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第5章
290話 エルカ迷宮 1階層
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「ふむ。この場所も懐かしいな」
「そうだね。何だか遠い昔のような、つい先日のような気もするよ」
俺の言葉に、隣にいたユヅキが相槌を打つ。
「さっそく1階層の探索を始めるか」
「はいなのです!」
「……ん」
「うーっし! 行くぞ!」
「ご主人様の前の障害は全てわたしが取り除きます!」
俺の言葉にミナ、ティータ、リン、シルヴィが呼応する。
「これがダンジョン……。興味深いですわね。どこか禍々しさも感じますが……」
「盗賊の俺にとっちゃ、これぐらい屁でもねえぜっ!」
グレイスがそう吠える。
確かに、『盗賊』はダンジョン攻略への適性がある。
それは間違っていないのだが……。
「……えっと。盗賊、ですか?」
エメラダが困惑気味に質問をする。
「誤解するなよ? グレイスのジョブが『盗賊』というだけだ。大昔に一度、スリをしたことがあったらしくてな」
俺は苦笑しながらエメラダに説明する。
盗賊のジョブの取得方法は他のジョブと比べても簡単な方だ。
窃盗や強盗などをすれば取得できる。
ただし、ジョブの取得だけを目的とした行為では条件は達成できない。
それに、身内で事前に打ち合わせしたヤラセ行為でもジョブを取得できない。
捕まれば社会的な罰を受けてしまう、というような状況下での窃盗や強盗でなければダメなのだ。
「そ、そうなんですか……。びっくりしました。私、ジョブにはあまり詳しくなくて。てっきり本物の盗賊さんなのかと」
エメラダがホッと胸をなでおろしている。
犯罪組織『毒蛇団』によって奴隷に堕とされた彼女は、犯罪者に対する警戒心が強い。
グレイスが本物の盗賊だったということは伏せておいた方が無難だろう。
「……ま、まあそういうわけだからよ。迷宮攻略の先陣は俺に任せてもらおうか!」
グレイスがそう言う。
「よし、任せたぞ」
俺たち『悠久の風』は、迷宮内を進んでいく。
そして、行く手を魔物が遮った。
「「ギイイィッ!」」
ゴブリンが2体現れたのだ。
「ひゃっ! で、出たぁ!?」
エメラダが怯えた声を上げる。
「心配ない。この程度の敵は俺たちにとっては雑魚同然だ」
俺はそう言って、腰から剣を抜き放つ。
そして、ゴブリンに向かって斬りかかった。
「せいやあっ!!」
ズバッ!!
俺の斬撃により、ゴブリンはあっさりと両断される。
「す、すごい……」
エメラダは目をまんまるにさせて驚いている。
「相変わらず凄えな。コウタ親分はよ」
「……ん。強い」
「ご主人様の雄姿に惚れ直しちゃいました!」
グレイスとティータ、シルヴィが口々に褒め称える。
ゴブリンくらいなら、みんなも軽く倒せるはずだが……。
まあ、真っ二つにできるほどの鋭い一撃を放てる奴はいないかもしれない。
「ありがとう。みんな」
みんなの称賛は素直に受け取っておく。
引き続き1階層を進んでいくことにしよう。
「そうだね。何だか遠い昔のような、つい先日のような気もするよ」
俺の言葉に、隣にいたユヅキが相槌を打つ。
「さっそく1階層の探索を始めるか」
「はいなのです!」
「……ん」
「うーっし! 行くぞ!」
「ご主人様の前の障害は全てわたしが取り除きます!」
俺の言葉にミナ、ティータ、リン、シルヴィが呼応する。
「これがダンジョン……。興味深いですわね。どこか禍々しさも感じますが……」
「盗賊の俺にとっちゃ、これぐらい屁でもねえぜっ!」
グレイスがそう吠える。
確かに、『盗賊』はダンジョン攻略への適性がある。
それは間違っていないのだが……。
「……えっと。盗賊、ですか?」
エメラダが困惑気味に質問をする。
「誤解するなよ? グレイスのジョブが『盗賊』というだけだ。大昔に一度、スリをしたことがあったらしくてな」
俺は苦笑しながらエメラダに説明する。
盗賊のジョブの取得方法は他のジョブと比べても簡単な方だ。
窃盗や強盗などをすれば取得できる。
ただし、ジョブの取得だけを目的とした行為では条件は達成できない。
それに、身内で事前に打ち合わせしたヤラセ行為でもジョブを取得できない。
捕まれば社会的な罰を受けてしまう、というような状況下での窃盗や強盗でなければダメなのだ。
「そ、そうなんですか……。びっくりしました。私、ジョブにはあまり詳しくなくて。てっきり本物の盗賊さんなのかと」
エメラダがホッと胸をなでおろしている。
犯罪組織『毒蛇団』によって奴隷に堕とされた彼女は、犯罪者に対する警戒心が強い。
グレイスが本物の盗賊だったということは伏せておいた方が無難だろう。
「……ま、まあそういうわけだからよ。迷宮攻略の先陣は俺に任せてもらおうか!」
グレイスがそう言う。
「よし、任せたぞ」
俺たち『悠久の風』は、迷宮内を進んでいく。
そして、行く手を魔物が遮った。
「「ギイイィッ!」」
ゴブリンが2体現れたのだ。
「ひゃっ! で、出たぁ!?」
エメラダが怯えた声を上げる。
「心配ない。この程度の敵は俺たちにとっては雑魚同然だ」
俺はそう言って、腰から剣を抜き放つ。
そして、ゴブリンに向かって斬りかかった。
「せいやあっ!!」
ズバッ!!
俺の斬撃により、ゴブリンはあっさりと両断される。
「す、すごい……」
エメラダは目をまんまるにさせて驚いている。
「相変わらず凄えな。コウタ親分はよ」
「……ん。強い」
「ご主人様の雄姿に惚れ直しちゃいました!」
グレイスとティータ、シルヴィが口々に褒め称える。
ゴブリンくらいなら、みんなも軽く倒せるはずだが……。
まあ、真っ二つにできるほどの鋭い一撃を放てる奴はいないかもしれない。
「ありがとう。みんな」
みんなの称賛は素直に受け取っておく。
引き続き1階層を進んでいくことにしよう。
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