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第5章

432話 ファイナルフラッシュ

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 俺は女神様を襲おうとしたが、あっさりと返り討ちにあった。
 首根っこを捕まえられ、宙吊り状態だ。
 このままではマズいぞ。
 なんとか脱出しなければ。

「うーむ……【アクセル】!」

 俺は再び『アクセル』を発動させる。
 超速で移動できる、俺のお得意のスキルだ。
 だが――

「無駄ですよ」

 女神様は涼しい顔で俺の拘束を続けている。

「スキルの使い方がまだまだ甘いですね。【アクセル】には様々な効果が内包されており、攻撃力や思考速度もアップさせます。しかしメインは、あくまで移動速度の向上。拘束された状態から発動しても、大した効果は得られません」

「な、なるほど」

「それと、何度も言いますが、この空間であなたがやるべきことはありませんよ。たかが人族ごときが神であるわたしに勝てるはずがないでしょう。ましてや、ここはわたしのホームグラウンドですし」

 女神様は俺に顔を近づけて言う。
 近い……。
 女神様の顔から目を逸らすことができない。
 神様だけあって、非常に整った顔立ちだ。
 俺は思わずゴクリと喉を鳴らす。

「ふふっ。そろそろ限界ですか? それなら素直に諦めなさい。わたしに触られた時点で――否、生まれついたときの”格”が異なる時点で、あなたは敗北しているのですから」

「まだだ!」

 俺はスキルを発動する。

「【アクセル】!」

「はぁ……。いい加減、学習してください」

 女神様は呆れたようにため息をつく。

「あなたごときが、わたしに触れることなどできるわけがないでしょう?」

「それはどうかな?」

 俺はニヤリと笑みを浮かべる。

「ほう?」

「ここだぁっ! 【ファイナルフラッシュ】!!」

 俺は自身の魔力と闘気を爆発させる。
 『アクセル』を発動させると見せかけて、実はこっちの発動準備を進めていたのだ。

「なっ!?」

 女神様が怯む。
 俺はその隙を突いて抜け出し――

「【アクセル】!」

 女神様の背後に回る。
 さらに、すぐに女神様の尻に向けて、必殺の一撃を放つ。

「くらえっ! これが俺の最終奥義!! ウルトラ・ファイナルフラアァッシュ!!!」

 俺の究極の必殺技は、女神様の尻を直撃した。
 まぁ、ただのカンチョーだけどな。
 技名は適当に叫んでみただけだ。

「きゃああああぁっ!!!」

 女神様が悲鳴を上げる。

「ふはははは! やったぞ! ざまあみやがれぇぇぇぇぇぇ!!!」

 俺は勝ち誇ったような笑い声を上げた。
 女神様は尻を押さえて倒れている。

「痛い痛い痛い痛いっ!! 痛いですぅ~」

 涙目になっている女神様を見て、俺は満足げに微笑んだのだった。
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