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第5章

354話 最新ステータス ミナ

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「むっ! クレイジーラビットの群れか……」

 前方に、ウサギ型の魔物が見えた。
 その数は、パッと見たところ30匹以上はいるようだ。

「どうしますか? ご主人様」

「そうだなあ。ちょっと数が多いし、ここは俺の風魔法で一掃するか」

 クレイジーラビットは、単体の戦闘能力としては大したことがない。
 だが、群れとして見た場合は油断できない特性を持つ。
 群れに攻撃した者を集中して攻撃してくるのだ。

「ちょっと待つのです」

「ミナ?」

「ボクがやるのです。新しい力を思う存分に試してみたいのです」

 ミナがそう意気込む。
 今回の迷宮攻略を通して、俺たちはそれぞれ大幅なレベルアップを果たした。
 当然、新たなアクティブスキルをたくさん習得している。

 だが、攻略中は常にベストな選択肢ばかり選ぶようにしていたため、迷宮内では使用に適さない魔法は使っていない。
 また、そもそも最後のダンジョンコアの破壊やミッション報酬によってレベルアップしてからは、戦闘自体をあまりしていない。
 ここで一度使っておきたいということだろう。

「よし分かった。危なくなったら止めるぞ」

「了解なのですよ」

 彼女がクレイジーラビットの群れに近づいていく。
 そして……。

「【ギガインパクト】! なのです!!」

 ドゴーン!
 彼女がハンマーを勢いよく振り下ろすと、衝撃波が発生し、それが一気に広がっていった。
 その威力たるや凄まじく、一瞬にしてクレイジーラビットの群れは混乱に陥った。

「おお、これはすごいな!」

「はい! とんでもない威力ですね!」

 俺とシルヴィが興奮した声を上げる。

「でも、生き残りがミナさんに近づいているよ!」

 ユヅキがそう声を上げる。
 これがクレイジーラビットの厄介なところだ。
 最初に群れへ攻撃を加えた者を狙って集中的に報復する。
 このタイミングで俺やシルヴィが加勢しても、奴らの狙いはミナから外れない。

「大丈夫なのです! 燃え盛れ! 【ファイアーウォール】!!」

 ゴオオオオッ!!
 ミナが魔法を発動すると、炎の壁が現れた。
 クレイジーラビットはお構いなしに突っ込んでいくが、もちろんダメージは大きい。
 ヨロヨロになった奴らを待ち構えているのは、ハンマーを持ったミナだ。

「これで終わりなのです! 【ラッシュボンバー】!!」

 ドカン!
 ドカドカ!!
 ドッガーン!!!

 彼女の放った連撃で、全てのクレイジーラビットは倒されてしまった。
 まさに圧倒的である。
 ここで、ミナの最新ステータスを確認しておこう。


ミナ
種族:ドワーフ
称号:『エルカ迷宮踏破者』
ファーストジョブ:聖鍛冶師レベ27
セカンドジョブ:大槌士レベル26
サードジョブ:火魔導師レベル16
控えジョブ:鍛冶師レベル30、槌士レベル30、火魔法使いレベル30、格闘家レベル28、料理人レベル8、水魔法使いレベル1
HP:B(04/30)
MP:B(02/30)
闘気:B(13/30)
腕力:A(11/100)
脚力:C(09/10)
器用:B(10/30)

アクティブスキル:
『大槌士』ビッグボンバー、ダブルボンバー、ビッグインパクト、気合溜め、ギガインパクト、ラッシュボンバー
『火魔導師』ファイアーボール、フレイムアロー、ボルカニックフレイム、ファイアーウォール

パッシブスキル:
『聖鍛冶師』パーティメンバー武器性能向上(大)、火耐性強化、鉱石類ドロップ率上昇、腕力強化、鍛冶の心得、熱耐性強化、器用強化、レア鉱石類ドロップ率上昇、鉄人
『火魔導師』MP強化、詠唱時間短縮、MP強化
『大槌士』腕力強化、腕力強化
『エルカ迷宮踏破者』全能力値上昇(小)、閉所耐性上昇


 ミナのファーストジョブは生産型ジョブの『聖鍛冶師』だ。
 その分、総合的な戦闘能力ではシルヴィやユヅキに劣る。
 だが、それでも決して弱いわけではない。
 自慢の腕力を活かした破壊力は、まさに今見せてくれた通りだ。

 彼女のファーストジョブ『聖鍛冶師』はそろそろ上限のレベル30が見えてきた。
 そして、鍛冶師系のジョブと相性がいいとされる『火魔導師』のレベリングも順調だ。
 このまま行けば、いずれ超上級ジョブの開放条件を満たしそうだ。

「ふう。いい感じにできたのです」

「ああ。今のはカッコよかったぜ」

 俺はミナの頭を撫でてやった。

「えへへ~。もっと褒めてほしいのですよ~」

 彼女は嬉しそうにしている。

「ミナはすごいよ。俺はもう、ミナなしでは生きていけない。愛してる」

「ふぇ!? そ、そんないきなり言われても困るのですよ……。ボクだってコウタくんのことが大好きですし……」

「ありがとう。俺もだ」

「あうう……」

 ミナが顔を真っ赤にして俯いている。
 本当に可愛いなあ。
 こんな娘がパーティにいてくれて、俺は本当に幸せだと感じたのだった。
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