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第5章

431話 ”格”の差

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 ここは夢の世界、あるいは次元の狭間だ。
 女神様からアドバイスをもらった俺だが、目覚める前にやるべきことがある。

「ん? あなたがこの場所でやるべきことなどありませんよ? コマらしく、さっさと目覚めて下さい」

 コマ――つまり、俺は女神様に良いように使われているだけということか。
 まぁ、好き放題にハーレム生活を楽しませてもらっているわけだし、そのこと自体に文句はない。
 だが――

「まあ、そう言わずに。ちょっと、試してみたいんだ」

「何をですか?」

 女神様は不思議そうな顔で首を傾げた。
 俺はそんな女神様の挙動に注意を払いつつ――

「『アクセル』!」

 超速で動く女神様の隙を突き、スキルを発動させた。
 狙いは女神様のおっぱいだ!!!

「ほう?」

 女神様は一瞬興味深そうな表情を浮かべたが――

「ふん」

「ぷごっ!」

 鼻で笑いながら、俺の顔面を思い切り殴りつけた。

「がはあっ!!」

 俺は白い空間内をゴロンゴロンと転がって行く。
 痛ぇ……。
 俺は倒れたまま、かろうじて視線だけを女神様に向ける。

「お兄ちゃん、なかなか面白いことをするねぇ」

 幼女姿の女神様がそう言う。

「大抵の人間は、わたくしの神気を感じて畏怖するものですが」

 女神様が20代女性の姿に変わった。

「ふふっ。見どころがあるのぉ。よく見れば、可愛らしい坊やじゃ。妾は気に入ったぞ」

 女神様は、今度は妖艶な女性の姿になる。

「な、なんだ? お前の本当の姿はどれなんだ?」

「さぁ、どれでしょうね? 全てがわたしだと言えますし、そうではないとも言えます」

 女神様は意味深に笑う。
 今の姿――10代少女が標準の姿なのか?

「ずいぶんとストライクゾーンの広い人族だこと。気に入りました。特別サービスをしてあげます」

「え?」

「目が覚めてからと言わず、この場所で一度だけ放出させてあげましょう」

 少女姿の女神様がそう言った。

「いいのか!?」

「構いませんよ。あなたは面白そうだし、それに何より、あの世界に必要な人材ですし」

「ほ、本当か! 助かるぜ!」

 やったぞ。
 女神様とヤレる機会なんて、まずないからな。

「しゃあっ! いくぞおおぉっ!!!」

 俺は股間を膨らまし、女神様に飛びかかる。
 しかし――

「はい残念~」

 女神様は俺の身体をすり抜け、背後に回り込む。

「ぐへっ」

 そして俺の首根っこを掴み、そのまま持ち上げた。

「くっ! な、なぜ!? まさか嘘をついたのか?」

「いえいえ、まさか。ただ、放出させてあげるとは言いましたが、体に触れさせるとは言っていませんので」

 同じことだろうが!
 女体に触れずして、どうやって放出するというのか!

「ぐぬぬ……」

 俺は必死に抜け出そうとするが、女神様の腕はビクともしない。
 力の差――いや、存在の”格”の差は歴然だ。
 俺はいったいどうなってしまうのだ。
 何とか一泡吹かせてやりたいが――
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