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第5章

259話 冒険者ギルドへ

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 エルカの町に帰ってきた翌朝。
 俺たち『悠久の風』は、冒険者ギルドへとやってきた。

「おはよう」

「おはようなのです」

 俺やミナは挨拶をして中に入る。

「おはようですにゃ。……って、コウタさんにゃ! お久しぶりですにゃ!」

 海猫族の受付嬢セリアが驚いたような声を上げる。

「ああ。久しぶりだな」

 俺は答えた。

「お元気そうで何よりですにゃ。……ところでそちらの方々は?」

 セリアは、俺たちの後ろにいる女性陣を見る。

「ああ。俺の新しい仲間たちだよ。ティータ、ローズ、グレイスだ」

 俺は彼女たちを紹介した。

「……ティータはティータだよ……」

「わたくしはローズ・フォン・アイゼンシュタインと申します」

「ティータ様とローズ様……。お名前は存じておりますにゃ。まさか『悠久の風』に加わられているとは予想外でしたにゃ」

 セリアはそう言った。
 ティータはエルフ族の里アルフヘイムの長老の孫だ。
 そしてローズは、エルカの町が属するアイゼンシュタイン子爵領の領主の娘だ。
 この2人は、エルカの町でもそれなりの知名度がある。
 かつては料理コンテストで審査員を務めていたこともあるしな。

「まあ、色々とあってな」

 俺は簡単に説明をした。

「そうなんですかにゃ。『悠久の風』のご活躍の報告は一応この町にも届いていたにゃ。でも、実際にお会いすると、やはり驚きますにゃ」

 セリアはそう言った。

「ええっと。それで、最後のこちらの方は……」

「俺はグレイスだ。よろしくな」

 グレイスはそう言いながら手を差し出す。

「はい。よろしくお願いしますにゃ」

 セリアは握手に応じた。

「それでだ。この町に戻ってきて早速だが、何かいい依頼はないかな? 報酬次第で何でも受けるぜ」

 俺はそう言う。

「そういうことでしたら、ちょうど良さそうな依頼がありますにゃ」

 セリアが一枚の依頼書を取り出す。

「これは?」

「エルカ樹海で採取できる薬草の納品ですにゃ。難易度は高くないにゃ。ただ数が多いので、人手が欲しい感じなのですにゃ」

「なるほど。確かにこの人数なら大丈夫そうだな」

 俺は言った。

「はいですにゃ。それに、この依頼を受けてくれる方には、特別ボーナスが付くのですにゃ」

「ほう? それはどんなものなんだ?」

「調合士さんからのサービス券ですにゃ。素材を持ち込めば、格安で調合してくれるそうですにゃ」

「へぇ……」

 『調合士』はジョブの1つだ。
 薬草からポーションをつくったり、その他にも材料次第でいろいろなものを作成できる。
 調合士とお近づきになる機会を得られるという点でも、なかなか魅力的な話だ。

「どうするにゃ。受けてみますかニャ?」

 セリアが聞いてくる。

「そうだな……」

 俺は少し考えた後、答えを出した。

「よし! その依頼を受けよう」

「ありがとうございますにゃ。それでは手続きをさせて頂きますにゃ」

 セリアはそう言って、俺たちのギルドカードを受け取った。

「……コウタさん、凄い活動実績ですにゃ」

 セリアは感心したように言った。

「まあな。これほどの優秀なメンバーがいてくれたからな」

「なるほどですにゃ。みなさん、順調に実績を重ねていらっしゃるようで安心しましたにゃ。まだまだ期待できそうですにゃ」

 セリアは笑顔で言う。
 受付嬢の彼女は、今までに凄い冒険者を何人も見てきているだろう。
 そんな彼女から見ても、俺たちは有望な冒険者というわけか。

「ふふふ。当然だぜ」

 リンは得意げに言う。

「わたくしたちの実力を甘く見てもらっては困りますね」

 ローズが微笑んで言った。

「頼もしいですにゃ。では、よろしくお願い致しますにゃ」

 こうして俺たちは、エルカ樹海での薬草採取に向かうことになったのだった。
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