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第5章

347話 セリアが『悠久の風』に加入

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「はあぁ……。素晴らしい時間でしたね」

「うん……。僕、しばらく立てそうにないよ」

 シルヴィとユヅキが恍惚とした表情で言った。
 他の仲間たちも似たようなものだ。
 俺はそんな仲間たちを尻目に、一人の女性に話し掛ける。

「セリア、ちょっといいか?」

「ふにゃ~」

 俺の言葉が聞こえているのかいないのか、セリアは幸せそうな顔をしながら猫のような声を出した。
 とある事項の検証のために彼女と話したいのだが、これは難航しそうだ。

「なあ、セリア」

「にゃあぁ……」

 ダメだ。
 完全にトリップしている。
 仕方がない。
 俺は彼女の耳元に口を近づけ、囁くようにして言う。

「セリア……愛してるぞ」

「ひゃんっ!?」

 彼女はビクンッと身体を震わせ、一瞬にして正気を取り戻した。

「ど、どうしたんですかにゃ? コウタさん」

「実は頼みたいことがあるんだけど……」

「にゃんですかにゃ?」

 セリアの問いに、俺は答えない。
 代わりに、ステータス画面で『パーティメンバー設定』を操作し、彼女にパーティ加入の打診を行った。

「えっ!?」

 俺の意図を理解したらしいセリアが驚きの声を上げる。

「これはどういうことですかにゃ? 脳内に直接……? 私が『悠久の風』に……?」

「ああ。受けてくれないか?」

 この世界において、『パーティメンバー設定』というスキルは一般的ではない。
 シルヴィやユヅキにパーティ加入を打診した際にも、困惑した様子だった。
 だが、これを受け入れてくれれば、何かとメリットは大きい。
 俺にとっても、セリアにとってもな。

「ですが、私は冒険者ギルドの職員ですにゃ。自分自身が冒険者になるにゃんて……」

「セリアには素質がある。冒険者として大成して、栄光を掴む未来が見えるぞ。事務仕事をバカにするわけではないが、稼ぎや名声は一流冒険者の方が上だ」

「うぅ……。それはそうですけどにゃ……。さすがにBランクパーティ『悠久の風』に入ってやっていけるわけがにゃいにゃ……」

「大丈夫だ。繰り返すが、セリアには素質がある。俺たちでサポートするし、万が一うまくいかずに断念したら、十分な退職金を払おうではないか。もしくは、俺のハーレムの一員として家庭を守ってくれてもいいぞ」

 俺は彼女の目を見て、力強くそう説得する。

「にゃあぁ……。分かりましたにゃ。そこまで言われたら断れませんにゃ」

「ありがとう。では、パーティ加入を了承してもらえるか?」

「わかったですにゃ」

 セリアが脳内で『悠久の風』への加入を了承したようだ。
 俺のステータス画面で、彼女のステータスが表示されるようになった。
 これで、『悠久の風』は10人。
 俺、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リン。
 ティータ、ローズ、グレイス、エメラダ、セリアだ。
 ずいぶん大所帯となった。

(ふむふむ……。セリアの現状ステータスはこんな感じか……)

 俺は彼女のステータスに目を通す。
 既にチートの恩恵を受けまくっている俺たちには遠く及ばないが、それでも悪くはないステータスだ。

(ふふふ。この状態から、検証をしてみるとするか)

 俺はそんなことを考えながら、ミッションの報酬を受け取るために画面を操作し始めたのだった。
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