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第5章

285話 試し切り

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 ミナの従姉妹ミルキーに、エメラダの武器を作ってもらうことになった。

「よしきた! 腕によりをかけて作るぜ! それじゃ、どんな武器が希望なのか教えて貰えるか?」

「ああ。そうだな……」

 俺はミルキーに要望を伝える。
 エメラダのジョブは『調合士』なので、近接戦闘は重点的には鍛えないつもりだ。
 その分、攻撃力や切れ味はそれほど求めないが、扱いやすい武器にしたい。

「ふむ。なるほどな。それなら、こんな感じの剣はどうだい? 参考に持ってみてくれ」

 ミルキーはいくつかの候補を出してくれた。
 その中で、俺は一番シンプルな細身のロングソードを手に取る。

「おお。これなんかいいな」

 俺は軽く振ってみる。
 少し軽めだが、使いやすそうだ。

「そいつは鉄で作った逸品だ。特別な機能はないが、使いやすい。持っておいて損はないと思うぜ」

 ミルキーがそう説明する。

「悪くないな。エメラダ、どうだ?」

 俺はエメラダに剣を手渡す。
 彼女が軽く素振りをする。

「……ええっと、その……」

 なぜか、微妙な顔をしていた。

「どうかしたのか?」

「……この剣、重いですね」

「そりゃあ、鉄で出来てるんだからな。これでも、剣としては軽い方だと思うが」

「……えっと、その。あたしは力がないんで、この重さだとちょっと厳しいかなーって」

「そうなのか?」

「はい」

 ううむ。
 俺なら、片手で持てるくらいの重量感なんだがな。

「それじゃあ、これはどうだ?」

 ミルキーが差し出してきたのは、木製の剣だった。

「こいつは、アタシが作ったものだ。素材は樫の木を使っていて、硬度もそれなりにある」

「へえ。確かに、丈夫そうな感じだ」

「この武器のいいところは、闘気の通りがいいことだ。闘気をしっかりと纏えば、金属製の剣にだって引けを取らない切れ味になるぜ」

「試してみてもいいか?」

「おう。そこの試し切り用の鎧人形があるから、それでやってみてくれよ」

 ミルキーが指差したのは、壁に立てかけられている人型の木像。
 おそらく、あれは『ゴーレム』の一種だろう。

「わかった。それじゃ、早速やらせて貰うぞ」

 俺は木刀を構え、意識を集中させる。
 そして、自身の身体と木刀に闘気を流し込む。
 全身の身体能力が大幅に上昇。
 同時に、身体が燃え上がるような熱を帯びる。

「ふっ!!」

 俺は床を踏み込み、一気に距離を詰める。
 そして、そのまま木刀を振り下ろした。
 ズバンッ!!
 凄まじい音が響く。
 手応えはあった。

「……おお」

 ミルキーが目を丸くする。
 そこには、真っ二つにされた鎧人形があったのだった。
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