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第5章
302話 5階層 地震ギミック
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4階層のボスを撃破した翌日。
俺たち『悠久の風』は、さっそく5階層へと足を踏み入れた。
「あれ? この階層は、今までとはずいぶんと雰囲気が違いますね」
「そうだね。なんかこう、ジメッとしてるなぁ」
シルヴィとユヅキが言った通り、空気が重苦しい感じだ。
薄暗いし、湿気が多いせいだろうか。
「へへっ。なんだか、足が震えてきやがった」
「ちょっと怖い感じがするのです」
リンとミナがそう漏らす。
「大丈夫だよ。俺がいるから」
俺はみんなにそう声をかけた。
「……うん。頼りにしてる……」
「頼もしいですわ、コウタ殿」
ティータとローズが微笑んでくれる。
「この階層の雰囲気が変わったのは、ここが5階層だからだろう。5階層は節目の階層とされている。道中の魔物やボスが一回り強くなっているはずだ。その代わり、手に入る魔石の大きさや宝箱から得られるアイテムの質は良くなる」
俺は説明した。
MSCではそうだった。
それに、事前に冒険者ギルドの受付嬢セリアから聞き出した情報とも相違ない。
この認識で間違いないだろう。
「そういうことなら気合いを入れていこうぜ!」
「……えっと、はい。あたしも頑張ります。少しだけ迷宮というものにも慣れてきましたので」
グレイスとエメラダがやる気を見せる。
エメラダのジョブレベルはここ最近のダンジョン探索とそれに伴う魔物狩りによって上がっている。
そのおかげで、以前よりも魔物に対して積極的に立ち向かっているのだ。
もちろん他のメンバーたちも、ここ最近のダンジョン攻略で着実にレベルアップしている。
とはいえ、まだまだ油断はできない。
区切りの階層である5階層は、それなりに厄介な敵やトラップが仕掛けられている。
「むっ!? コウタ親分、何かが……」
グレイスが呟いた瞬間、地面が揺れた。
地震だ。
「うわっ!? 結構大きいぞ!」
この世界に来てからの始めての地震だ。
……いや、正確に言えば地震とは少し違う。
ダンジョンのトラップの1つだ。
地面を揺らして探索者を動揺させるだけのトラップである。
MSCでも同じものがあった。
日本人プレイヤーに対しては当然ほとんど効力を発揮せず、無駄なギミックとして運営を馬鹿にする声もあった。
しかし一方で、地震のない国に住んでいる海外プレイヤーに対しては効果が絶大だったという話もある。
「ひいぃっ! 大地の神が怒っているのです!」
「……」
「あわわわっ!」
ミナ、ティータ、エメラダが慌てふためく。
地震がほとんどないこの地域においては、こうしたダンジョンのギミック以外で地面の揺れを感じる経験はまずない。
彼女たちの動揺も仕方ないだろう。
「みんな落ち着けって。こういう時は深呼吸を……」
「怖いです! ご主人様!」
「助けてぇ……。コウタ」
シルヴィとユヅキが抱きついてくる。
『悠久の風』としての活動歴が長くジョブレベルも十分に上がっている彼女たちだが、さすがにこの状況は不安なようだ。
「安心しろ。俺がついている」
俺は2人を抱きしめながら言う。
「あっ、ずるいぞ! 俺も!」
「わたくしも不安ですので失礼しますわ」
グレイスとローズが俺に身を寄せる。
「へへっ。それじゃあ、あたいも……」
「わたしも失礼します!」
「……えっと。あの、あたしは……」
リンとシルヴィも続く。
エメラダも少し悩んだ末に加わった。
さらに、ユヅキやティータも加わろうとしている。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。このままだと歩きにくい」
俺はそう言いながらも、みんなの温もりを感じられて嬉しく思ったのだった。
俺たち『悠久の風』は、さっそく5階層へと足を踏み入れた。
「あれ? この階層は、今までとはずいぶんと雰囲気が違いますね」
「そうだね。なんかこう、ジメッとしてるなぁ」
シルヴィとユヅキが言った通り、空気が重苦しい感じだ。
薄暗いし、湿気が多いせいだろうか。
「へへっ。なんだか、足が震えてきやがった」
「ちょっと怖い感じがするのです」
リンとミナがそう漏らす。
「大丈夫だよ。俺がいるから」
俺はみんなにそう声をかけた。
「……うん。頼りにしてる……」
「頼もしいですわ、コウタ殿」
ティータとローズが微笑んでくれる。
「この階層の雰囲気が変わったのは、ここが5階層だからだろう。5階層は節目の階層とされている。道中の魔物やボスが一回り強くなっているはずだ。その代わり、手に入る魔石の大きさや宝箱から得られるアイテムの質は良くなる」
俺は説明した。
MSCではそうだった。
それに、事前に冒険者ギルドの受付嬢セリアから聞き出した情報とも相違ない。
この認識で間違いないだろう。
「そういうことなら気合いを入れていこうぜ!」
「……えっと、はい。あたしも頑張ります。少しだけ迷宮というものにも慣れてきましたので」
グレイスとエメラダがやる気を見せる。
エメラダのジョブレベルはここ最近のダンジョン探索とそれに伴う魔物狩りによって上がっている。
そのおかげで、以前よりも魔物に対して積極的に立ち向かっているのだ。
もちろん他のメンバーたちも、ここ最近のダンジョン攻略で着実にレベルアップしている。
とはいえ、まだまだ油断はできない。
区切りの階層である5階層は、それなりに厄介な敵やトラップが仕掛けられている。
「むっ!? コウタ親分、何かが……」
グレイスが呟いた瞬間、地面が揺れた。
地震だ。
「うわっ!? 結構大きいぞ!」
この世界に来てからの始めての地震だ。
……いや、正確に言えば地震とは少し違う。
ダンジョンのトラップの1つだ。
地面を揺らして探索者を動揺させるだけのトラップである。
MSCでも同じものがあった。
日本人プレイヤーに対しては当然ほとんど効力を発揮せず、無駄なギミックとして運営を馬鹿にする声もあった。
しかし一方で、地震のない国に住んでいる海外プレイヤーに対しては効果が絶大だったという話もある。
「ひいぃっ! 大地の神が怒っているのです!」
「……」
「あわわわっ!」
ミナ、ティータ、エメラダが慌てふためく。
地震がほとんどないこの地域においては、こうしたダンジョンのギミック以外で地面の揺れを感じる経験はまずない。
彼女たちの動揺も仕方ないだろう。
「みんな落ち着けって。こういう時は深呼吸を……」
「怖いです! ご主人様!」
「助けてぇ……。コウタ」
シルヴィとユヅキが抱きついてくる。
『悠久の風』としての活動歴が長くジョブレベルも十分に上がっている彼女たちだが、さすがにこの状況は不安なようだ。
「安心しろ。俺がついている」
俺は2人を抱きしめながら言う。
「あっ、ずるいぞ! 俺も!」
「わたくしも不安ですので失礼しますわ」
グレイスとローズが俺に身を寄せる。
「へへっ。それじゃあ、あたいも……」
「わたしも失礼します!」
「……えっと。あの、あたしは……」
リンとシルヴィも続く。
エメラダも少し悩んだ末に加わった。
さらに、ユヅキやティータも加わろうとしている。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。このままだと歩きにくい」
俺はそう言いながらも、みんなの温もりを感じられて嬉しく思ったのだった。
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