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第5章

317話 翌朝

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「ふぁああ……。よく寝たな……」

 俺は伸びをする。

「おはようございます、ご主人様」

「お目覚めですか? 主様。ぐっすり眠っておられましたね」

「コウタっち、おっすー!!」

「みんな、早いんだな」

 すでに『悠久の風』のメンバーは目を覚まして活動していた。

「コウタが遅いんだよ。僕たちは、昨日早々にダウンさせられた分、たっぷり寝たからね」

「その通りなのです。聞けば、ボクたちの後にまたティータさんやローズさんと楽しんだのです?」

「ああ、その通りだが?」

 ミナの問いに、俺は平然と答える。

「あたいたちと楽しんでおいて、まだ足りないっていうのかよ」

「さすがはご主人様です!」

 リンやシルヴィが感心したように言う。

「……コウタ殿の精力は底なしですわね。わたくしは治療魔法を自分に掛けながら粘りましたが、やはり先にダウンしてしまいましたわ……」

「でも、さすがのコウタ親分でも、ローズの姉御の粘りには手を焼いたみたいだったぜ。俺の順番が回ってこなかったから、昨晩はずっと悶々としてたんだ」

 グレイスがションボリとしてそう言う。

「悪かったな。グレイス、それにエメラダ。今夜こそは2人の相手をしてやるぞ」

「……えっと。迷宮の中ですし、無理にとは言いませんよ? 主様の気の赴くまま、どうぞ」

「遠慮するなって。大丈夫だ。こんな魅力的な2人の相手をできなかったことは、痛恨の極みだと思っていたんだ。楽しみにしてろ。ま、その前にまずは迷宮の探索を進めなければならないが」

 俺は『悠久の風』のリーダーとして仲間たちを鼓舞した。
 夜のお楽しみも結構だが、ちゃんと進まないとマズイ。

 状況を再整理しておこう。
 俺たちの戦闘能力は抜群なので、魔物の襲撃は特に問題ない。
 ティータに『結界魔法使い』のジョブを取得してもらったので、夜の睡眠の質も高まった。
 戦闘時の多少のケガは、『治療魔法使い』のローズによって治してもらうことができる。
 『調合士』エメラダが作成した各種ポーション類があれば、状態異常への対処も可能だ。
 俺の『ストレージ』には大量の物資を入れているので、当面の食事や飲料水も問題ない。
 だが、さすがに9人で補給も無しに浪費していては、そのうち底をつくだろう。
 物資がなくなる前に、地上に戻らなければならない。

「……コウタちゃん? ティータに何か言うことはない……?」

 ティータがジト目で俺を見る。
 先ほども言った通り、彼女は『結界魔法使い』のジョブを取得した。
 昨夜は途中から結界を維持し、『悠久の風』の安眠に一役買ってくれた。

「いやすまん。ティータの結界魔法のおかげで、ぐっすり眠れたぞ」

「……そうでしょ? 感謝するといいよ……」

「はいはい。ありがとな」

 俺はティータの頭を撫でてやった。

「……ちょっと、子ども扱いしないで。 これでも立派なレディなのに……」

「悪い悪い。つい、いつもの癖で」

「……まったくもう……。コウタちゃんは本当に仕方がない人だね……」

 ティータは少しむくれつつも、幸せそうな顔をして俺の腕に自分の腕を絡ませてきたのだった。
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