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第4章 エルフの里アルフヘイム

235話 村長との面談

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 黒狼団を撃破し、『黄昏の月』のリリアナとザードを撤退させた。
 その翌日。
 俺は村長に呼ばれて、彼の家を訪ねていた。
 ちなみに、ティータやミナたちはまだ寝ている。
 昨日の戦いはそれなりに疲れたらしく、ぐっすり眠ってしまっているのだ。

「それで村長。用事というのはなんだ?」

 俺が尋ねると、彼は真剣な表情になった。

「実はコウタ殿に、折り入ってお願いしたいことがあるのじゃ」

「ほう。どんな頼みごとだ?」

「ティータのことじゃ。実は、彼女に外の世界を存分に見せてやりたいと考えているのじゃ」

「外に?」

 俺は首を傾げた。

「コウタ殿はご存知じゃろうが、我らエルフ族は、長い間森の奥深くで暮らしてきた。ティータや彼女の父は例外的に、時々里の外に出ることもあるが……。それでも、基本的には森の中での生活がほとんどじゃ」

「確かにそうらしいな」

 ティータはローズと共にエルカやテツザンに滞在していた。
 しかしあれは、エルフ族とアイゼンシュタイン家が友好を深め、今後の交流を協議するためだったと聞いている。
 あくまで一時的なものだったのだろう。

「そんな生活を続けていると、どうしても閉塞感を覚えてしまう。特にティータは、外の世界に憧れを抱いておってな……。アイゼンシュタイン家との交流大使も、彼女の強い希望により彼女が選ばれたのじゃ」

「なるほど」

「じゃからコウタ殿。あなたの力で、彼女を旅に連れて行ってあげて欲しいのじゃ」

「……うーむ」

 俺は考え込む。

「ご迷惑じゃろうか?」

「いや、そういうわけではないんだ。むしろ、俺も彼女に付いてきてもらうことを考えていた。でも、どうして俺なんだ?」

「それは、コウタ殿がティータにとって特別な存在だからじゃ」

「特別?」

「ああ。コウタ殿は、あの子の初恋の相手なのじゃ」

「な、なに!?」

 衝撃的な事実だった。

「そ、そうなのか?」

 初恋も何も、彼女と会ったのはほんの数か月前だ。
 エルカの町の料理コンテストで彼女がローズと共に審査員を務めていた。
 あの時の俺はただの観客だったし、ティータからは認知されていなかったかもしれない。

 そうなると、次に会ったテツザンでの武闘大会が初対面か。
 こちらは逆に、俺が出場選手であり、ティータは観客だった。
 俺が優勝した武闘大会後の打ち上げでいっしょに飲み、泥酔した俺たちは一夜を共にした。
 彼女はそれが初体験だった。

 外見年齢は幼いが、実は結構な年齢である。
 俺よりも年上なのだ。

「ふむ……」

 ティータの初恋相手が俺……。
 まあ関係を結ぶくらいだから好感は持ってくれていると思っていたが、まさか初恋とは。

 俺は懐から出したハンカチで額を押さえ、再び考え込む。
 ちなみにこのハンカチは、おそらくリリアナの落とし物だ。
 不思議な魅力があるので勝手に使っている。

「コウタ殿?」

「あ、ああ。悪い。少し考え事をしていた」

 ティータは優秀な木魔法使いであり、斧士でもある。
 ぜひとも俺のハーレムパーティに正式加入してほしいものだ。
 その方向性で話を進めることにしよう。
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