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第5章

392話 俺たちも鍛冶を手伝うってのはどうだ?

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 ミナとミルキーに武具の納期短縮を依頼中だ。

「コウタ坊にできることか……」

「うーん、なのです」

 ミナとミルキーは、腕を組んで悩み始める。
 やはりそう簡単には思いつかないようだ。

「あっ!」

「おっ?」

「思いついたのです!」

「本当か? どんなことだ?」

「コウタくんが、毎晩ボクを可愛がってくれればいいのです!」

 ミナが笑顔でとんでもないことを言い出す。

「そ、それが納期短縮に繋がるのか?」

「はいなのです! コウタくんを独り占めできるのなら、毎日の長時間労働なんて余裕で耐えられるのです」

 ミナは笑顔でそう言った。
 俺もミナを可愛がることは好きだ。
 彼女の気持ちが上向きになるのなら、それもありだろう。

(だが、根本的な解決になっていないような……)

 結局は労働時間でゴリ押しじゃないか。
 しかも、『俺が可愛がる』という主に精神的な報酬だし。
 ブラック企業における『当社の仕事にはやりがいがあり、人に感謝されます』みたいな文言と全く同じだ。

「うーん。それはちょっとなぁ……」

「えっ……。コウタくんは、ボクのことが嫌いになったのです? あんなに愛してくれたのに……」

「いやいや、ミナのことはもちろん大好きだぞ。だが、それとこれとは話が別だろ? 俺からミナへの愛は、決して労働の対価なんかじゃないんだ。それに……」

 俺はチラリと横に視線を向ける。

「ご主人様を独り占めだなんて、ひどいですよ! ミナさん!」

「そうだね。気持ちは僕も同じだけど、いつも我慢してるんだ」

「へへっ。抜け駆けはよくねぇぜ、ミナっち」

 シルヴィ、ユヅキ、リンが抗議の声を上げる。
 彼女たちも俺のことを好いている。
 俺を独占したいと思ってくれているのだ。

「ううっ。ボクはそんなつもりじゃ……」

 ミナが少し涙目になる。

「……さすがに1か月は欲張りすぎだと思うな……」

「その通りですわ。鍛冶の大変さはよく存じませんが……。ここは何か別の手立てを考えるべきでしょう」

 ティータとローズがそう指摘する。

「それならよ。俺たちも鍛冶を手伝うってのはどうだ?」

「……えっと。あたしもできることがあるなら手伝いますけど」

 グレイスとエメラダが名乗りを上げた。

「ふむ。確かにその手があるな」

「コウタ坊? けどよ、人手があっても素人に鍛冶ができるじゃねぇだろ? 本当に、簡単な手伝いくらいだ。それだと、せいぜい数日程度前倒しできるかどうかだと思うよ」

 ミルキーが疑問を呈する。
 彼女の考えはもっともだが、俺たち『悠久の風』に限っては問題ない。
 説明することにしよう。
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