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第5章
388話 あれは今から10年前……
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ミルキーの工房にやって来た。
ミナが『聖鍛冶師』になったことを訝しんでいる様子だ。
「ちょっと前の騒ぎは、ミナが関係していたのか? それともコウタ坊が?」
「メインは俺だが、功績は『悠久の風』全員のものさ」
「ほぅ? どんな活躍をしたんだ? 聞かせてくれ」
ミルキーが興味津々の様子で聞いてくる。
俺は彼女に向かって語り始めた。
「あれは今から10年前……」
「ちょ、ちょっと待てや! 今から10年前って……どんだけ昔だよ!」
ミルキーが突っ込みを入れる。
「ははは。冗談だよ。今から1か月ちょっと前からの話だ」
「お、脅かすんじゃねーよ! ええと、1か月前って言えば、コウタ坊たちがここに顔を見せなくなってきた頃だな。他の町に行ったのかと思ってたけどよ……」
「いや、そうじゃない。もしそうなら、挨拶くらいはするさ。俺たちがこの工房に顔を出さなくなったのは、別の理由がある」
「その理由ってのは?」
「俺たちがエルカ迷宮のトラップに引っ掛かって、ダンジョンの最深部に飛ばされてしまったからだ」
俺の言葉を聞いて、「ああ、なるほど」とミルキーは納得したようだ。
冒険者御用達の鍛冶師ともなれば、そういうことも起こり得ると理解してくれたのだろう。
「最深部か。そりゃ、大変だったなぁ。それで、どうやって脱出したんだよ」
「普通にコツコツと頑張ってな。1か月ほど掛かったが」
「1か月だと? そんなの、疲れ切って倒れるんじゃないか? 水も食料も足りないだろうし、そもそも魔物との連戦もキツイだろ」
「確かに最初はきつかった。だけど、俺たちは普通の冒険者じゃなかったんでね」
「どういう意味だよ?」
「俺たちの何人かは『水魔法使い』のジョブを持っている。だから、飲水は問題なく確保できる。アイテムバッグで食料も持ち運べる」
実際はアイテムバッグではなくて俺の『ストレージ』の力だが、とりあえずはこの説明で問題ないだろう。
「へえ。そりゃ凄えなぁ」
ミルキーは感嘆している様子だ。
「そして、俺たちは全員が一流の冒険者。迫りくる魔物との連戦も大した負担ではない。『結界魔法使い』のおかげで、夜はぐっすり眠れるしな」
「……」
「どうした?」
「いや、そのよぉ……」
ミルキーは少し言いづらそうな様子を見せる。
「コウタ坊たちは、ひょっとしたらとんでもないパーティーなのか?」
「そうだな。少なくとも、並のパーティーでは太刀打ちできない実力はあると思うぜ」
俺はドヤ顔でそう言う。
そう言えば、ミルキーは俺たちの実力をあまり知らないのか。
あまり実力をひけらかさないのは美徳だが、俺の場合は『パーティメンバー設定』や『パーティメンバー経験値ブースト』といったチートスキルがある。
チャンスがあれば”俺は凄いんだぜ”とアピールしていくのも有効だろう。
そして、そのタイミングは今だ。
引き続き、ミルキーに対してドヤ顔していくことにしよう。
ミナが『聖鍛冶師』になったことを訝しんでいる様子だ。
「ちょっと前の騒ぎは、ミナが関係していたのか? それともコウタ坊が?」
「メインは俺だが、功績は『悠久の風』全員のものさ」
「ほぅ? どんな活躍をしたんだ? 聞かせてくれ」
ミルキーが興味津々の様子で聞いてくる。
俺は彼女に向かって語り始めた。
「あれは今から10年前……」
「ちょ、ちょっと待てや! 今から10年前って……どんだけ昔だよ!」
ミルキーが突っ込みを入れる。
「ははは。冗談だよ。今から1か月ちょっと前からの話だ」
「お、脅かすんじゃねーよ! ええと、1か月前って言えば、コウタ坊たちがここに顔を見せなくなってきた頃だな。他の町に行ったのかと思ってたけどよ……」
「いや、そうじゃない。もしそうなら、挨拶くらいはするさ。俺たちがこの工房に顔を出さなくなったのは、別の理由がある」
「その理由ってのは?」
「俺たちがエルカ迷宮のトラップに引っ掛かって、ダンジョンの最深部に飛ばされてしまったからだ」
俺の言葉を聞いて、「ああ、なるほど」とミルキーは納得したようだ。
冒険者御用達の鍛冶師ともなれば、そういうことも起こり得ると理解してくれたのだろう。
「最深部か。そりゃ、大変だったなぁ。それで、どうやって脱出したんだよ」
「普通にコツコツと頑張ってな。1か月ほど掛かったが」
「1か月だと? そんなの、疲れ切って倒れるんじゃないか? 水も食料も足りないだろうし、そもそも魔物との連戦もキツイだろ」
「確かに最初はきつかった。だけど、俺たちは普通の冒険者じゃなかったんでね」
「どういう意味だよ?」
「俺たちの何人かは『水魔法使い』のジョブを持っている。だから、飲水は問題なく確保できる。アイテムバッグで食料も持ち運べる」
実際はアイテムバッグではなくて俺の『ストレージ』の力だが、とりあえずはこの説明で問題ないだろう。
「へえ。そりゃ凄えなぁ」
ミルキーは感嘆している様子だ。
「そして、俺たちは全員が一流の冒険者。迫りくる魔物との連戦も大した負担ではない。『結界魔法使い』のおかげで、夜はぐっすり眠れるしな」
「……」
「どうした?」
「いや、そのよぉ……」
ミルキーは少し言いづらそうな様子を見せる。
「コウタ坊たちは、ひょっとしたらとんでもないパーティーなのか?」
「そうだな。少なくとも、並のパーティーでは太刀打ちできない実力はあると思うぜ」
俺はドヤ顔でそう言う。
そう言えば、ミルキーは俺たちの実力をあまり知らないのか。
あまり実力をひけらかさないのは美徳だが、俺の場合は『パーティメンバー設定』や『パーティメンバー経験値ブースト』といったチートスキルがある。
チャンスがあれば”俺は凄いんだぜ”とアピールしていくのも有効だろう。
そして、そのタイミングは今だ。
引き続き、ミルキーに対してドヤ顔していくことにしよう。
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