324 / 1,049
第5章
324話 まだお前のターンは終了してないぜ?
しおりを挟む
『水魔法使い』のジョブの取得に挑戦中だ。
俺の魔力を込めた黄金水をユヅキの口内にたっぷりと注いでいく。
彼女は息ができないようで、必死に水分を飲んでいく。
「……ぷはっ!」
「おお、すごいな。全部飲み切ったじゃないか」
俺は感嘆の声を上げた。
「はあ、はあ……。コウタ、何するんだ!」
「何って、水魔法使いになるための秘術だよ。ユヅキも協力してくれるって言ったじゃないか」
「確かに言ったけど、こんなことをさせられるなんて思わないじゃないか。それに、そもそもなんでコウタのアレから出てきたものを飲まなきゃいけないんだよ」
ユヅキは顔を真っ赤にしながら言った。
「いや、だって水魔法使いのジョブを取得するには必要なことだし」
「だからって……」
「それで、どうだ? 水魔法の感覚は掴めたか?」
「うーん。まだ水魔法は使えないかな……。でも、何か変わった感じはある」
ユヅキがそう答える。
確かに、ステータス画面上でもまだ『水魔法使い』のジョブは取得できていない。
彼女はまだ水魔法を使えない。
だが、ここまでの特訓により、着実に前へは進んでいるはずだ。
「そうか。それは良かった。それじゃあ次はシルヴィ……」
「はい!」
「……と言いたいところだが、俺の膀胱が空になってしまった。また後にしよう」
「ええっ!?」
シルヴィが悲鳴を上げる。
「ごめんな。ちょっと時間をくれ」
「はい……」
シルヴィはションボリと項垂れてしまった。
そんなに俺の黄金水が欲しかったのか。
待たせて申し訳ないな。
「これで一段落なんだね。それなら、僕は……」
「何勘違いしているんだ? まだお前のターンは終了してないぜ?」
「え? どういうこと?」
ユヅキが首を傾げる。
「ユヅキは、俺との口移しでずいぶんと水を飲んだよな?」
「うん。魔物との戦いで汗をかいて喉が乾いたからね。それに、コウタの魔力が込められた水はおいしくて……。って、何を言わせるんだよ!」
ユヅキが恥ずかしそうにする。
「しかも、俺の黄金水も飲んだからな……。それらの水を飲んで、ユヅキの身体に変化はないのか?」
「え?」
「そろそろ、ユヅキも限界を迎えているんじゃないかと思ってさ。ほら、さっきからずっとモジモジしているみたいだし」
「う……。実はそうなんだよ。誰かいっしょに行かない?」
ユヅキがシルヴィやミナの方を向いてそう言う。
迷宮内に、トイレなどという気の利いたものは存在しない。
そこらで致す必要がある。
だが、パーティの全員が見ている前では出るものも出ない。
かと言って、1人でパーティから離れてしまうと、今度は不意の魔物の襲撃が怖い。
そのため、数人程度の仲間と一緒に行動するのが一般的だ。
「ふふふ。その必要はないぞ、ユヅキ。俺に考えがある」
俺はそう言って、ニヤリと笑みを浮かべるのだった。
俺の魔力を込めた黄金水をユヅキの口内にたっぷりと注いでいく。
彼女は息ができないようで、必死に水分を飲んでいく。
「……ぷはっ!」
「おお、すごいな。全部飲み切ったじゃないか」
俺は感嘆の声を上げた。
「はあ、はあ……。コウタ、何するんだ!」
「何って、水魔法使いになるための秘術だよ。ユヅキも協力してくれるって言ったじゃないか」
「確かに言ったけど、こんなことをさせられるなんて思わないじゃないか。それに、そもそもなんでコウタのアレから出てきたものを飲まなきゃいけないんだよ」
ユヅキは顔を真っ赤にしながら言った。
「いや、だって水魔法使いのジョブを取得するには必要なことだし」
「だからって……」
「それで、どうだ? 水魔法の感覚は掴めたか?」
「うーん。まだ水魔法は使えないかな……。でも、何か変わった感じはある」
ユヅキがそう答える。
確かに、ステータス画面上でもまだ『水魔法使い』のジョブは取得できていない。
彼女はまだ水魔法を使えない。
だが、ここまでの特訓により、着実に前へは進んでいるはずだ。
「そうか。それは良かった。それじゃあ次はシルヴィ……」
「はい!」
「……と言いたいところだが、俺の膀胱が空になってしまった。また後にしよう」
「ええっ!?」
シルヴィが悲鳴を上げる。
「ごめんな。ちょっと時間をくれ」
「はい……」
シルヴィはションボリと項垂れてしまった。
そんなに俺の黄金水が欲しかったのか。
待たせて申し訳ないな。
「これで一段落なんだね。それなら、僕は……」
「何勘違いしているんだ? まだお前のターンは終了してないぜ?」
「え? どういうこと?」
ユヅキが首を傾げる。
「ユヅキは、俺との口移しでずいぶんと水を飲んだよな?」
「うん。魔物との戦いで汗をかいて喉が乾いたからね。それに、コウタの魔力が込められた水はおいしくて……。って、何を言わせるんだよ!」
ユヅキが恥ずかしそうにする。
「しかも、俺の黄金水も飲んだからな……。それらの水を飲んで、ユヅキの身体に変化はないのか?」
「え?」
「そろそろ、ユヅキも限界を迎えているんじゃないかと思ってさ。ほら、さっきからずっとモジモジしているみたいだし」
「う……。実はそうなんだよ。誰かいっしょに行かない?」
ユヅキがシルヴィやミナの方を向いてそう言う。
迷宮内に、トイレなどという気の利いたものは存在しない。
そこらで致す必要がある。
だが、パーティの全員が見ている前では出るものも出ない。
かと言って、1人でパーティから離れてしまうと、今度は不意の魔物の襲撃が怖い。
そのため、数人程度の仲間と一緒に行動するのが一般的だ。
「ふふふ。その必要はないぞ、ユヅキ。俺に考えがある」
俺はそう言って、ニヤリと笑みを浮かべるのだった。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
1,049
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる