362 / 1,260
第5章
362話 バルドゥール王国第17代国王
しおりを挟む
広場に到着すると、そこは大勢の人々で賑わっていた。
俺たちが姿を見せると、ざわめきが起こる。
「おい、あれが例の『悠久の風』のメンバーなのか?」
「ああ。間違いないぜ。ほら、あの黒髪の男だろ?」
「なんて禍々しい魔力だ。これが迷宮踏破者の力か」
「いや、それよりも、一緒にいる少女たちの方がヤバいだろ」
「とんでもない美少女ね」
「噂じゃ、少しでもスキを見せた女は食われちまうらしいぜ。きっとあの子たちも……」
「年頃の女は近づくな。すぐにでも孕まされるぞ」
「うぉおお! 俺もあんな女の子と一緒に冒険してえ!」
そんな声が聞こえる。
一部でなんか変な勘違いをされているような気がしないでもない。
まあいいか……。
俺はそう思ってスルーすることにした。
俺たちが案内されたのは広場の中央部。
普段は一般に開放されている場所だ。
しかし、今は厳粛な雰囲気が漂っている。
赤い絨毯が敷かれており、その先に玉座があった。
そこに一人の初老の男性が座っている。
おそらく彼が国王陛下なのだろう。
「ナディア・エルカインド。参りましてございます」
俺を先導していた女騎士ナディアが一歩引き、膝をつく。
それに合わせて俺たちも跪く。
俺が先頭、他の悠久の風の面々が続き、ナディアがその後ろに控えている形だ。
群衆たちは息を呑み、遠巻きに様子を見ている。
「皆の者。面を上げよ」
国王陛下と思われる人物がそう言った。
「はっ」
俺たちは顔を上げる。
「其方がコウタ殿であるな。余はバルドゥール王国第17代国王、ウルゴ・バルドゥールである。此度のエルカ迷宮討伐、大義であった」
やはり、俺が迷宮を討伐した件の話で間違いないようだ。
情報が伝わるの、速くね?
俺たちはダンジョンコアを破壊した後に、隠し部屋の金銀財宝を回収した上で、一晩休んだ。
転移魔法を持たない俺たちは、その後エルカ迷宮とエルカ草原を徒歩で移動した。
転移魔法の使い手がいれば楽だったのだが、ないものはないのだ。
仕方がない。
今の時刻は昼過ぎぐらい。
ダンジョンコアを破壊して、1日が経つか経たないかといったぐらいだ。
どういう経路で情報が伝わっていったのだろうか。
それに、情報が伝わるだけならまだしも、国王がこれほど迅速に動くとは。
何らかの形で社会的名声は高まると思っていたが……。
これはさすがに予想外だ。
「はっ。迷宮の討伐は、冒険者の務めであります。それが果たせたことは、大変光栄に存じ上げます」
「ふむ。謙虚なのだな。迷宮踏破者ともなれば、時に一国を揺るがすほどの戦闘能力を持つものだが……」
「恐れながら陛下。私はまだまだ修行中の身。迷宮を踏破できたのは、仲間たちの助力あってのことです」
「ほう。それほどの実力を持ちながらも、更なる向上心を持っていると申すか。ますます気に入った」
ウルゴ陛下が満足げな笑みを浮かべる。
どうやら気に入ってくれたようだ。
第一関門は突破といったところか。
俺たちが姿を見せると、ざわめきが起こる。
「おい、あれが例の『悠久の風』のメンバーなのか?」
「ああ。間違いないぜ。ほら、あの黒髪の男だろ?」
「なんて禍々しい魔力だ。これが迷宮踏破者の力か」
「いや、それよりも、一緒にいる少女たちの方がヤバいだろ」
「とんでもない美少女ね」
「噂じゃ、少しでもスキを見せた女は食われちまうらしいぜ。きっとあの子たちも……」
「年頃の女は近づくな。すぐにでも孕まされるぞ」
「うぉおお! 俺もあんな女の子と一緒に冒険してえ!」
そんな声が聞こえる。
一部でなんか変な勘違いをされているような気がしないでもない。
まあいいか……。
俺はそう思ってスルーすることにした。
俺たちが案内されたのは広場の中央部。
普段は一般に開放されている場所だ。
しかし、今は厳粛な雰囲気が漂っている。
赤い絨毯が敷かれており、その先に玉座があった。
そこに一人の初老の男性が座っている。
おそらく彼が国王陛下なのだろう。
「ナディア・エルカインド。参りましてございます」
俺を先導していた女騎士ナディアが一歩引き、膝をつく。
それに合わせて俺たちも跪く。
俺が先頭、他の悠久の風の面々が続き、ナディアがその後ろに控えている形だ。
群衆たちは息を呑み、遠巻きに様子を見ている。
「皆の者。面を上げよ」
国王陛下と思われる人物がそう言った。
「はっ」
俺たちは顔を上げる。
「其方がコウタ殿であるな。余はバルドゥール王国第17代国王、ウルゴ・バルドゥールである。此度のエルカ迷宮討伐、大義であった」
やはり、俺が迷宮を討伐した件の話で間違いないようだ。
情報が伝わるの、速くね?
俺たちはダンジョンコアを破壊した後に、隠し部屋の金銀財宝を回収した上で、一晩休んだ。
転移魔法を持たない俺たちは、その後エルカ迷宮とエルカ草原を徒歩で移動した。
転移魔法の使い手がいれば楽だったのだが、ないものはないのだ。
仕方がない。
今の時刻は昼過ぎぐらい。
ダンジョンコアを破壊して、1日が経つか経たないかといったぐらいだ。
どういう経路で情報が伝わっていったのだろうか。
それに、情報が伝わるだけならまだしも、国王がこれほど迅速に動くとは。
何らかの形で社会的名声は高まると思っていたが……。
これはさすがに予想外だ。
「はっ。迷宮の討伐は、冒険者の務めであります。それが果たせたことは、大変光栄に存じ上げます」
「ふむ。謙虚なのだな。迷宮踏破者ともなれば、時に一国を揺るがすほどの戦闘能力を持つものだが……」
「恐れながら陛下。私はまだまだ修行中の身。迷宮を踏破できたのは、仲間たちの助力あってのことです」
「ほう。それほどの実力を持ちながらも、更なる向上心を持っていると申すか。ますます気に入った」
ウルゴ陛下が満足げな笑みを浮かべる。
どうやら気に入ってくれたようだ。
第一関門は突破といったところか。
16
お気に入りに追加
1,089
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる