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第5章

419話 メイドの女性ネリス

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 風邪をひいてしまった俺とシルヴィは、部屋でゆっくりしている。

「エウロス様。お召し物を替えさせていただきますね」

 この俺――コウタ・エウロス男爵にそう言ったのは、新しく雇ったメイド。
 20代後半の女性、ネリスだ。

 俺が男爵位を授かってからというもの、俺に接触してくる者は増えた。
 その中でも特に大きく動いていた職種は、メイドだ。
 どうやら、俺が女性好きという噂が広まっていたらしい。
 10代から20代の女性を中心に、俺に群がってきた。

 だが、俺はまだ屋敷すら持っていない身である。
 しかも、本拠地とするのはこのエルカの町ではない。
 エルカの町に巣食う『毒蛇団』の掃討後、西部に広がる森や荒野を開拓し、自らの領地とする予定である。

 そのため、直近でメイドを雇うことはやめておいた。
 だが、ただ働き同然の低賃金で構わないという女性がいたので、お試し程度のメイドとして雇った。
 それがこの、ネリスというメイドである。

「ああ、頼む」

 俺は裸になり、ベッドの上に寝転がる。

「では失礼します」

 ネリスが俺の体を丁寧に拭き始めた。

「これはどうでしょうか?」

「ああ、気持ちいいな」

 背中をタオルで擦られる感触が心地よい。
 彼女の力加減は絶妙で、マッサージを受けているような気分になる。

「次は前を洗いましょう」

「おう」

 俺は仰向けになった。
 すると、下半身が露出する形となる。
 ポロン。

「……」

「……」

「……おいおい、あんまりじっと見られても困るのだが?」

「申し訳ありません」

 ネリスが謝罪する。
 だが、その視線は俺の肉体、そして股間に釘付けだった。

(まあ、無理もないな)

 俺は自分の肉体に自信がある。
 毎日のように魔物狩りを行っているからだ。

 さらに、各種ジョブの恩恵もある。
 例えば、パッシブスキルの『腕力強化』により、腕の力が強くなったとしよう。
 この世界特有の物理法則により、腕の筋肉量に伴う腕力の強さとはまた別として、スキルの補正がある。
 『腕力強化』を得たからと言って、突然腕が太くなったりはしない。

 だがそれはそれとして、『腕力強化』を得れば日常的に持ち運びする武器や荷物の重量は増す。
 それに伴い、徐々に筋肉量も増えていく。
 俺のように多様なジョブを高レベルにまで育てていれば、自ずと体も鍛えられていくというわけだ。

「どうだ? いい体だろう?」

 俺はドヤ顔でそう言う。
 ボディビルダーのような体ではなく、いわゆる細マッチョといったところか。
 脱いだらすごい。
 そんな俺が全裸になって、目の前にいるのだ。
 年頃の女性なら誰でも興奮してしまうだろう。

「……」

 ネリスは無言のまま、俺の胸板を拭いている。
 そして、その手は下半身へと向かっていったのだった。
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