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第5章

444話 作戦開始

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「では、打ち合わせ通り3手に分かれて作戦を進めていくことにするぞ」

 俺は『悠久の風』の面々を集め、そう宣言する。

「まずは第1班。ローズ、ティータ、ミルキー、ルンだ。本部であるこの宿屋を任せたぞ」

 捜査本部は宿屋に設置した。
 女将には高い金を支払って、貸し切りにしてある。
 休憩や寝泊まりはいつも通り2階だ。

 また、この作戦はウルゴ陛下の肝いりである。
 俺たち『悠久の風』だけでなく、町の衛兵を動かす権限ももらっている。
 彼らは宿屋周辺や1階の守りを固めてくれている。
 『悠久の風』と彼らで作戦の打ち合わせを行う際には、1階の食堂で行えばいい。
 メイドのネリスも補佐してくれるだろう。

「はい。わたくしたちにお任せくださいまし。ケガをしたら、わたくしが治療して差し上げます」

「……ティータの結界魔法で、安全は確保できる……」

「道具は持ってきているから、武具のメンテナンスぐらいはいつでもできるよ」

「美味しい料理を常に用意しておきますねぇ」

 第1班のメンバーは、サポート系・生産系ジョブの者を割り振っている。
 『毒蛇団』という闇の組織を相手取る以上、拠点の守りは盤石にしておきたい。
 町の衛兵に加えて彼女たちがいれば、ここの守りは万全だ。
 捜査班が『毒蛇団』の反撃にあったとしても、ここまで逃げて来れば何とかなる。

「第2班は、ユヅキ、ミナ、エメラダ、セリアだ。表通りの民家や一般商店を対象に、聞き込み調査を行ってくれ」

「うん。わかったよ」

「任せるのです!」

「……えっと。がんばります」

「ちゃんと情報を集めて分析しますのにゃ」

 ユヅキは冒険者として経験豊富であり、町の人ともそれなりの面識がある。
 他の3人を率いて、うまくまとめてくれるだろう。
 ミナ、エメラダ、セリアもこの町で過ごして長いそうだし、聞き込み調査なら彼女たちに任せるのがいい。
 人格的にも安定している面々だから、しっかりと情報を集めることが可能なはずだ。

「第3班はシルヴィ、リン、グレイスだ。裏通りを担当してくれ」

「はい! お任せください!!」

「へへっ。了解だぜ」

「コウタ親分のために頑張るさ」

 シルヴィは『悠久の風』の中で俺に次ぐ古株である。
 当然、チートスキル『パーティメンバー経験値ブースト』の恩恵を受けている期間も長い。
 加えて、彼女が伸ばしているのは戦闘系ジョブばかりだ。
 俺に次いで頼りになる存在だと言えるだろう。

 リンは『料理名人』なども伸ばしているので総合戦闘力ではシルヴィに及ばないが、近接戦闘に限定すればかなり強い。
 また、この町の住民なので土地勘もある。

 グレイスは『兇賊』のパッシブスキルで気配の察知能力に優れている。
 裏通りの調査に最適だ。
 元々はガチの盗賊だし、不法者を探し出す能力もあるだろう。

「そして第4班は……俺1人だ。派手に動いて奴らの注意を引き付ける」

 俺は各種のジョブをかなり育てているし、称号も多く得ている。
 ソロでも十分に通用する。

「奴らが俺に注意を向ければ、みんなも動きやすくなるだろう。そしてもし頭目の『毒霧』のアルヴィンが釣れれば、みんなで集結して撃破しよう。各自、『念話』は聞き逃さないように」

「はいっ!」

「頑張ろう」

「ここが踏ん張りどころなのです」

「へへっ。さっさと片付けて、みんなで美味しい料理で打ち上げしようぜ!」

 シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンがそう答える。
 他のみんなもやる気だ。
 こうして、俺たち『悠久の風』は『毒蛇団』の掃討作戦を実行に移し始めたのだった。
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