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第5章

422話 アルヴィン様

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 風邪をひいてしまった俺を、メイドのネリスが看病してくれている。
 濡れタオルでモノをマッサージするだけではなく、発射後の後始末としてモノを口に含んでくれる。
 そして、なぜか彼女が勢いよく口を閉じ、歯を俺のモノに立てた。

「おおぅっ!」

 俺は思わず悲鳴を上げてしまう。
 敏感なところに歯という凶器を突き立てられ、反射的に身体が硬直してしまったのだ。
 そして、ネリスがモノから顔を離す。

「ふははっ! 油断しましたね!」

「…………」

「さしものAランク冒険者といえど、急所への攻撃はひとたまりもないでしょう! これでアルヴィン様にお褒めいただけ――」

 ネリスが何かを言っているが、俺はそれどころではない。
 俺は各種のチートスキルにより、とても順調に成長を続けている。
 複数のジョブがかなりの高レベルにある俺の体は、引き締まった筋肉、頑強な骨格、溢れ出る魔力、豊富な闘気など、非常に恵まれたものとなっている。

 だが、さすがに無敵というほどでもない。
 昨日もシルヴィの『絶対零度』で凍らされてしまって、こうして風邪をひいているわけだしな。
 つまり、何が言いたいのかと言えば――

「ネリス……」

「――ッ!? な、なぜ平然として――」

 ネリスは体をビクつかせながら、ベッドの上で後ずさりする。

「なかなかやるではないか! いい力加減だよ。思わぬ快感だった!!」

「は?」

「お前の舌の感触は素晴らしかったのだが、少し物足りないとも感じていた。それが、仕上げにまさか歯を用いるとはな。いやあ、実に見事な一撃だった」

「まさか……。信じられませんわ」

 ネリスが驚愕している。

「いったい何を驚いているんだ? お前が創意工夫で俺を楽しませてくれたんじゃないか」

「ええと……。その……」

「俺は嬉しいよ。ここまで俺のことを想ってくれて」

「……はい。お褒めいただき、光栄です」

 ネリスは笑顔を浮かべるが、その表情はどこかぎこちない。

「そ、それでは、あたくしはこれで――」

「あっ、そうそう」

 退出しようとするネリスを、俺は引き止めた。

「ひぃっ!!」

 ネリスがビクつく。
 何をそんなに驚いているんだ?

「先ほど、何か口走っていなかったか? 確か、アル何とか様に褒めてもらえるとかどうとか……」

「……い、いいえ。何も言ってはおりませんが」

「……そうか。ならいいんだ」

 俺は首を傾げた。
 風邪で頭がよく働いていないし、どうやら聞き間違いか何かだったらしい。

「ご主人様ぁ。早くいっしょに寝ましょうよぉ……。すやすや……」

 隣で寝ていたシルヴィがそんな寝言をこぼす。

「ああ、ともに休もう。シルヴィ」

 俺は風邪を治すため、シルヴィとともに深い眠りに落ちたのだった。
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