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第5章
363話 俺には通用しない
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「気に入った。気に入ったぞ、コウタ殿。貴公に爵位を与えようと思うが、どうかな?」
「……」
なんですって?
「はっ。ありがたく頂戴いたします」
俺は平然と答える。
しかし内心では動揺しまくりだ。
迷宮の討伐は、平民から貴族に成り上がってもおかしくないほどの偉業だ。
しかしそれでも、普通はもう少し時間が掛かるだろう。
まさかこんなにスピード感を持って叙爵を打診されるとは思わなかった。
「うむ。貴公のさらなる活躍に期待しておる……と言いたいところだが、その前に……」
「その前に? ……むっ!!」
俺は咄嵯に横に飛び退いた。
直後、俺のいた場所に雷が落ちてきた。
バチィッ!!
と音が響き渡る。
俺以外の誰もが反応できていない。
この雷撃が直撃すれば、人間など消し炭になっていたことだろう。
しかし、俺は無傷で立っている。
俺の反応速度をもってすれば、この程度は造作もないことだ。
「ご主人様!」
シルヴィが叫ぶ。
「大丈夫だよ」
俺は手を振った。
「うむ。今のを避けるとは、さすがは一流冒険者だ。有象無象に暗殺されてしまうようなことはないだろう」
ウルゴ陛下がそう言う。
今の攻撃は彼からのものだ。
確かに、叙爵したばかりの新貴族が即座に暗殺でもされてしまえば、社会に混乱が生じる。
迷宮の討伐という功績だけでなく、実際にその目で実力を見極めるのは大切なことなのだろう。
「はっ。恐れ入ります」
いきなり攻撃されて、正直なところ少しムカついているが。
水に流してやる。
「では、次だ」
ウルゴ陛下がそう言った瞬間、俺の首筋に短剣が突き付けられた。
俺はそれを指先で摘まんでいる。
「な、なに!?」
剣の持ち主が驚いている。
彼女は女騎士ナディア。
ウルゴ陛下と事前に打ち合わせしていたのだろう。
俺を奇襲して、実力を確かめるための作戦だ。
「俺は迷宮を踏破したんだ。迷宮では常に危険が付き纏う。この程度の不意打ち、俺には通用しない」
俺はそう言って、彼女を睨んだ。
「ぐっ」
ナディアは悔しそうにしている。
「くっくっ。さすがはコウタ殿。これでもダメか」
「陛下。申し訳ありません」
「よい。コウタ殿の奇襲耐性は、十分に分かった。悪くないな」
ウルゴ陛下は満足そうだ。
これで俺の資質への疑いは晴れたということだろう。
「さて、改めて聞こう。コウタ殿。貴公に爵位を与える。爵位は男爵だ。受け取ってくれるな?」
「ありがたく頂戴致します」
俺は即答する。
男爵と言えば、領地を持つことが許される貴族階級だ。
てっきり、一代限りの騎士爵を授かることになると思っていたが……。
少しだけ予想外だ。
「……」
なんですって?
「はっ。ありがたく頂戴いたします」
俺は平然と答える。
しかし内心では動揺しまくりだ。
迷宮の討伐は、平民から貴族に成り上がってもおかしくないほどの偉業だ。
しかしそれでも、普通はもう少し時間が掛かるだろう。
まさかこんなにスピード感を持って叙爵を打診されるとは思わなかった。
「うむ。貴公のさらなる活躍に期待しておる……と言いたいところだが、その前に……」
「その前に? ……むっ!!」
俺は咄嵯に横に飛び退いた。
直後、俺のいた場所に雷が落ちてきた。
バチィッ!!
と音が響き渡る。
俺以外の誰もが反応できていない。
この雷撃が直撃すれば、人間など消し炭になっていたことだろう。
しかし、俺は無傷で立っている。
俺の反応速度をもってすれば、この程度は造作もないことだ。
「ご主人様!」
シルヴィが叫ぶ。
「大丈夫だよ」
俺は手を振った。
「うむ。今のを避けるとは、さすがは一流冒険者だ。有象無象に暗殺されてしまうようなことはないだろう」
ウルゴ陛下がそう言う。
今の攻撃は彼からのものだ。
確かに、叙爵したばかりの新貴族が即座に暗殺でもされてしまえば、社会に混乱が生じる。
迷宮の討伐という功績だけでなく、実際にその目で実力を見極めるのは大切なことなのだろう。
「はっ。恐れ入ります」
いきなり攻撃されて、正直なところ少しムカついているが。
水に流してやる。
「では、次だ」
ウルゴ陛下がそう言った瞬間、俺の首筋に短剣が突き付けられた。
俺はそれを指先で摘まんでいる。
「な、なに!?」
剣の持ち主が驚いている。
彼女は女騎士ナディア。
ウルゴ陛下と事前に打ち合わせしていたのだろう。
俺を奇襲して、実力を確かめるための作戦だ。
「俺は迷宮を踏破したんだ。迷宮では常に危険が付き纏う。この程度の不意打ち、俺には通用しない」
俺はそう言って、彼女を睨んだ。
「ぐっ」
ナディアは悔しそうにしている。
「くっくっ。さすがはコウタ殿。これでもダメか」
「陛下。申し訳ありません」
「よい。コウタ殿の奇襲耐性は、十分に分かった。悪くないな」
ウルゴ陛下は満足そうだ。
これで俺の資質への疑いは晴れたということだろう。
「さて、改めて聞こう。コウタ殿。貴公に爵位を与える。爵位は男爵だ。受け取ってくれるな?」
「ありがたく頂戴致します」
俺は即答する。
男爵と言えば、領地を持つことが許される貴族階級だ。
てっきり、一代限りの騎士爵を授かることになると思っていたが……。
少しだけ予想外だ。
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