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第5章

300話 豪華ディナー

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 夕食の時間だ。
 料亭ハーゼの個室を貸し切っている。

「うわぁ……」

「これは……」

「……すごい……」

 ユヅキ、シルヴィ、ティータが目を丸くする。

「ごちそうなのです!」

「おおおぉっ!!」

「……」

 ミナ、グレイス、エメラダもよだれを垂らしている。
 目の前に広がる光景を見て、俺は絶句していた。

 食卓の上には所狭しと料理が並んでいる。
 色とりどりの野菜を使ったサラダ。
 香ばしく焼き上げられたチキンソテー。
 新鮮な魚介類を使ったアクアパッツァ。
 そしてメインディッシュとして、ブラックタイガーの肉を使用したステーキだ。
 他にも副菜として、煮込みハンバーグ、グラタン、ピザ、ポテトフライなどがテーブルを埋め尽くさんばかりに置かれている。

「……さすがに作りすぎじゃないか? リン」

「へへっ。ちょっと張り切りすぎたかな。でも、足りないよりはいいだろ?」

 リンが料理をしてくれたのだが、気合が入りすぎてこんなことになってしまったらしい。

「そうだな。みんなよく食べるし、多めに用意しておく方がいいか」

 ジョブレベルが高くなった俺たちは、とにかくよく食べる。
 万が一料理が足りなくなれば、シルヴィやミナあたりがションボリしてしまうだろう。

「私もがんばりましたよぉ」

 ルンが言う。
 彼女はリンの従姉妹だ。
 リンよりも年下であり、料理の腕は若干劣る。
 せっかくの高級食材ということで、リンは彼女に教えながら一緒に料理したのだ。

 リンの料理の腕は疑う余地がないが、ルンの腕前も相当なものだ。
 そんな二人が作った料理である。
 楽しみで仕方がなかった。

「では、みんなで食べるとするか」

「「「「「いただきます」」」」」

 みんなで声を合わせて挨拶をし、それぞれ食べ始める。

「んん~!! おいしいのですよぉ!!」

「うめぇぜ!」

「いい味です!」

 ミナ、グレイス、シルヴィが肉にがっつく。

「……うん。おいし……」

「これは素晴らしい味ですわね」

「んぐんぐ……。んまい」

「……おいしいです」

 ティータ、ローズ、ユヅキ、エメラダ。
 それぞれが口々に感想を言う。

「良かったですぅ……。皆さんが喜んでくれてぇ」

 ルンがホッとしたように呟いた。
 これだけの量をつくり、マズいと不評だったら大変だもんな。

「本当にうまい。リン、そしてルンちゃん。ありがとう」

「いや、あたいの方こそありがとうだよ。ブラックタイガーの料理をルンに伝授できたし、それにみんなの笑顔が見られて幸せだ」

「そうですねぇ。料理人冥利に尽きますぅ」

 2人は嬉しそうな表情をしている。
 そうして、俺たちは素晴らしい料理を堪能したのだった。
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