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第5章

433話 スロウス&ゴッドインパクト

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 女神様に圧倒されていた俺だが、工夫して何とか必殺の一撃を入れた。
 俺のカンチョー攻撃をくらった彼女は、悶え苦しんでいる。

「痛い痛いっ! 痛いですぅ~」

「どうだ! 参ったか!」

「くううぅっ! 神様に向かってこんなこと! 許されませんよ!!」

「こんなこと? こんなことって、どんなことだ?」

「くっ……」

 女神様は悔しそうに唇を噛む。

「ほら、早く説明しろよ」

「う、うるさいですね! 黙りなさい!」

「言ってみろよ。『わたしの卑しいケツ穴にカンチョーされた』ってな」

「こ、この下等生物めがっ! もう容赦しません! 神罰を与えます!!」

 女神様は怒りの表情で立ち上がる。
 やはり神様。
 ダメージからの回復も早いか。
 常人なら、人口肛門になるかというぐらいの力加減でぶっ刺したのに。
 もう立ち上がるとは。

(いや、それよりも……。これはマズいかもしれん。さすがに調子に乗りすぎた)

 女神様から立ち上るオーラが増している。
 これは、魔力や闘気などとはまた一味違った力――神気だ。

「くっくっく……」

 女神様は不気味な笑みを浮かべた。

「あーはっはっはっ! 愚かな人間め。わたしの力をとくと見るがいいです! 【アクセル】!!」

 女神様も俺と同じスキルを発動させた。
 そして俺と同じように加速した状態で、こちらに迫ってくる。

「死ねぇぇぇっ!!!」

 女神様の手刀が俺を襲う。
 だが――

「甘いな」

 俺は女神様の攻撃を避ける。

「甘いのはそっちです! くらいなさい! 【スロウス】!!」

 女神様が俺に手をかざし、スキルを発動する。
 すると、俺の動きが鈍くなった。

「なーんーだーとーっ!?」

「ふふ……これで終わりです」

 女神様は俺の頭上に飛び上がると、両手を組んでハンマーのように振り下ろす。

「死になさい! 【ゴッドインパクト】!!」

「ぐーあーあーあーぁーっ!!」

 自分の口から、何とも言えない間延びした悲鳴が発せられているのが聞こえる。
 そして、体に激痛が走る。
 五感は通常速度のままなのに、身体の操作速度だけが異常に遅い。
 これが『スロウス』の効果か。
 確か、特殊上級ジョブ『英雄』のさらに上――『勇者』のアクティブスキルだな。

 そして『ゴッドインパクト』。
 これは運営側キャラの限定ジョブ『神』のアクティブスキルだったはずだ。
 彼女がここまでに使ったスキルは、『アクセル』『スロウス』『ゴッドインパクト』。
 さすがは女神様だけあり、様々なジョブのスキルを自在に使えるらしい。

「くーそーぉーっ!!」

「おや? 今ので死にませんでしたか……」

 女神様がこちらを睨む。
 本格的にマズいぞ。
 一時の勢いでカンチョーなんかしたのはマズかったか……。
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