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第5章
358話 最新ステータス グレイス
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俺たちはエルカ樹海を歩いている。
この森は、木々が生い茂り視界が悪い上に魔物が多い。
「……ん。コウタちゃん、また魔物が出たよ……」
ティータがそう言う。
『森林守護者』のジョブを持つ彼女の索敵能力は頼りになる。
だが、索敵に特化したジョブではないため、過信は禁物だ。
「ありがとう、ティータ。種類がわかれば適切な先制攻撃ができるのだが……」
ホーンラビットなら、適当に魔法や弓を放てばいい。
一発だけでも当たれば、紙耐久のホーンラビットは討伐できるからだ。
フォレストゴブリンは少しだけ厄介で、闇雲に攻撃すればいいわけではない。
単体行動をする個体もいるが、その多くは群れで行動するからだ。
先制攻撃で群れのリーダー格を仕留めれば理想的。
あるいは、群れの中心部を狙って範囲攻撃や状態異常攻撃を放つのも悪くない。
クレイジーラビットはさらに厄介だ。
『最初に群れに攻撃した者を狂ったように集中攻撃する』という特性上、闇雲に手を出すわけにはいかない。
「……ごめんね。何がいるかまではわからない……」
魔物は木々の死角にいるため、まだ視認できない。
ティータがその存在に気づいたのは、パッシブスキル『気配察知力上昇』の恩恵によるものだ。
魔物の種類を断定するには、もう少し接近する必要があるのだが……。
「コウタ親分、ありゃフォレストゴブリンだぜ。数は2体」
「わかるのか?」
「ああ。『盗賊』のジョブを持つ俺なら、朝飯前さ」
グレイスが胸を張る。
「素晴らしいな。索敵能力は俺たちの中でも随一か」
「まあ、俺にはこれしか取り柄がないんでね。それより、フォレストゴブリンは撃破すればいいんだよな?」
「そうだな。2体ぐらいなら、俺が軽く倒して……」
「いや、俺に任せてくれよ。俺のジョブレベルはまだまだ低いから、少しでも追いつきたいんだ」
グレイスがそう言う。
俺のチートスキル『パーティメンバー経験値ブースト』の恩恵により、『悠久の風』の面々は高いジョブレベルを誇る。
パーティへの加入時期が早ければ早いほどジョブレベルが高い傾向があり、その差はなかなか縮まらない。
チートスキル『パーティメンバー設定』によって、仲間が得た経験値を分割してしまっているせいだ。
自分が戦闘に参加していなくとも、討伐時に近くにいるだけでそれなりの経験値が入ってくる。
シルヴィやユヅキあたりの先行者にグレイスが追いつくには、自らが率先して戦闘に参加する必要がある。
経験値は、魔物への与ダメージが大きいほど多く分割されるからだ。
「わかった。では、任せよう」
「おう! じゃ、行ってくる!」
グレイスは駆け出した。
そして、手に持つ短剣で、手前にいたフォレストゴブリンの首筋を一閃した。
「ギャッ!? アアッ……」
首から血を吹き出しながら、フォレストゴブリンは絶命する。
グレイスはそのまま、もう1体のフォレストゴブリンへ突進し、心臓を刺突した。
「グギィッ……!! アガァ……」
こちらも即死だったようだ。
俺はその様子を、遠くから眺めていた。
彼女のステータス画面に視線を落とす。
グレイス
種族:人族
称号:エルカ迷宮踏破者
ファーストジョブ:兇賊レベル24
セカンドジョブ:剣豪レベル21
サードジョブ:格闘王レベル19
控えジョブ:盗賊レベル30、剣士レベル30、格闘家レベル30、水魔法使いレベル2
HP:C(09/10)
MP:C(09/10)
闘気:B(02/30)
腕力:C(09/10)
脚力:B(07/30)
器用:A(00/100)
アクティブスキル:
『兇賊』クイックラッシュ
『剣豪』ラッシュ、ダブルラッシュ、スーパーラッシュ、ジャッジメントソード、ハイパーラッシュ
『格闘王』裂空脚、砲撃連拳、鉄心、乱れ蹴り、爆撃正拳
パッシブスキル:
『兇賊』気配隠匿技術向上、器用強化、ダンジョン宝箱出現率上昇、パーティメンバー気配隠匿技術向上(大)、気配察知力上昇、器用強化、罠探知力上昇
『剣豪』腕力強化、腕力強化
『格闘王』脚力強化、アクティブスキル発動時間短縮
『エルカ迷宮踏破者』全能力値上昇(小)、閉所耐性上昇
「うーむ。やはり、強いな」
『盗賊』は生産系ジョブ……というわけではないのだが、そのスキルはパッシブスキルに偏っている。
そのため、これまでの彼女はパーティの補佐役だった。
索敵、先行しての偵察、トラップの探知や解除などだ。
その役割は今後も変わらないのだが、今の彼女は戦闘能力においても高い水準にある。
さすがに俺やシルヴィほどではないが、十分な戦力だと言えるだろう。
「ふうっ……。どうだ? 俺だってやる時はやるんだぜ?」
「ああ。よくやった」
「おう! コウタ親分のためなら、これぐらいわけねえぜ!」
グレイスが嬉しそうに笑う。
元犯罪者の彼女だが、すっかり改心している。
