上 下
413 / 1,328
第5章

413話 vsグレイス

しおりを挟む
 俺のチートスキル『アクセル』の強さを再確認している。
 ミルキー、セリア、エメラダ、ローズ、ティータ、ユヅキ、ミナへの周知は済んだ。
 次は――

「くらえっ! グレイス!!」

「甘いぜ! コウタ親分!」

 俺の超速での接近に対しグレイスが対応してきた。
 やはり、彼女の察知能力は侮れないな。
 上級ジョブ『兇賊』の恩恵だろう。
 兇賊という言葉からはすごく悪そうなイメージを受けるが、実際のところはサポート職だ。

 一部の日本のRPGにおいては、『盗賊』という言葉は犯罪者を指さない。
 ダンジョンやフィールド上で宝箱を安全に開いたり敵モンスターの接近を的確に察知することができる、一種の職業として表現される。
 MSCでもそうだった。
 そして、MSCやこの世界では『盗賊』の上級ジョブとして『兇賊』が設定されているというわけだ。

 盗賊から兇賊への出世(?)を果たしたグレイスだが、別に重犯罪者というわけでもない。
 まぁ、以前の彼女は言葉通りの意味における盗賊でもあったので、善良な一般市民というわけでもないのだが……。
 細かいことはいいだろう。
 俺の女になった以上、多少の過去の罪には目をつむる所存である。

「やるじゃないか。グレイス」

「おう。コウタ親分の役に立っていきたいからな。今回のイタズラも防いでみせるぜ!」

「ふっ……。ならば、これならどうだ?」

 俺はさらに加速する。
 『アクセル』の最大効能は、込める魔力量によって左右する。
 今までのが最高速度ではないのだ。
 もはや瞬間移動にさえ近い動きで、グレイスに肉薄する。

「くっ!?」

 さすがにグレイスは反応できなかったようで、俺に短パンを掴まれてしまった。
 そして――

「色気のある下着を着るようになったじゃないか。それに、毛並みも整えられている」

「うわあああっ!!」

 盗賊時代のグレイスは、少年グレイとして活動していた。
 その偽装のためか生来の気質なのか、下着は子どもっぽいものだったし、下の手入れも疎かになっていた。
 だが今は違う。
 パンツは大人びたものだし、下の方もちゃんと整えてある。
 きっと、俺のためにこうしてくれているのだろう。

「ありがとう、グレイス。お前は俺の女だ。一生飼ってやるからな」

 俺は優しく声をかける。
 ん?
 少し言葉選びを間違えたか?
 飼うよりは、大切にするとか養うとかの方が適切だったかもしれない。

「お、おう。コウタ親分……。よろしく頼むぜ……」

 グレイスが、俺によって露出させられた秘部を隠しもせずに、顔を赤らめてそう言う。
 言葉選びは特に気にしていないようだ。
 まぁ、俺と彼女の場合は出会いの形があれだったからな。
 彼女の盗賊としての罪を見逃す代わりに、俺の女として同行してもらっているのだ。
 彼女には今後も、しっかりとお務めを果たしてもらうことにしよう。

 さぁ、残る相手はシルヴィとリンだ。
 いずれも強敵だ。
 気を引き締める必要がある。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

異世界召喚されました……断る!

K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】 【第2巻 令和3年 8月25日】 【書籍化 令和3年 3月25日】 会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』 ※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。

処理中です...