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第5章

311話 いったい何をするの……?

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 エルカ迷宮で安全に一夜を明かすために、とあるジョブの習得を試みようとしている。

「……いったい何をするの……?」

 ティータが不安そうな顔をして聞いてくる。
 彼女はミナやグレイスの手により、真空パックの中に押し込まれてしまっている。

「ん? ちょっと新しいジョブを取得しようとしているんだ」

 俺はそう答えつつ、ティータが真空パックの中にしっかりと入っているかを確認する。
 頭部を除き、しっかりと全身が包まれている。
 まだ空気を抜いていないので多少の身動きは取れるが、実質的にはほとんど動けない状態だ。

「よし、しっかりと入っているな」

 パシッ。
 俺はティータの太ももを軽く叩く。

「……んっ。いたいよ……。もう……。それで、どんなスキルを取るつもりなの?」

「それは秘密だ。ただ、みんなを守るために役立つことは間違いないぞ」

「……みんなを守る? どういう意味?」

「まあ、取得すれば分かるさ。それより……」

 俺は真空パックに包まれたティータの肢体を眺める。
 彼女とは深い仲になっており、その控えめながらも魅力的な肉体はよく知っている。
 しかし、真空パックの中に入っている姿は初めて見るため新鮮味がある。

「やっぱり可愛いなお前は……」

 俺はそう言って、彼女の頭を撫でてやる。

「えへへ……」

 嬉しそうに微笑んでいる。

「コウタ殿。わたくしにも言ってほしいですわ」

 ローズが羨ましそうに見ている。

「ああ、もちろんだ。ローズも綺麗だな」

 俺はそう言いつつ、彼女の頭も優しくなでてあげる。

「ありがとうございます。嬉しいですわ……」

 ローズはそう言いながら頬を赤らめている。

「ご主人様! わたしにも!」

「へへっ。あたいだってなでてほしいぜ!」

 シルヴィやリンが手を上げてくる。
 彼女たちの髪はさらさらで、触り心地がいいのだ。

「シルヴィやリンの髪もいい感じだよな」

 俺は二人の髪をなでてあげる。

「えへへー」

「へへっ。くすぐったいぜ」

 2人は気持ち良さそうにしている。
 そんな光景を見て、ユヅキやミナたちまでもが俺になでてほしいと言い始めた。
 俺は全員の頭をなでてあげる。

「……ねえ。ティータはずっと放置されているんだけど……」

 ティータが寂しそうにつぶやく。
 彼女は真空パックに包まれ、ほとんど身動きが取れない状態だ。

「おっと、悪い。すっかり忘れていた」

 俺はティータに視線を戻す。

「みんな。今の主役はティータだ。可愛がってやろうぜ」

 俺はそう言うと、拘束の仕上げとして彼女の頭部までもパックで覆う。
 さあ、俺の風魔法の出番だ。
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