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第5章
289話 受付嬢セリアに事前報告
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翌日。
俺は冒険者ギルドにやってきた。
「エルカ迷宮に行くのですかにゃ?」
「ああ。新加入したエメラダの装備を新調するためにな」
俺は冒険者ギルド受付嬢のセリアに、ざっくりとした流れを説明した。
一般的な冒険者が迷宮を探索する場合、冒険者ギルドへの報告は必ずしも要求されない。
迷宮内の魔物を狩って得た魔石やドロップ品は、各自で自由に使用したり処分して構わないことになっている。
冒険者人口が多い町の近郊にできた迷宮などは、実質的に鉱山や薬草の群生地に近い扱いを受け、納税が必要なこともあるらしい。
しかしそういったごく一部の例外を除けば、迷宮は自由に出入りできる場所だ。
国としては、むしろさっさと最奥まで攻略して迷宮を討伐してほしいとすら思っているだろう。
要所の近くに迷宮が発生してしまい、かつ周辺の冒険者の人口がさほど多くない場合などは、国が冒険者ギルド経由で奨励金を出す場合もあると聞く。
魔石やドロップ品といった資源を生み出す場所としてメリットはあるのだが、下手をすればそれ以上のデメリットが存在する場所だからな。
MSCでも、なかなかに緊張感のあるイベントが時おり発生していた。
懐かしいな。
「なるほどですにゃ。新人にオリハルコンの装備とは、何とも豪勢な話ですが……。期待の『悠久の風』に加入するなら、確かにそれぐらいはあってもいいかもしれませんにゃ」
「だろう? それで、まずは1階層のボスであるゴーレムを周回しようと思っていてな」
ゴーレムを周回するメリットは2つ考えられる。
1つは、さほど高くない確率ではあるがオリハルコンをドロップすることがあること。
もう1つは、エメラダのレベリングになることだ。
オリハルコンを確保することだけが目的ならエメラダを宿屋に待機させて、ガンガン進んでいくのも悪くない。
あるいは、エメラダのレベリングだけを考えるなら他にも適した狩り場はある。
この2点を同時に達成できるのは、エルカ迷宮の1階層ならではだろう。
エメラダのジョブレベルがある程度上がった頃にオリハルコンが目的の量に達していなければ、第2層以降へ進む予定だ。
「わかりました。お気をつけて行ってきてくださいですにゃ」
「ありがとう。行ってくる」
俺とセリアの距離もずいぶんと縮まってきている。
どうにかして、彼女に手を出せないものか……。
猫耳を持つ若い少女は、非常に魅力的だ。
「おみやげ期待してますにゃ」
「はいはい……」
こうして気軽なやり取りをできるのも、距離が縮まってきている証拠だ。
あと1歩だな。
いつものやりとりを終えて、俺はその場を離れたのだった。
俺は冒険者ギルドにやってきた。
「エルカ迷宮に行くのですかにゃ?」
「ああ。新加入したエメラダの装備を新調するためにな」
俺は冒険者ギルド受付嬢のセリアに、ざっくりとした流れを説明した。
一般的な冒険者が迷宮を探索する場合、冒険者ギルドへの報告は必ずしも要求されない。
迷宮内の魔物を狩って得た魔石やドロップ品は、各自で自由に使用したり処分して構わないことになっている。
冒険者人口が多い町の近郊にできた迷宮などは、実質的に鉱山や薬草の群生地に近い扱いを受け、納税が必要なこともあるらしい。
しかしそういったごく一部の例外を除けば、迷宮は自由に出入りできる場所だ。
国としては、むしろさっさと最奥まで攻略して迷宮を討伐してほしいとすら思っているだろう。
要所の近くに迷宮が発生してしまい、かつ周辺の冒険者の人口がさほど多くない場合などは、国が冒険者ギルド経由で奨励金を出す場合もあると聞く。
魔石やドロップ品といった資源を生み出す場所としてメリットはあるのだが、下手をすればそれ以上のデメリットが存在する場所だからな。
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懐かしいな。
「なるほどですにゃ。新人にオリハルコンの装備とは、何とも豪勢な話ですが……。期待の『悠久の風』に加入するなら、確かにそれぐらいはあってもいいかもしれませんにゃ」
「だろう? それで、まずは1階層のボスであるゴーレムを周回しようと思っていてな」
ゴーレムを周回するメリットは2つ考えられる。
1つは、さほど高くない確率ではあるがオリハルコンをドロップすることがあること。
もう1つは、エメラダのレベリングになることだ。
オリハルコンを確保することだけが目的ならエメラダを宿屋に待機させて、ガンガン進んでいくのも悪くない。
あるいは、エメラダのレベリングだけを考えるなら他にも適した狩り場はある。
この2点を同時に達成できるのは、エルカ迷宮の1階層ならではだろう。
エメラダのジョブレベルがある程度上がった頃にオリハルコンが目的の量に達していなければ、第2層以降へ進む予定だ。
「わかりました。お気をつけて行ってきてくださいですにゃ」
「ありがとう。行ってくる」
俺とセリアの距離もずいぶんと縮まってきている。
どうにかして、彼女に手を出せないものか……。
猫耳を持つ若い少女は、非常に魅力的だ。
「おみやげ期待してますにゃ」
「はいはい……」
こうして気軽なやり取りをできるのも、距離が縮まってきている証拠だ。
あと1歩だな。
いつものやりとりを終えて、俺はその場を離れたのだった。
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