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第5章

441話 治療

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 俺がリンだと思い込んで襲った相手は、ルンだった。
 何とかごまかせたと思ったのだが――

「おいーっす。コウタっち、一晩寝て元気になったか? ――って、なんじゃこりゃああぁっ!!」

 リンが部屋に入ってきた。
 そして、ベッドの上を見て絶叫する。

「ど、どうしたんだよ?」

「どうしたじゃねぇ! コウタっち、ルンに手を出しやがったな!?」

「ま、まぁそうだが……」

「ルンは奥手なんだ! そんな子を襲うとか、正気かよ!」

 リンが俺を非難する。
 確かに、ルンは奥手なタイプだ。
 昨日が初めてだったようだし、男と絡んだ経験はほとんどなかったのだろう。

「わ、悪かったよ。だけどな、ルンも満足はしてくれたんだ。なぁ? ルン」

「はいですぅ。すごく良かったですぅ」

「なっ……。そ、そうなのか?」

「ああ。だから、許してくれ」

「はあー。分かったよ。そういうことなら仕方ないな」

 リンはため息をつきながらも納得してくれる。
 よかった。
 一時はどうなるかと思ったぜ。

「ふぁああ……。なんだか騒がしいですね……」

 シルヴィが起きた。
 まぁ、周囲がこれほどうるさければ寝てはいられないか。

「おはよう、シルヴィ」

「あっ、おはようございます。ご主人様」

「昨晩はよく眠れたか?」

「はい、おかげさまで。それにしても、この部屋はすごい有様ですね。何があったんですか?」

「えっと……」

 俺は言葉に詰まる。
 まさか、シルヴィが寝ている横でハッスルしていましたとは言えない。

「いや、ちょっとな……」

「くんくん……。なんだかすごく、オスの匂いがしますね」

「ぎくっ」

 シルヴィは白狼族だ。
 普通の人族よりも嗅覚が優れている。
 俺が発した残り香を察知されてしまったようだ。

「おや、ご主人様は何か隠し事をしておいでですか?」

「い、いや別に……」

「ううむ……。怪しいですねぇ。まさか、わたしが寝ている間に、誰かといちゃいちゃしてたんじゃないでしょうね?」

「そ、それは……」

 まずいな。
 このままでは追求されてしまう。
 ここは何とか誤魔化さないと――

「ち、違うぞ! 俺がしたのはいちゃいちゃではなく、えっと……そう、治療だ!」

「治療? どういう意味でしょうか?」

「実は、『英雄』には副作用があってな……。かくがくしかじか……」

 俺はシルヴィたちに事情を話す。
 我慢しすぎると金玉が爆発するという話だ。
 ちなみに、夢で見た女神様の件は伏せておいた。

「な、なんと……。そんなことが……」

「そうらしい。困ったものだよ」

「うう……。頭痛くなってきました。あまりのことに理解が追いつかないです」

 シルヴィが頭を抱える。
 まぁ、いきなりこんな話をされても信じられないよな。

「でも、それならばわたしも力になります!」

「ん? ――おおぉっ!?」

 シルヴィが俺のズボンをズリ下ろしてきた。
 朝から元気なモノがあらわになる。

「へへっ。もちろんあたいも手伝うぜ」

「ワタシもですぅ。コウタさまに満足してもらえるよう、がんばりますねぇ」

 リンとルンも協力してくれるようだ。

「ふはははは! よし、朝から4人で楽しもうか!!」

 こうして俺は、朝から発散したのだった。
 これで寝込んでいた間に溜まっていたものの放出はひと段落だ。
 次にするべきことをしていくことにしよう。
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