしくて、今まで黙っていたのですが……。この下着も夫が勝手に買ってきたもので……」

「ば、馬鹿な……。そんなはずは……」

 俺は女の言葉を否定する。
 それが本当だとすれば、俺はとんだ道化ではないか。
 無実の夫妻を疑い、引き出しを漁り、鬼の首を取ったような態度で下着を突きつけたのだから。

「あなたが疑う気持ちも分かります。でも、本当のことなんです!」

「くぅ……。まさか、そんなことが……。だがしかし……」

「ほ、本当なんです! ねぇ? あなた」

「あ、ああ! 実はそうなんだ! だが、夫婦がどんな趣味を持っていようが勝手だろ!? 俺たちは『毒蛇団』とは関係ねぇ!!」

 夫妻がそう力説する。
 マズいぞ。
 このまま論破されては、Bランク冒険者にして男爵でもあるコウタ・エウロスの名が地に落ちる。

 ええい!
 何か次の手はないのか!
 追い込まれた俺は、他に怪しいところがないか必死に探す。

「むっ! ま、まだ疑わしいところは残っているぞ!!」

 俺は再び下着を取る。
 今度はブラジャーではなく、ショーツの方だ。

「くんくん……。これにはほのかに匂いが残っている……。だが!」

 俺は再び女に近づく。
 そして――

「きゃああぁっ!? な、何を!?」

「落ち着け! これは捜査に必要なことなんだ! くんくん……」

 俺は女を開脚状態のまま押さえつけ、股間の部分に鼻を押し付ける。

「くっ……。こっちの方は、かなり匂っているな……」

「や、やめてください……。お願いですから……」

「ふん。観念しろ。お前のここの匂いと、下着にほのかに残っている匂い。これを嗅ぎ比べれば、どちらが正しいかはっきりするはずだ」

「そ、それは……」

 女は言葉を失う。
 そして、助けを求めるように男を見つめた。

「わ、分かったよ……。好きにしやがれ」

 男は諦めたようにそう言った。

「お許しが出たようだ。では、遠慮なく」

 俺は女の股間に顔を埋め込む。

「すーはー……。ああ……。臭い……」

「くっ……」

 女の顔が屈辱に染まる。

「どうした? その表情は?」

「な、何でもありません……」

「嘘をつけ。本当は何か言いたいことがあるんじゃないか? ん? 言ってみろ」

「いえ、何も……」

「そうか。なら、続けるとするかな」

 俺は女の尻に手を伸ばす。
 そして、ゆっくりと撫で回していくのだった。
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