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第5章

304話 宝箱の罠

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 1週間ほどが経過した。

「さあ、今日も5階層の探索を頑張ろうな!」

「「「「「おー!」」」」」

 俺たちはダンジョンの中へと足を踏み入れる。
 ここ最近毎日のように通っているダンジョンだ。
 エメラダのジョブレベルが十分に上がってきたこともあり、魔物との戦闘にも余裕が出てきた。
 順調に探索を進めていく。

「コウタ親分。あれを……」

 グレイスの声に反応すると、そこには宝箱があった。

「おっ、ラッキー! 久しぶりに見たな」

「これは期待したいですね!」

「わあい! お宝なのです!」

 シルヴィとミナも嬉しそうだ。

「開ける前に罠がないかどうか調べ……」

 俺がそこまで言った時だった。

「……じれったい。さっさと開けちゃおう……」

「危ないですわよ、ティータ殿。ここはわたくしにお任せくださいませ!」

 ティータとローズが進み出て、2人で宝箱を開ける。
 そして……。

「きゃあああぁっ!?」

「……わわっ……!」

 2人が宝箱の口に挟まれた。

「お、おい! 大丈夫か!?」

 慌てて駆け寄る。
 だが……。

「く、暗いですわ!」

「……んっ。痛くはないけど、動けない……」

 ……どうやら大ケガなどはないようだ。
 俺はホッとする。
 このタイプのトラップか。
 MSCでもあったな。

「ちょっと待ってろよ……」

 俺は宝箱に挟まれているローズとティータに近づく。
 彼女たちの上半身は、宝箱の中だ。
 下半身だけが宝箱の外にあり、俺の目の前にある。

 ……ゴクリ。
 俺は思わずつばを飲み込んだ。

「……コウタ?」

「……コウタっち?」

「……主様?」

 俺の不穏な気配を感じ取ったのか、ユヅキ、リン、エメラダがそんな声を上げる。

「ちょっといいか、グレイス」

「なんだ?」

「このタイプのトラップって、危険度は高くないよな?」

「ああ、そのはずだぞ。俺のかつての仲間たちも、よく引っかかっていたからな……」

 グレイスが懐かしそうに答える。

「ふふふ。そういうことだ。自分の立場を理解したか? ローズ、ティータ」

 俺は2人の尻を眺めながらそう言う。

「な、何の話か分かりませんわ……」

「……でも、そこはかとなく嫌な予感がする……」

 ローズとティータは必死で動こうとするが、宝箱に拘束されている状態のため身動きが取れない。

「安心しろ。すぐに解放してやる。ただし、俺の指示には絶対に従ってもらうがな」

「だ、だから、何のお話ですか?」

「……何となく分かったかも……」

 ローズとティータがこわごわとした様子でそう呟く。
 さあ、楽しませてもらうことにしよう。
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