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第5章

452話 小さなサイズ

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「ひっ……」

「大丈夫だ。怖がらなくていい」

 俺は女の耳元で優しく囁いてやった。

「や、やめてくれ……。俺の女に手を出すな……」

「お前は黙って見ているんだな」

 男は悔しげな視線を向けてくるが、それ以上は言わなかった。
 先ほど放ってやった殺気が効いているようだ。

「何も乱暴しようってわけじゃないんだ。だが、少し気になる点があってな」

「き、気になること……?」

「ああ、そうだ。お前はこの下着について、どう思う?」

「ど、どうと言われても……」

「お前の胸のサイズより、この下着のサイズの方が小さいんじゃないか?」

「えっ!?」

 女は驚いたような声を上げた。

「お前よりも、明らかに小さなサイズの下着があるだろう?」

「そ、それは……」

「やはり、そうか。どうやらこの下着は、お前のものとは違うみたいだな」

 俺は手に持っていたブラジャーを広げて掲げる。
 Bランク冒険者の俺の目は誤魔化せない。
 明らかに、女のカップ数より小さいサイズだった。

「ち、違います! それは――」

「言い訳は結構! ほら、これが動かぬ証拠だ!!」

 俺は女の服の上から、ブラジャーを胸に押し当てた。
 ゴチャゴチャ論争するよりも、実演した方が早い。

「きゃっ……!」

「ふん。やはり俺の目は正しかったな。見ろ、こんなにも下着から溢れているではないか! まったく、けしからんおっぱいをしているものだ!」

「い、いやぁ……。見ないでください……」

 女は自分の胸を両手で隠そうとする。
 服の上からブラジャーを当て込まれるというのは、羞恥心を感じさせる出来事だったらしい。
 だが、俺は抵抗を許さない。

「ダメだ。よく見せてもらうぞ」

 俺は強引に手を掴み、女の腕を引き剥がす。

「や、止めてください……」

「もはや言い訳はできないはずだ」

 俺は女の胸に顔を近づけていく。

「ち、違うんです。これは……」

「これは? いったい何だと言うのだ? サイズの合わない下着を持つ理由などないはずだが?」

「お、夫の趣味なんです! 夫は私に小さめの下着を着せるのが趣味なんですよ!!」

「なにっ……!?」

 俺は思わず動きを止めてしまったのだった。
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