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第5章

348話 経験値(大)

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 セリアを『悠久の風』に勧誘し、了承してもらうことができた。
 これは冒険者ギルドで登録している形式上のパーティ登録ではなく、俺のチートスキル『パーティメンバー設定』に基づくパーティ登録だ。
 他のチートスキルである『ジョブ設定』や『パーティメンバー経験値ブースト』の対象者になったわけだし、今後は急速な成長が見込めるだろう。
 また、魔物討伐時の経験値分配や念話などのメリットも享受できるし、『悠久の風』の未来はさらに明るくなったと言える。
 そして、今この場で検証したい事柄がある。

ミッション
『悠久の風』全員でエルカ迷宮から生還せよ。
報酬:経験値(大)、魔石(大)

 先ほども言った通り、このミッションが達成済みとなっている。
 俺は画面を操作し、報酬を受け取る。

「おっと」

 まずは魔石(大)だ。
 いつもの通り、虚空に現れて地面に転がった。
 俺はそれを素早く回収する。

「あれ? ご主人様、その魔石はなんですか?」

「ん? ああ、ミッションの報酬だよ」

 俺はシルヴィの問いにそう答える。
 彼女たちには、俺のチートスキルやミッションのことをある程度伝達済みだ。

「にゃにゃっ!? なんだか、また体が変な感じになりましたにゃ!」

「へへっ。すげえな。身体能力が上がっているぜ!」

「本当なのです。まるで身体の奥底から力が湧いてくるなのです」

「あたしも……ちょっと調子が良くなりました」

 セリア、リン、ミナ、エメラダが興奮気味にそう言う。
 その原因はおそらく、ミッション報酬の経験値(大)だろう。
 ダンジョンコアの破壊時に、それぞれのジョブレベルは一回り上がった。
 そして、ミッション報酬によりそれらがさらに上がったわけだ。

(ふむ。新規に加入したセリアについても、ミッション報酬の対象者になっているのか)

 これが検証したかった事項だ。
 ミッションが与えられた時点では『悠久の風』に登録していなかったセリアに、経験値(大)が分配されるのか否か。
 検証結果としては、”分配される”が正解だ。
 1人分の報酬を得した感じがするな。

 まあ、もしかしたらセリアに分配された分の経験値が他のメンバーから少しずつ引かれているのかもしれないが。
 今回はタイミングが良かったので最低限の検証を行うことができたが、これ以上の詳細な仕様を検証することは難しいし、労力に合わない。
 基本的には、行き当たりばったり気味に突き進んでいくしかないだろう。

「また強くなれた……。コウタのおかげだよ」

「素晴らしい成果ですわね」

「……早く試したいかも……」

 ユヅキ、ローズ、ティータが満足げにそう言う。
 彼女たちの成長は、本人たちの頑張りもあるが、これらのチートスキルの恩恵も大きい。

「よし。では、帰りながらそれぞれの力を確認していくか。もう大した魔物は出ないはずだし、ちょうどいいだろう」

 MSCでは、コアルームから地上へ移動できる転移魔法陣が用意されていることが多かった。
 おそらく、ここにも転移魔法陣があるだろう。

 もしなければ、一度5階層に戻ってから徒歩で戻る感じか。
 今の俺たちなら、別にそれでも問題はない。
 俺がそんなことを考えているときだった。

「コウタ親分、それにみんな! ちょ、ちょっとこっちに来てくれっ!」

 コアルームの奥にいたグレイスがそう叫んだ。
 何かを発見したのだろうか?
 俺はみんなを連れて、彼女の元に向かうことにしたのだった。
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