これからも『悠久の風』のメンバーとして活躍してくれそうだ。
この森は、木々が生い茂り視界が悪い上に魔物が多い。
「……ん。コウタちゃん、また魔物が出たよ……」
ティータがそう言う。
『森林守護者』のジョブを持つ彼女の索敵能力は頼りになる。
だが、索敵に特化したジョブではないため、過信は禁物だ。
「ありがとう、ティータ。種類がわかれば適切な先制攻撃ができるのだが……」
ホーンラビットなら、適当に魔法や弓を放てばいい。
一発だけでも当たれば、紙耐久のホーンラビットは討伐できるからだ。
フォレストゴブリンは少しだけ厄介で、闇雲に攻撃すればいいわけではない。
単体行動をする個体もいるが、その多くは群れで行動するからだ。
先制攻撃で群れのリーダー格を仕留めれば理想的。
あるいは、群れの中心部を狙って範囲攻撃や状態異常攻撃を放つのも悪くない。
クレイジーラビットはさらに厄介だ。
『最初に群れに攻撃した者を狂ったように集中攻撃する』という特性上、闇雲に手を出すわけにはいかない。
「……ごめんね。何がいるかまではわからない……」
魔物は木々の死角にいるため、まだ視認できない。
ティータがその存在に気づいたのは、パッシブスキル『気配察知力上昇』の恩恵によるものだ。
魔物の種類を断定するには、もう少し接近する必要があるのだが……。
「コウタ親分、ありゃフォレストゴブリンだぜ。数は2体」
「わかるのか?」
「ああ。『盗賊』のジョブを持つ俺なら、朝飯前さ」
グレイスが胸を張る。
「素晴らしいな。索敵能力は俺たちの中でも随一か」
「まあ、俺にはこれしか取り柄がないんでね。それより、フォレストゴブリンは撃破すればいいんだよな?」
「そうだな。2体ぐらいなら、俺が軽く倒して……」
「いや、俺に任せてくれよ。俺のジョブレベルはまだまだ低いから、少しでも追いつきたいんだ」
グレイスがそう言う。
俺のチートスキル『パーティメンバー経験値ブースト』の恩恵により、『悠久の風』の面々は高いジョブレベルを誇る。
パーティへの加入時期が早ければ早いほどジョブレベルが高い傾向があり、その差はなかなか縮まらない。
チートスキル『パーティメンバー設定』によって、仲間が得た経験値を分割してしまっているせいだ。
自分が戦闘に参加していなくとも、討伐時に近くにいるだけでそれなりの経験値が入ってくる。
シルヴィやユヅキあたりの先行者にグレイスが追いつくには、自らが率先して戦闘に参加する必要がある。
経験値は、魔物への与ダメージが大きいほど多く分割されるからだ。
「わかった。では、任せよう」
「おう! じゃ、行ってくる!」
グレイスは駆け出した。
そして、手に持つ短剣で、手前にいたフォレストゴブリンの首筋を一閃した。
「ギャッ!? アアッ……」
首から血を吹き出しながら、フォレストゴブリンは絶命する。
グレイスはそのまま、もう1体のフォレストゴブリンへ突進し、心臓を刺突した。
「グギィッ……!! アガァ……」
こちらも即死だったようだ。
俺はその様子を、遠くから眺めていた。
彼女のステータス画面に視線を落とす。
グレイス
種族:人族
称号:エルカ迷宮踏破者
ファーストジョブ:兇賊レベル24
セカンドジョブ:剣豪レベル21
サードジョブ:格闘王レベル19
控えジョブ:盗賊レベル30、剣士レベル30、格闘家レベル30、水魔法使いレベル2
HP:C(09/10)
MP:C(09/10)
闘気:B(02/30)
腕力:C(09/10)
脚力:B(07/30)
器用:A(00/100)
アクティブスキル:
『兇賊』クイックラッシュ
『剣豪』ラッシュ、ダブルラッシュ、スーパーラッシュ、ジャッジメントソード、ハイパーラッシュ
『格闘王』裂空脚、砲撃連拳、鉄心、乱れ蹴り、爆撃正拳
パッシブスキル:
『兇賊』気配隠匿技術向上、器用強化、ダンジョン宝箱出現率上昇、パーティメンバー気配隠匿技術向上(大)、気配察知力上昇、器用強化、罠探知力上昇
『剣豪』腕力強化、腕力強化
『格闘王』脚力強化、アクティブスキル発動時間短縮
『エルカ迷宮踏破者』全能力値上昇(小)、閉所耐性上昇
「うーむ。やはり、強いな」
『盗賊』は生産系ジョブ……というわけではないのだが、そのスキルはパッシブスキルに偏っている。
そのため、これまでの彼女はパーティの補佐役だった。
索敵、先行しての偵察、トラップの探知や解除などだ。
その役割は今後も変わらないのだが、今の彼女は戦闘能力においても高い水準にある。
さすがに俺やシルヴィほどではないが、十分な戦力だと言えるだろう。
「ふうっ……。どうだ? 俺だってやる時はやるんだぜ?」
「ああ。よくやった」
「おう! コウタ親分のためなら、これぐらいわけねえぜ!」
グレイスが嬉しそうに笑う。
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これからも『悠久の風』のメンバーとして活躍してくれそうだ。
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