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第5章

254話 最新ステータス グレイス

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 ゴブリンと戦いながら、『悠久の風』のみんなのステータスを確認しているところだ。
 俺、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リン、ティータ、ローズのステータスの確認を終えた。
 最後はグレイスだ。


グレイス
種族:人族
ファーストジョブ:盗賊レベル19
セカンドジョブ:剣士レベル12
サードジョブ:格闘家レベル8
控えジョブ:なし
HP:D(00/05)
MP:D(00/05)
闘気:D(01/05)
腕力:D(00/05)
脚力:D(03/05)
器用:C(00/10)

アクティブスキル:
『剣士』ラッシュ
『格闘家』裂空脚

パッシブスキル:
『盗賊』気配隠匿技術向上、器用強化、ダンジョン宝箱出現率上昇
『剣士』腕力強化


 グレイスのファーストジョブは『盗賊』だ。
 このジョブは、あまり大っぴらにはできない方法により取得できる。
 俺やシルヴィが取得する予定はないので、『悠久の風』の中では実質的にグレイス固有のジョブと考えていい。

 『盗賊』の効果は、主にパッシブスキルに偏っている。
 この点は、『鍛冶師』『料理人』『森人』『貴族』あたりと似たようなイメージだ。
 『気配隠匿技術向上』は、周囲のモンスターや盗賊などから見つかりにくくなるパッシブスキルだ。
 『ダンジョン宝箱出現率上昇』はその名の通り、宝箱の出現率がアップする。
 1つの宝箱からレアアイテムが出る確率自体は変化なしだったと思うが、試行回数が増えるので、トータル的にはプラスの効果となるだろう。
 もちろん、レアアイテム以外でも役立つアイテムはあるし、不要ならば売却すれば多少のお金にもなるので、決して無駄にはならない。

「いくぜっ! 【ラッシュ】!」

 グレイスがゴブリン相手に剣を振るう。
 ゴブリンたちは深い傷を負い、光の粒子となって消えていった。
 彼女は盗賊に身を転じる以前に、剣士としてそれなりの修練を積んでいたそうだ。
 そのためか、動きに淀みがない。

 ちなみに、見ての通り彼女も『パーティメンバー設定』の対象者となっている。
 俺が彼女の『悠久の風』入りに拘ったのは、こういった事情もある。
 一方で、ピュセルやヤナハは対象者の条件を満たすには至らなかった。

 『パーティメンバー設定』の対象にできるかどうかは、ステータス画面の名前の文字色から判断できる。
 当初は白色だ。
 俺と仲良くなるに連れて濃くなっていき、黒色になると『パーティメンバー設定』の対象者となる。
 ピュセルやヤナハとはかなり仲良くなり、ステータス上の名前の表記が灰色ぐらいにはなったが、黒色にはならなかったという感じだ。

「よっしゃー!!」

 ゴブリンを討伐し、両手を上げてガッツポーズをするグレイス。

「お疲れさま」

 俺は彼女に駆け寄って、ハイタッチをした。

「コウタ親分のおかげだよ。こんなに強くなれたのは」

「いやいや、グレイスの頑張りがあってこそさ」

 俺はそう言っておく。
 実際のところは、俺のパーティに加入することによるレベリング効率の上昇は大きいだろう。
 『パーティメンバー設定』により『悠久の風』に加入した場合、経験値の配分を受け取ることができる。
 それも、『パーティメンバー経験値ブースト』でさらに分配量が増えていくのだ。
 加えて言えば、パーティに加入した時点でセカンドジョブとサードジョブが開放されるし、『ジョブ設定』スキルにより持っているジョブを自由に設定できる。

 また、俺はMSCの知識と経験から、各種ジョブの取得方法を知っている。
 グレイスについても、パーティメンバーに設定した時点では『盗賊』と『剣士』しか持っていなかったが、例の裏技じみたやり方により『格闘家』のジョブも取得してもらった。
 彼女の口技はなかなかのものだった。
 あの舌使いは凄かったなぁ……。

 いかんいかん。
 今は戦いの最中なんだ。
 余計なことを考えていると怪我の元だぞ。

「ふぅ……」

 息を吐いて気持ちを切り替える。

「よし。残りのゴブリンは……」

「ご主人様。グレイスさんが討伐したので最後ですよ」

 シルヴィの言葉を聞いて周囲を見回す。
 ゴブリンの姿はもうなかった。

「そうみたいだな。それじゃあ、魔石を回収してエルカの町への移動を再開するか」

 俺たちは再び馬車に乗り込み、南へ向かい始めたのだった。
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