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第5章
276話 エメラダとの主従契約
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エメラダの買い取り金額が決定した。
俺の熱意に負け、店長が値下げに応じた格好だ。
「よし。では、お前の言うとおりに払ってやろう」
俺は金貨の入った革袋を取り出し、それをテーブルの上に置いた。
「……確認致しました。主従契約を進めましょう」
「うむ。それで、エメラダの奴隷紋はどこにあるんだ?」
「こちらになります」
店長がエメラダの下腹部を指し示す。
そこには、確かに奴隷紋が刻まれていた。
「この紋章に血を垂らしてください」
俺はナイフを受け取ると、指先に刃を当てて軽く傷つける。
そして、流れ出た血液をエメラダの奴隷紋へと落とした。
「あっ……!」
エメラダがピクンと身体を震わせる。
「いにしえの精霊よ。我が王国の定めにより、此の者コウタと彼の者エメラダの間に主従契約を結ばせ給え。フェアトラーク」
店長が詠唱すると同時に、奴隷紋が淡く光りだす。
「これで、エメラダはコウタ様の所有物となりました」
「うむ。彼女とのつながりを感じ取れるようになったぞ」
奴隷契約の魔法は、『奴隷商人』のジョブを持つ者にしか扱えない魔法だ。
『奴隷商人』は『商人』から派生した上級ジョブである。
自分で奴隷契約を行えるということは、すなわち『商人』としてかなり高いレベルまで成長していることを示している。
おそらくこの男は、そこそこのやり手なのだろう。
ルモンドと比べれば、やり口は汚いようだが。
「さあ、エメラダ。これからは俺のものだ。せいぜい可愛がってやるから、楽しみにしておくといい」
俺は優しく彼女の頭を撫でる。
「はい……。よろしくお願いします……」
「うむ。いい子だ」
俺たちは奴隷商館を出る。
少し歩いたところの路地裏で、彼女が口を開いた。
「……えっと。コウタさん。助けていただいた……ということでよろしいのでしょうか……?」
エメラダが恐る恐るといった感じでそう言う。
俺が女性に甘いことを彼女は知っている。
状況だけを見れば、俺は彼女を助けに来た恩人だ。
しかし、先ほどの店内でのやり取りの後では、それに疑念を抱くのも当然だろう。
「もちろんだとも。あれは奴隷商会に大金を渡すのが癪だったから、難癖をつけただけさ。エメラダの前で値切るようなマネをして悪かったな」
「……いえ。ありがとうございます……。おかげで助かりました」
「気にするな。困ったときはお互いさまというやつだ。それに、君には色々と世話になったからな。その礼も兼ねている」
「……えっと。そんなことは……」
「何はともあれ、まずは服が必要だな。いつまでもそんなボロ布一枚じゃ、町中を堂々と歩けない」
以前のエメラダは、調合屋の店長として普通の服を着ていた。
しかしそれは没収でもされたのか、今の彼女は貫頭衣しか着ていない。
まずは服を買って、シルヴィやユヅキたちと合流することにしよう。
俺の熱意に負け、店長が値下げに応じた格好だ。
「よし。では、お前の言うとおりに払ってやろう」
俺は金貨の入った革袋を取り出し、それをテーブルの上に置いた。
「……確認致しました。主従契約を進めましょう」
「うむ。それで、エメラダの奴隷紋はどこにあるんだ?」
「こちらになります」
店長がエメラダの下腹部を指し示す。
そこには、確かに奴隷紋が刻まれていた。
「この紋章に血を垂らしてください」
俺はナイフを受け取ると、指先に刃を当てて軽く傷つける。
そして、流れ出た血液をエメラダの奴隷紋へと落とした。
「あっ……!」
エメラダがピクンと身体を震わせる。
「いにしえの精霊よ。我が王国の定めにより、此の者コウタと彼の者エメラダの間に主従契約を結ばせ給え。フェアトラーク」
店長が詠唱すると同時に、奴隷紋が淡く光りだす。
「これで、エメラダはコウタ様の所有物となりました」
「うむ。彼女とのつながりを感じ取れるようになったぞ」
奴隷契約の魔法は、『奴隷商人』のジョブを持つ者にしか扱えない魔法だ。
『奴隷商人』は『商人』から派生した上級ジョブである。
自分で奴隷契約を行えるということは、すなわち『商人』としてかなり高いレベルまで成長していることを示している。
おそらくこの男は、そこそこのやり手なのだろう。
ルモンドと比べれば、やり口は汚いようだが。
「さあ、エメラダ。これからは俺のものだ。せいぜい可愛がってやるから、楽しみにしておくといい」
俺は優しく彼女の頭を撫でる。
「はい……。よろしくお願いします……」
「うむ。いい子だ」
俺たちは奴隷商館を出る。
少し歩いたところの路地裏で、彼女が口を開いた。
「……えっと。コウタさん。助けていただいた……ということでよろしいのでしょうか……?」
エメラダが恐る恐るといった感じでそう言う。
俺が女性に甘いことを彼女は知っている。
状況だけを見れば、俺は彼女を助けに来た恩人だ。
しかし、先ほどの店内でのやり取りの後では、それに疑念を抱くのも当然だろう。
「もちろんだとも。あれは奴隷商会に大金を渡すのが癪だったから、難癖をつけただけさ。エメラダの前で値切るようなマネをして悪かったな」
「……いえ。ありがとうございます……。おかげで助かりました」
「気にするな。困ったときはお互いさまというやつだ。それに、君には色々と世話になったからな。その礼も兼ねている」
「……えっと。そんなことは……」
「何はともあれ、まずは服が必要だな。いつまでもそんなボロ布一枚じゃ、町中を堂々と歩けない」
以前のエメラダは、調合屋の店長として普通の服を着ていた。
しかしそれは没収でもされたのか、今の彼女は貫頭衣しか着ていない。
まずは服を買って、シルヴィやユヅキたちと合流することにしよう。
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